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今日の対艦ミサイルは超低高度で飛行し、且つステルス化されている。
そのため、その接近を探知するのは容易ではない、例えその対艦ミサイルがアクティブ・レーダー式のシーカーによって誘導されていても、目標となる艦の10〜20`b先まで電波を発信しないためESM(電波傍受システム)が反応してから数十秒程度しか余裕がない。
ましてや相手が赤外線・可視光誘導のようなパッシブ誘導だった場合、ESMにより探知できないのでさらに対応時間が短くなる。
ミサイルの接近を探知したら直ちに対抗手段を取らなければならない、相手がアクティブ・レーダー式だったら、ESMからの情報を基にECM(電波妨害)を実施し、チャフやデコイを発射する。
赤外線・可視光誘導だったら、フレアを投射し、煙幕を張って自艦をシーカーの目より隠す、いわゆるソフト・キル防御を実施する。
それと同時に自艦の搭載武器を相手に指向してこれを叩き落とす、ハード・キル防御を実施する。
これには以下の手段がある。
@広域エリア防空ミサイル(スタンダード、シーダートミサイル等)
A個艦防空ミサイル(シースパロー、シーウルフ、クロタルミサイル等)
B艦砲(127_、76_砲等)
C近接防御火器(CIWS)
@については相当遠距離で探知できた場合のみ有効であり、Aは発射体制が整ったら既に寸前まで迫っていること可能性が高く、また多数目標には対処できないものが多い。
Bはミサイルより命中性は劣る代わりにその分連射が可能であるが、数十発も連射すると砲身が加熱してしまうため、弾幕を張るというところまではいかない。
以上のような理由から、真近まで接近した対艦ミサイルに対処するのにはCのCIWSが期待されている。
CIWS(Close In Weapon System)はレーダー、コンピュータ、機銃などから構成され、その代名詞とも言えるのが写真のMk−15Phalanxである。
Phalanxは完全自立型のシステムで、KuバンドのデジタルMTI(Moving Target Indicating)捜索レーダーで捕らえられた自艦の脅威となりそうな目標に対して自動的に20_バルカン砲を指向し、これもKuバンドのパルスドップラー・モノパルス方式の追跡レーダーが発射された弾丸と目標の双方を追尾して、照準を補正するクローズド・ループ方式を取っている。(この方式は確実だが、弾の消費量が大きいという欠点がある)発射速度は一分間当たり3,000発(Block1以降4,500発)、発射弾数は1バースト当たり60〜100発程度である。
使用される弾はAPDS(Armor Piercing Discarding Sabot:分離被筒式徹甲弾)で米国では弾丸に劣化ウラン弾が用いられているが、日本等では国産開発したタングステン弾が使われている。
最新型のBlock1B型ではFLIR(Forward Looking Infra Red:前方赤外線監視装置)が追加され、水上目標やヘリのような低速度目標への対処能力を向上すると共に、長銃身化が図られて有効射程距離が増大されており、今後建造されるイージス・ミサイル護衛艦にも搭載される予定である。
ただ20_弾では射程が短すぎ、撃墜できたとしても破片が自艦に被害を及ぼすとか、故障に対する信頼性の点から再びミサイルが脚光を浴びつつあり、米海軍では後継としてRIM-116A RAM( Rolling Airframe Missile )が導入されており、日本でも今後導入されると思われる。