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次期防衛力整備計画において、新戦車の開発が予定されている。現代の戦車は第3世代戦車と言われ、90式戦車はその中の1車であるが、その次の戦車であるなら第4世代戦車となる筈である。しかし、第4世代戦車というのは各国でもまだ模索中で、どのようなものになるのかはまだ決まっていないのである。ではなぜこの時期に90式戦車の能力向上型ではなく、全く新しい戦車を開発するのだろうか。
新戦車開発の背景はこうではないかと推察する。90式戦車は世界水準に達した戦車であるが、重量的には第3世代戦車の中では最も軽いとは言え、50トンに達する。そのためには戦車トランスポーターを初めとしたインフラ整備が必要で、道路の強度上の問題も含めて北海道専用装備となってしまった。
本土に配備された74式戦車については試験的にパッシブ式暗視装置、レーザー警報装置、デジタル・コンピューター、サイドスカート等を装備した74式改が4両試作されたが、とても費用対効果的に採用されるものではなかった。その一方で74式戦車は益々陳腐化していく。その対策として74式戦車と変わらない重量で、90式戦車に劣らない性能を発揮する新戦車の開発・配備である。であるから新戦車は90式戦車の後継というよりも74式戦車の後継であるという方が的を得ていると思われる。
想像図から推察するに全体的な感じはブラジルのオソリソ戦車に似ている。(この想像図は三菱重工の量産案との話で、実車の形態とは異なる可能性がある。)車長用サイトが大型化され、360度旋回可能なようである(90式は前方180度しか旋回できない)、また砲手用サイトが砲塔上ではなく前面装甲に配置されているが、これは被弾時のことを考えるとどうかと思う。
砲塔は車体に比べるとやや小さめで、車長のみが砲塔に乗車し、砲手は車体内に乗車する配置の可能性もある。また発表された想像図によると車内には従来の接眼式サイトに代わって、ハイビジョン・モニターが装備される模様である。装甲は着脱式装甲を装備すると伝えられるが、想像図では確認できない。
砲は90式戦車よりは打撃力アップを図るとされており、国産の50口径120mm砲の採用が噂されている。これはどれだけ重量の低減が図れるか、軽量化された車体でどれだけ射撃精度が得られるかが課題になる思われる。(日刊防衛通信によると既に軽量型、55口径型等の数種の試作がなされていると言う。)
砲への装填は自動装填装置であるのは疑いのないところだが、砲塔が小さいと言うことはバスルの容積も小さいわけで、バスル内の即応弾がどの位積めるのかは興味のあるところだ。また射撃統制装置は90式戦車のものをベースにさらに発展させたものと思われ、多目標同時追尾が可能という話である。
装甲は複合装甲であることは勿論だが、90式戦車のものをさらに発展させ質量効率を高めたものになる筈で、90式戦車を上回る防弾性能を持ちながら、遥かに軽量に収まる可能性が大である。また90式戦車の課題だった車体上面を狙うトップアタック式兵器に対しても対策が施されると思われる。砲塔前面の装甲は楔型となっているが、レオパルド2A5のような逆ショット・トラップ装甲かもしれない。
エンジンは噂されていたガスタービン・エンジンではなく、ディーゼル・エンジンが採用される模様で、軽量化を考えると冷却システムを簡略化できるセラミック・エンジンを採用したいところだが、昨今の流れから行くと水冷4サイクルのディーゼルが妥当なところだろう。(1,200馬力級の水冷2サイクル・ディーゼルに加えて補助動力として小型ガス・タービンを搭載するとの話がある。)サスペンションには技術研究本部で長い間研究されていたアクティブ・サスペンションが採用される可能性と思われ、軽量な本車の射撃精度向上に寄与すると共に、世界一乗り心地の良く且つ早く走れる戦車になるかもしれない。
新装備としては車両間通信システムが挙げられる。これは自車及び味方の位置やステイタス、敵の位置をデジタル無線でリアルタイムに各車間で相互に通信するもので、戦場状況を常に正確に把握することにより、攻撃の正確性及び効率化、味方への誤射の防止等を図るものである。(M1A2SEPやルクレールで採用されているシステムでは乗員への負担が大きく、返って逆効果だという意見もある。レオパルド2A6においても自車位置測位システムの導入のみに留めている。新戦車においてはその辺りが改善されたものが搭載されると思われる。)
分からないのは車体後部の迷彩が前部のものと異なることで、エンジン部分であることから赤外線を遮断するような特殊な塗装である可能性もある。(これに関してはスウェーデンのサーブ・バラクーダ社製の車両用赤外線ステルス・コーティングという話がある。)
いづれにしろ新戦車は40トンクラスで第3世代戦車並みの能力を追求した野心的な戦車になることは間違いなさそうだ。