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Re:小泉の陰謀、郵政民営化を待ち望んでいるゴールドマン・サックスとカーライル・グループ
http://www.asyura2.com/05ban/ban4/msg/276.html
投稿者 World Watcher 日時 2005 年 9 月 07 日 21:34:34: DdDUJ9jrxQIPs

(回答先: Re:小泉の陰謀、郵政民営化政策で得をするのは日米欧三極委員会(財務省)だけ(笑) 投稿者 World Watcher 日時 2005 年 9 月 07 日 21:14:19)

長いですが読むべきです。国会で行われた審議。必見!!!
竹中国賊大臣、否定できず(笑)


■第5号 平成17年5月31日(火曜日)衆議院・郵政民営化に関する特別委員会<抜粋>

○二階委員長 次に、小泉龍司君。
○小泉(龍)委員 小泉龍司でございます。
 ちょうど十四年ぐらい前になるんですけれども、私も財務省から出向の形でニューヨークのコロンビア大学に留学をしておりました。ちょうど竹中大臣も、私も客員研究員だったんですけれども、同じ客員研究員で、机を並べたというほど近くはありませんでしたけれども、同じ時期にアメリカというものを見てきたわけでございます。竹中大臣は当時から流暢な英語をしゃべられた。私は英語が大変苦手でしたから、そこから道が分かれるんですね。
 きょうは、正反対の立場から、こうして十四年ぶりに、もちろん日ごろ対面はしておりますけれども、議論をさせていただくことになった。どうしてこういうふうに道が分かれたんだろうということを考えてみました。私はアメリカの悪い部分を見、大臣はアメリカのいい部分を見てこられたと思うんですね。
 アメリカの悪い部分。当時、既にアメリカのトップ一%の高額所得者というのが、全米の国富の、これは土地も金融資産も含めて、四〇%をひとり占めしておりました。ちょうど私が選挙に出たころです。そして今、その占有比率は五〇%に高まってしまっている。
 また、航空自由法という規制緩和がありました。鉄道の規制緩和もございました。バス事業の規制緩和もございました。航空自由法が施行されまして、全米で航空機の運送事業が自由化される。結局、何が起こったかというと、ワシントンとニューヨークの間だけ一生懸命飛行機を飛ばすんですね、そこがもうかるから。もちろん民がやることは、もうかるところに行かなければ株主に対して責任が果たせない。結果として、その法案に賛成した上院議員の地元も含めて、全米で百以上の地方空港が閉鎖になりました。今度の基金と同じでございます。ちょうど同じなんですが、一部、三十数カ所はコミューター航空の補助金が出ました。やがてこれが打ち切られました。そして、その法案に賛成した上院議員が慌てて異を唱えたけれども、もう遅い。鉄道事業についても同じことが起こりました。全米で千二百のステーションが閉鎖をされた。バス事業は、全米で五千のバスターミナルがなくなりました。
 私がコロンビア大学で学んだのは、この厳然たる事実でございます。もうかるところしか投資をしない、やがて地方は切り捨てられる。これはちょうど郵政民営化の議論とダブるんですね、同じになる。コミューター航空の補助は基金とそっくり、こういう思いが私にはありまして、自民党の部会で、最初はそれほどこだわりを持たずに議論に参加しておりましたけれども、政府とやりとりする間に、どうもこれはおかしいんじゃないかと、かたい反対論の方に私は流れていったわけでございます。
 今回の郵政民営化法案の本質は何か、レントゲン写真を当てますと、それはやはり、郵貯、簡保を完全民営化する、これがエッセンスだと思うんですね。その結果、裏側で、金融のユニバーサルサービスが廃止をされるということになります。郵貯法そして簡易生命保険法が廃止をされまして、郵便貯金制度がなくなります、簡保制度がなくなります。郵便局というのは郵便窓口業務をやる営業所という位置づけになるわけでございます。
 もう一つ、二番目の問題点は、四分社化でございます。これは、一つの企業を生体解剖するように、無理やり生木を裂くように四分社化するわけです。非常に机上の議論だというふうに直観的に大勢の方が感じている部分でございます。本業を持たないネットワーク会社、本業がないんですよ、受託業務だけじゃないですか。本業はコンビニをやるということですけれども、そこはまた後ほど議論しますけれども、千三百ぐらいのところでできるかな。
