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〔中国の対台湾策略〕‥‥
‥‥文化面での策略‥中国は台湾の学者、企業家、オピニオン・リーダーらに中国訪問を促し、もって多元的な交流を進め、また両岸の学術面、文化面での交流を拡大するなど、台湾に対し積極的に文化統一戦線工作を進めている。さらに台湾の青年層に優遇措置などを講じて中国への留学を勧誘し、文化的アイデンティティーを植えつけるなどの活動も加速し、「民を以て官を圧迫し、民を以て統一を促進する」目的を達成しようとしている。
‥‥心理戦の展開‥中国は「文攻武嚇」(メディアによる攻撃と武力による威嚇)ならびに「文統武圧」(文化面での統一促進と武力による圧迫)を繰り返し、「台 湾問題」の最終的解決には一戦を免れないとの心理的圧力を台湾に加えている。こ うした心理戦で今後考えられる手段は次の通りである。
@破壊浸透工作‥台湾情報収集を強化し、金融破壊の噂を散布し、不法な治安撹乱を並行する。
A民を以て統一を促進する‥善意を装った文化交流を強化し、中華アイデンティティーを喧伝して民 間から統一の声が出るように図る。
B商を以て政を包囲する‥利益誘導によって台湾企業を取り込み、経済界から政府に「三通」開始の 圧力をかけさせる。
C文攻武嚇の強化‥メディアによる台湾政府非難と軍事演習を繰り返し、台湾の人 心を揺さぶる。
D社会の分裂促進‥台湾の政治情勢を利用し、宣伝工作によって内部対立を深めさせる。
‥‥浸透破壊工作‥この二年間で台湾の通信網がサイバーテロに遭った事件は三百三十件を超え、そのほとんどが中国からのテロ行為であった。このほか専門要員の台湾密入国は三百六十件、八百人を超える。これらは中国の台湾に対する浸透破壊工作がますます活発化していることを示し、その動向には警戒を要する。
〔今後の動向〕
中国は二〇〇二年十一月の第十六回全人代で、初めて「一つの中国」政策における「新三段階論」を明らかにした。それは「台湾への武力使用放棄の公約をしない」ことを強調し、台湾に対し「政経分離」と「和戦両用」の策略を継続し、同時に台独反対の立場を繰り返し、台湾企業関係者を動かして台湾政府の大陸政策に影響を与え、台湾の内部分裂を拡大させ、現段階における作戦は武力によらない「三戦」(世論戦、心理戦、法律戦)を中心とするというものであった。内容は、「世論戦」で敵の意思をコントロールして「血を流さず思想面で征服する」目的を達成し、「心理戦」で精神的打撃を与えて防衛意識を崩壊させ、「法律戦」で台湾問題の武力解決に正当性を設定し、将来の台湾出兵の口実にするというものである。それらの最近の進行状況は次の通りである。
(一)専門研究機関の設立‥軍の科学院は二〇〇四年四月に「台湾問題研究センター」と「政治工作研 究所」を設立し、台湾に対する「三戦」を中心とする政治作戦 理論の研究システムを確立した。そ こでは軍隊における政治工作の刷新、軍隊の 政治 工作人材の育成が進められている。
(二)「三戦」演習の実施‥「三戦」演習を実施し、戦術および支援体制の確立を推 進している。
(三)心理戦、通信、法律、特殊方言、外国語などの人材育成を本格化した。それらは武力による台湾 侵攻の障害を前もって取り除こうとする作戦である。
(四)外交、インターネット、地方メディアなどを使って台湾に対する世論攪乱工作を進め、台湾政府 の政策に影響を与え、社会混乱を拡大しようとしている。
中国はイラク戦争、コソボ紛争、アフガン戦争などで米軍が「三戦」を駆使して所 期の作戦目的を 達成したと見なしている。そのため、後日台湾に武力を発動した 場合の国際的反発を防止するため、 中国は台湾に対する「三戦」の研究を開始し たのである。
‥‥中国の対台軍事能力
中国軍は「中国の特色ある軍事改革」を指導方針に現代化を進めている。それらには部隊編成の改革、新型兵器の装備、幹部の質向上、演習の強化なども含まれている。
