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下山事件もまた、日本社会の分裂・破壊を目指したものだった。血塗られた蛮行によって、日本人の精神的紐帯を切断しようとするものだった。
日本に於ける戦前の支配層(特に反米的な人々)とその社会的基盤を崩壊させたアメリカは、次なる仕事として、一般庶民の間に存在した強固な国民的信頼を突き崩そうとした。
戦前はアカと呼ばれ、非国民として弾圧された共産党を支援したのもその為だった。その一方で、反共産党勢力として右翼勢力への梃入れも行った。戦前は、軍部の一翼を担い、その下請けとして特権と享楽を手にして来た者達を、アメリカは、飴と鞭とによって自らの道具に仕立て上げたのだ。アメリカの脅しに屈してその道具と成り果てた者共の言い訳は、日本の共産化を防ぐというものだった。しかし、その共産勢力自体がアメリカの掌の上で踊らされているのだという事実には目を向けようとしなかった。
アメリカによって演出される左右の対立は、多くの日本人を非政治的に飼いならすことに役立った。狡猾なアメリカは、さらに、日本社会の人間的信頼を破壊することを狙う。未だ断固たる支配者としての自覚に欠ける高級官僚や大企業経営者そして保守政治家達に、庶民を踏み台にして自らの利益を獲得する決意をかためさせることを意図した。そこに下山事件が仕組まれたのだ。
もちろん、たった1つの事件だけでそうした目的が果たされるものではない。その周辺には、多くの事件が連続して準備される。それらは総じて、社会不安を掻き立てる効果が企図される。下山事件の前年、1948年1月26日に起こった帝銀事件では、毒物によって行員12名が殺害された。
下山事件では、戦前から続く国鉄一家の仲間意識を粉砕する生贄として、技術畑出身で政治的背景の薄い下山氏が選ばれた。彼の死を契機として、日本の政治・経済を支配する者達は、アメリカの指示に従い日本を動かすという決定的な一歩を踏み出したのだ。
小泉が選んだ道は、彼の先輩達が自己弁護と言い訳でごまかしながら進んだ道と同じだ。但し、小泉の場合は、良心のかけらもない居直りとアメリカへの盲目的忠誠が際立っている。