 世界にこういう例があるのだろうか。支店のない銀行、本業のないネットワーク会社、支店のない郵便事業会社、いかにも学者の机上の議論ではないか。大臣はもう学者じゃないですから、個人攻撃ではありませんよ、政治家ですから。学者さんの机上の議論だなとみんなが不安を感じている。マーケットで自由競争をしたときにこんな不自然な経営形態が生まれてくるんでしょうか、マーケットの競争の中で。そうじゃないと思うんですね。人工的につくり出された経営形態、絶対もたないですよ、いずれおかしくなる。そのときに国民負担が出てくる。
 最初、ちょっと演説になって申しわけないんですけれども、論点を少し浮き上がらせたいので、議論をもう少し、二、三分させていただきたいと思いますが、そういう経営形態の問題があると思います。
 それから、我々は少しタイムスリップをしていると思うわけでございます。今、民営化が必要だ、規制改革の流れの中で、小泉改革の流れの中で必要だと。だけれども、これが実現し、実際に稼働する、我が国の社会にビルトインされるのは十年後以降の話でございます。そのときの我が国の高齢者比率は何%になっているんでしょうか。二六%余りの高齢化比率を持つ、そして国債発行残高が今から三百兆、四百兆さらにふえる、そういう社会です。そこでこの民営化が実現するんですね。
 十年以降先の日本国民に対して、我々はこの民営化法案で責任をとれるのか。タイムスリップしているんですよ。今民営化するんじゃないんです。十年後から先の国民にこれを渡すときに日本がどういう社会になっているのか。右肩上がりではないと思うし、また官と民の議論からいえば、パブリックというものがより重視される、そういう社会になっているのではないかと私は思います。
 もう一つ、アメリカの圧力ということもしばしば取りざたをされます。
 日米の間に年次改革要望書というものがございまして、毎年秋にアメリカから日本国政府にこれが渡されます。九百人の中央省庁の課長さんにこれが切り分けられまして、一年後のフォローアップに向けてちょっとずつ譲っていく。だるまさんが転んだみたいな形でちょっとずつ譲っていく、数多く。気がつくと、この年次改革要望書の項目はほとんど実現されているわけでございます。
 日本の近未来を見るには、将来投資のために株を買うならこの年次改革要望書を見ろというふうに言われているぐらい、きちっとこれが反映されている。ここに、保険アジェンダから始まって、今は郵政民営化がきめ細かく、内政干渉と思われるぐらいきめ細かく、米国の要望として書かれているわけでございます。
 こういうアメリカの圧力、そして十年後に責任を持てるのか、アメリカで起こった事実、最後に、官から民へ。
 この後大臣の感想を聞いて各論に入りますけれども、官から民へという言葉を一国の指導者が四年間リピートすれば、これは一番きくんですね、みんなそうだと思ってしまう。一般人が言うのとは違います。一国の指導者、総理が、官から民へ、官から民へ、官から民へ、これはみんな官と民しかないと思ってしまうわけでございます。
 アメリカは官と民しかないけれども、ヨーロッパの政治理念の根幹は社会的連帯でございます、社会的連帯ということがございます。
 一八三〇年代に資本と労働の対立が激しくなった後、ヨーロッパの政治は二通りに分かれました。一つはマルクス・レーニン主義です。共産党の方がおられますけれども、その道と、そして、自由主義の中で社会的連帯を基本に据える政治理念が起こりました。パブリックです。権力は、腐敗をする、怠惰である、サボる。民も、努力をする、創意工夫がある、しかし利益第一主義である。真ん中にパブリック、みんなのために大勢が助け合う。
 国民年金の仕組み、介護保険の仕組み、郵政三事業の仕組み、環境税の仕組み、農業直接所得補償制度の仕組み、これはヨーロッパの政治理念から出てきている考え方。官から民への間にパブリックがあるんだ。こういう点も、郵政民営化反対論の我々の心の中に、政策論として、哲学論としてあるんですね。どうして交わらないのかなと。郵政民営化合同部会で三十三回議論をしたけれども、議論が交わらないんですよ。どこかですれ違うわけです。