中国の台湾に対する現有軍事能力は次の通りである。
〔従来型作戦能力〕
(一)航空攻撃‥中国海軍と海軍航空隊を合計すれば、台湾に脅威を与える航空機の数は千機を超える 。その中でスホイ型戦闘機が最も優れ、その行動半径は六百から八百十海里に及び、視距離外の攻撃 、反レーダー、精密誘導ミサイル攻撃などの能力を持ち、ロシアからの購入とライセンス生産を進め ている。将来は台湾海峡での制海権、制空権奪取の主力となり得る。
(二)降下部隊‥中国軍は台湾の拠点奇襲占領の演習も実施しており、パラシュート部隊の機動力と攻撃力強化を進めている。
(三)海上攻撃‥東海艦隊を主力とし、南海艦隊と北海艦隊がそれを支えている。目下、旅大級駆逐艦の改装を進めるとともに、ロシアからソブルメンヌイ級駆逐艦の導入を進めており、各種ミサイルの開発も合わせ、台湾封鎖能力を備えようとしている。
(四)水面下攻撃‥潜水艦による艦船攻撃と機雷による封鎖を含む。中国は通常動力潜水艦の改良と改装を積極的に進めており、将来的には明級改良型、宋級、キロ級などの新型潜水艦が主力となり、水面下からの攻撃力が大幅に増強される。そこに原子力潜水艦が加わり、戦時において戦力として導入した場合、長期にわたって台湾を封鎖する能力を持つことになる。このほか、現有の水上艦、潜水艦のほとんどが機雷敷設の装備を持ち、また民間の商船や漁船も機雷敷設艦への改装は可能であり、戦時においてこれらが機雷敷設任務につけば、台湾が受けるシーレーンへの脅威は甚大なものとなる。
(五)上陸作戦‥制空権の行方ならびに輸送能力、天候などを考慮した場合、中国の揚陸艦は一個師団の輸送が可能となる。さらに現有の商船や沿海各省の大型漁船を動員した場合、砲兵を含むおよそ四十万人の上陸部隊を輸送することができる。目下、南京軍区の部隊が福建省東山地区で上陸作戦演習を積極的に実施しており、さらに上陸支援作戦能力も強化し、台湾に対する軍事的脅威は日増しに増大している。この点は特に注目しなければならない。
(六)統合作戦‥中国軍の衛星、通信、情報技術は最近長足の進歩を遂げており、対台湾作戦の任務を負っている南京、広州、済南軍区を中心に、これらの技術力が大いに導入されている。その主たる目的は、陸海空三軍共同作戦で指揮、管理、通信、情報等を共有し、上陸作戦を的確に進めるためである。
(七)防空作戦‥紅旗系とS300系の地対空ミサイルを主力に、その他の対空兵器も装備し、高低および長短を補完し合いながら主要基地、重要拠点の防空体制を敷いている。
〔非対称型戦略〕
中国軍は従来型作戦様式を越え、優勢な敵に対しては戦場や後方の範囲を越え、軍事あるいは非軍事のあらゆる手段を用いて勝利を得ようとしており、すでにシミュレーションも重ね、三軍の作戦理念に一定の影響および変化が見られる。将来的には精密兵器を配合した多面的な非対称戦略によって台湾の政治、経済、軍事の主要施設の機能を麻痺させ、国民の士気を崩壊させ、最小の代価で最大の効果を得ようとしている。その戦略は次の通りである。
(一)宇宙兵器‥中国の偵察衛星、通信衛星の進歩はめざましく、将来対台湾作戦においてこれらが駆使された場合、遠距離精密攻撃が可能となり、容易に相手方の指揮、通信、情報系統が破壊でき、台湾の防御力は甚大な影響を受けることになる。
(二)弾道ミサイル戦略‥中国が台湾に対するミサイルを配備する目的は、まず外交カードとして台湾に対する経済封鎖、さらに政治、軍事、心理面で威嚇するところにある。現在配備されている戦術弾道ミサイルは六百十基(最新情報では七百基以上)におよび、すでに台湾全島をカバーしている。さらに中距離弾道ミサイルの配備も進めており、これらが浙江省沿海部、安徽省東部を前線基地とした場合、その射程範囲は台湾全島に限らず、日本、韓国、グアム島にも及ぶ。もし突発的事態が発生した場合、中国はこの範囲の敵性国家への威嚇あるいは作戦も発動するものと思われる。
(国防部 ‥‥ )