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津田哲也さん（ジャーナリスト）
インタヴュー記事
津田哲也さん（46歳）は銃器に詳しく、それが使われた犯罪が発生すると、あちらこちらのマスコミで引っ張りだことなる。また、ミステリー作家としても活躍しており、『汚名刑事』（小学館）に続く長編小説が来年発売される予定である。
以前から津田さんは「日本に銃器と薬物がまん延しているのは、警察が暴力団と癒着しているから」と言い続けてきた。筆者もそう思うし、昨年、『週刊現代』（2004年9月11号）で、「兵庫県警が『拳銃＆大麻』を密輸させた！」と題する記事を津田さんと共同取材、執筆している。
これは兵庫県警が暴力団と組み、乾燥大麻約20kg（末端価格約1億円）とけん銃61丁、実包254個を相次いで密輸させたというもの。運び屋はタイ人船員で、1回目・乾燥大麻では、警察がわざと見逃し（乾燥大麻は市場へ流れ、暴力団の資金源になった）、2回目・けん銃と実包では、警察がタイ人船員だけを銃刀法違反の現行犯で逮捕した（1994年9月10日）。
つまり、兵庫県警は、けん銃61丁、実包254個を押収したという「実績」をつくるため、乾燥大麻約20kgは手間賃として暴力団へ与え、単なるアルバイト（タイ人船員）が首謀者とでっち上げたのだ。この「大手柄」は『警察白書・平成7年版』でも取り上げられた。
タイ人船員は懲役10年の刑が確定し、服役。2002年11月、仮釈放されてタイへ戻り、昨年夏、津田さんと筆者が現地でインタビューした。そうして、上記「ヤラセ」の全貌が明らかとなったのである。
―――警察が事件をでっち上げるには、「スパイ」が不可欠ですよね。
津田さん 兵庫県警のヤラセでも、警察官と暴力団関係者が名前や身分を偽り、タイ人船員と接触して、乾燥大麻とけん銃、実包を密輸させています。彼らから強く誘われなければ、タイ人船員は密輸などしませんでした。乾燥大麻やけん銃、実包も暴力団関係者がタイで用意したものです。
―――どうして、警察はそこまでするのでしょう？
津田さん まともに捜査して、けん銃を押収する能力がないからです。暴力団からけん銃を提供してもらうかわりに、彼らの犯罪、例えば、実際に抗争に使用するけん銃の密輸や所持とか、資金源となる薬物の密輸や密売とかを見逃しています。だからこそ、日本に銃器や薬物がまん延しているのです。
―――1990年代半ば、暴力団側の暴露により、群馬県警、愛媛県警、長崎県警、警視庁などで、けん銃押収のヤラセが次々と発覚しました。それから、だいぶヤラセはやりにくくなったのではないですか。
津田さん ヤラセが減ったので、けん銃の押収丁数も減りました。1995年は1880丁でしたが、昨年（2004年）は601丁。実に3分の1以下です。
―――共謀罪が成立すれば、スパイが大活躍するといわれていますね。
津田さん 盗聴もスパイによるおとり捜査も違法でありながら、警察はずっと続けてきました。今後、「共謀を立証するため」という口実で、盗聴もスパイもやりたい放題になるでしょう。
―――それにしても、共謀罪に対する国民の関心がなさすぎます。
津田さん 自分に関係ないと思っているからです。政府は「マフィア対策」「テロ対策」などと言いますが、共謀罪が適用される犯罪は600以上もあります。「居酒屋で飲みながら、『ムカつく上司をぶん殴ってやろう』と話し合っていても、共謀罪が適用される」とよく例示されます。国民は「まさかそこまではしないだろう」と思いますし、政府も最初からそこまではしないはずです。しかし、いつか必ずそこまで行き、自由にものが言えない時代が来ます。そうなれば、もう後戻りはできません。
―――津田さんはもともと政府とか議会とかを信用していなくて、「選挙も行かない」と聞いていましたが、今回（2005年9月11日の総選挙）だけは投票したそうですね。
津田さん 小泉（純一郎）独裁政権を倒さないといけないと思い、民主党に入れました。生まれて初めて投票したのに、自民党が圧勝し、唖然としましたけど……。ファシズムは社会不安をあおり、登場するという、まさに歴史はくり返すと痛感しました。共謀罪もそのような土壌から生まれています。
―――今後、小泉独裁政権に対抗する方法はあるのでしょうか。
津田さん 我々、ジャーナリストは政府や警察の実態を国民に伝えていくしかありません。国民もまわりの出方ばかりうかがっておらず、自分の頭で判断し、行動してもらいたいものです。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。