 大臣は、マーケットは信じていいんです、マーケットは失敗するけれども、マーケットの失敗が続くことはないんです、こうおっしゃいますが、我々は、アメリカの所得分配の状況、アメリカの規制緩和の状況、ヨーロッパの政治理念、そういうものを見たときに、根本論において、やはり一度、抽象論になってしまって申しわけないんですが、大臣のお考え、できれば総理のお考えをと私は思っておりましたので、前置きの演説のようなものが大変長くなりましたが、今の論点すべてつぶさなくて結構ですから、御感想がありましたら、大臣の本音がありましたら、ぜひこの機会に国民に向かってお話しいただきたいと思います。
 大臣、いかがでしょうか。
○竹中国務大臣 小泉委員の御高見を賜りました。小泉委員のお話、いつも私思うんですが、非常にそうだ、全くそうだと思う面と、いや、それは全然違うんじゃないかと思う面がなかなか混在をしておりまして、恐らく、目指して、考えている問題意識のようなものは共有しているんでしょうけれども、その処方せんというような点で違いが確かにあるのかと思います。
 一点、私はアメリカのよいところを見てきて、委員がアメリカの悪いところを見てきたというのは、これは決してそうではないと思っております。私はよいところも悪いところも見てきているつもりです。日本にもよいところと悪いところがある、どこの国でもそれは同じなのだと思います。
 ですから、その意味では、アメリカ型とか日本型とか、そういうラベルを張ってしまいますと、そこでもう思考停止になってしまいますので、委員はそういうことをされませんけれども、一部に、例えばアメリカ原理主義とか、そういう言葉でラベルを張ってしまったら、もうそこで思考は停止してしまうと思うんですね。その意味では、今委員御指摘の点について、やはり一つずつしっかりと議論を重ねていくことは、これは必要であるというふうに思っております。
 幾つか論点をこの郵政民営化に対して提示されまして、恐らくそれについては各論として次に一つずつ御質問があると思いますので、市場の失敗という大きな問題について、これは、市場はよく失敗します。私は、市場は頻繁に失敗をしているというふうに思っております。市場の失敗がなければバブル経済などは起こりません。私は学者ではありませんが、むしろ経済学者が書く論文のほとんどの部分というのは、どのような場合に市場が失敗するかということを一生懸命研究しているのが実は専門の経済学者であると私は認識をしております。
 しかし同時に、市場の活力を得ることなくして経済を発展させることはできない、これもやはり動かしがたい事実であろうかと思います。その市場のメカニズムを基本に据えて、しかし、先ほども申し上げましたように、やはり政府が果たさなければならない役割、むしろ公の役割、市場だけでは資源配分できない公的な財・サービスというのがあるわけで、今回も、郵便局の設置、さまざまな地域のサービス等々はまさにそういうものに当たっているんだと私は思っております。それを、できるだけ政府の直接の負担を小さくして、そういう形の中で豊かな公を、小さな官をいかに実現していけるかというのが、これは制度設計であろうと思います。
 そのときに、アメリカ、ヨーロッパ、日本、いろいろな試行錯誤を今私はしているんだと思いますけれども、今回我々は、日本の実情に照らした市場の活力を活用したい、そして、日本の実情に照らした、そして今郵政が持っているすべてのアセット、資産を活用した形での公的な役割の継続をお願いしたい、そういう形でこの制度設計をしたつもりでございます。
 十分にお答えしておりませんが、各論につきましては、ぜひじっくりと御議論をさせていただきたいと存じます。
○小泉(龍)委員 それでは、今のお答えを踏まえて各論に入りたいと思いますが、金融ユニバーサルサービスが廃止をされてしまう、国がそれを放棄するということをまずよく国民に説明していただきたいと思うわけでございます。
 郵貯法、簡易生命保険法を廃止いたします。郵便局の定義というのは、郵便窓口業務を行う営業所ということになります。この廃止される六本の法律があるわけですけれども、これらの法律は何のための法律か。それは、金融ユニバーサルサービスの提供を国に義務づけるための法律でありました。まだ法案が通っていないですからまだ生きてますけれども、法案が通れば廃止をされてしまう。
