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アラート・ハンガーのF-15J
航空自衛隊の主力戦闘機F-15J/DJには大まかに分けて2つの種類がある(細かく分けると十数種類にもなると言う)。F-15Jの機体番号801〜898号機、DJ型機の051〜062号機の在来機(Pre-MSIP)機、それ以降の機体であるMSIP(多段階発展型機:Multi-Stage Improvement Programme)である。
項目 在来機 MSIP機
対象機 機体番号801〜898号機、DJ型機の051〜062号機 機体番号899号機以降、DJ型機の063号機以降
火器管制盤 ACS(Aemament Control Set)
AN/AWG-20 PACS(Programmable Aemament Control Set)へ換装
新型OFP(Operational Flight Program)によるコンバータ・プログラムの追加
Multi-Purpose Color Displayの装備
トレーニング・モードの追加
セントラル・コンピュータ AP-1(IBM製)メモリー容量
96kワード
AYK-1(三菱電機製)orAP-1R(IBM製)?
メモリー容量 128kワード
Programmable Signal Data Processor 新型フライト・プログラムの追加
Radar Programmable Processor メモリー容量 96kワード メモリー容量 384kワード
Data Transfer Modeul 新規装備
Stick glip&Throttle Control 武器選択スイッチの改善
VTR Sprit Image Control 新規装備
最も大きな違いはMSIP機がMIL-STD-1553Bデジタル・データバスを介したデジタル航空機であることである。一例を挙げれば、MSIP機では搭載ストアのオンステーション情報が以下の図のようにデジタル表示される。(在来機ではインジケーターの点滅のみ。)
AN/AWG-20 PACS(Programmable Aemament Control Set)
F-15MSIP機のPACSのMulti-Purpose Color Display表示の一例、AIM-7FおよびAIM-9Lミサイル及び燃料タンクやパイロンの装備状況がデジタル表示されている。MSIP機のコクピット計器類の全体像はSimHQ.comのこちらのページが分かり易い。(在来機のコクピットはこちら)
F-15J/DJは米空軍のF-15C/Dに準じた機体であるが、日本には電子戦システム(TEWS)が供与されなかったため、日本独自でJ/TEWSとして開発されている。
RWR(Radar Warning Receiver)は三菱電機製のAPR-4、ICS(Internal Countermeasure Set)は三菱電機製のALQ-8が装備されている。CMD(Counter Measure Dispencer)はALE-45(J)である。また日本独自の装備としてAPQ-1とデータ・リンク装置が搭載されている。APQ-1は三菱電機製のアクティブ型の後方監視レーダーである。データリンクは日立製作所製のJ/ASW-10が搭載されており、BADGEシステムに連接して時分割データを受信する専用通信システムであって、データの他に音声通信も受信できる。APR-4はベースモデルのICS連接型、非連接型、APR-4A、APR-4B(APQ-1対応型)の4つの種類がある。なおAPR-4A及びBは脅威情報をDTMへ記録するDATA RECモードを持っている。
F-15Jは中期防衛力整備計画において近代化が予定されている。内容は以下のとおりである。
FCSレーダーをレイセオン社製のAPG-63(V)1へ変更
セントラル・コンピュータをロッキード社製のVHSIC(Very High Speed Integrated Computer)へ換装
HPWS(高圧除湿装置:High Pressure Water Swparater)の換装
発電能力75KVAの発電機への換装
統合電子戦装置の搭載
FDL(Fighter Data Link)の装備
また近代化改修とは別個にAAM-4(99式空対空誘導弾)と開発中のXAAM-5の搭載改修が実施される予定である。AAM-4搭載改修の概要は以下のとおりである。
C/C(Central Computer)のOFP(Operational Flight Program)改修
PACS(Programmable Armament Control Set)の改修
レーダーのOFP改修
指令送信機の搭載
AAI(Air to Air Interogate)送信系の改修(ミサイル・コマンド送信のため)
RWR(Radar Warning Receiver)及びECMの改修(指令送信時のブランキング)
LAU-106A/Aランチャ改修(アンビリカル・コネクタはAMRAAMと共用)
なおAAM-4搭載用OFPは飛行教導隊のF-15へのAMRAAM搭載改修で作成されたOFPをベースにしており、搭載インターフェイスもAMRAAMのものと合わせてあるため、AAM-4搭載改修を実施したF-15型機はAMRAAM運用能力を持つことができる。AMRAAMとAAM-4搭載のハード的な違いはAAM-4の運用には専用の指令送信装置が必用なことである。(AMRAAMでは搭載レーダーから指令送信波が多重送信される。)XAAM-5の搭載改修は制式後になるので詳細は不明だが、LAU-114ランチャの改修又はLAU-128(これによりAIM-120の運用能力の付与)への換装、各種OFPの改修、HMS(Helmet Mounted Site)の搭載改修が予想されている。
この近代化改修で問題となるのは、改修対象機をどれにするのかという問題である。対象機をMSIP機としてMSIP機から外したアビオニクスを在来機へ流用する案、対象機を在来機としてMSIP機にはAAM-4とXAAM-5の搭載改修のみを実施する案などが考えられているが、在来機には改修を実施しないと益々陳腐化が進んでしまうため、何らかの方策が施される筈である。
今後新たに搭載される可能性があるものとして以下のものが挙げられる。
開発中の戦闘機搭載型IRST(Infrared Search and Track)
ALE-45(J)から射ち出される射出型ECM(富士通製)
NVG(Night Vision Goggle)---既に運用試験が実施されている。
JHMCS(Joint Helmet Mounted Cueing System)又は国産開発のHMS(島津製作所製)の搭載
先進IFF(APX-114?)
CMDをBAE社製のALE-47への換装
能力向上型射出座席への換装
また将来的にはデジタル・フライバイ・ワイヤや統合コクピットへの改修、光学式ミサイル警報装置の搭載、ミサイル搭載数の増大、機体へのステルス材料の適用といったものも検討されており、これらが適用された機体が能力向上型機となる可能性がある。