 郵便貯金法第一条、「この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民の経済生活の安定を図り、」云々と、これをやめてしまえば、今まさに大臣が直前の答弁でおっしゃったけれども、政府の負担は軽くなるんですよ、国の負担は軽くなるんです。もうぴたっとそのとおり今答弁されました。でも、困るのは国民なんですね。そして、困るのは十年後以降の国民なんですね。ここにいる方々はもう功成り名遂げて悠々自適かもしれませんが、さらに高齢化が進む、さらに過疎化が進む、さらに貧富の差が広がる十年後の日本の社会を想定していただいて、この金融ユニバーサルサービスをなぜ切り捨てるという判断を今しなければならないのか、その明確な理由をぜひお答えいただきたいと思います。
○竹中国務大臣 委員は国民が困ることになるというふうにおっしゃいましたが、実は我々は国民が困らないように郵政の改革をしております。政府がやれば国民は困らないのか、そんなことはないわけです。政府が何でもかんでもやって、それで経済効率を下げて、かつ、それの非効率が赤字という形で国民負担になれば、それは政府が困る。だから、政府のあり方というのはできるだけ小さく効率的にしていくことが、私は、国民が長期的に困らない最大のポイントであると思います。
 同時に、今回の郵政に関しては、直接、この地域のサービス等々でも、国民が困らないように、この点に関しては本当に与党からさまざまな御指摘をいただいて、国民が困らないような制度設計をさせていただいているつもりでございます。
 お尋ねの金融の業務でございますが、金融の業務というのはやはり非常に特殊な業務であると思います。信用というのが競争上決定的に重要な役割を果たす。そして、我々としては、民営化の趣旨を徹底させるために、銀行、保険会社については国の信用と関与を確実に断ち切る必要があるというふうに判断するわけでございます。このため、両社は持ち株会社のような特殊会社とはしないで、商法の一般会社として設立をしまして、株式の処分によって民有民営を実現する、そして一般の銀行、保険会社と同様、自由な経営を行わせるというふうな制度設計にしております。
 一般の銀行、保険会社というのは、その業務の公共性に照らしまして、免許業種とされるわけでございますけれども、ユニバーサル、つまり全国一律の提供義務を負う主体と位置づけられるわけではございません。郵便貯金銀行、郵便保険会社についても同様の扱いとなります。
 このように、民営化に当たっては、一般の金融法令に基づいて純然たる民間企業として業務をしていただく、その中で活力を発揮していただくということを考えているわけでございます。これは、民間と同様の経営の自由度を持っていただいて、それで国民が必要とするサービスを提供していただくということをも意味しております。
 ただし、今申し上げましたように、これはもう、与党から本当に熱心な御議論を踏まえて多々御指摘をちょうだいいたしました。これまで全国津々浦々の郵便局において預金や保険のサービスが提供されて、それがそれぞれの地域の人々の生活を支えてきているということは、この重みは我々政府としても十分に認識をしているところでございます。
 このような観点から、与党との合意も踏まえまして、この法案では幾つかの制度設計、工夫をしております。
 繰り返しになるかもしれませんが、銀行と保険に対して免許を法律でみなし付与するに当たりまして、最低限移行期間をカバーする安定的な代理店契約、保険募集契約があることを免許の条件として付す。これによりまして、移行期間中の郵便貯金銀行と保険会社の郵便局会社への業務委託が担保される。これが第一のポイント。
 そして、第二のポイントとしましては、移行期間終了後におきましても、銀行、保険にとっての郵便局ネットワークの重要性や、新たに自前の店舗網を大々的に整備するというのは膨大なコストがかかることを踏まえますと、全国一律の代理店契約が継続されて、基本的にはこれに基づいて各郵便局において引き続き預金、保険のサービスが提供されると考えられる。これはまさに民間のインセンティブ、動機としてそのようになるということが市場経済のもとで想定されるということ。
 そしてその上で、仮に過疎地などの一部の郵便局で貯金、保険のサービスの提供が困難となる場合には、例の社会・地域貢献基金を活用して、地域にとって必要性の高いサービスの確保を図るということにしているわけでございます。
 まさに委員御指摘のように、それによって国民が困らないように入念な制度設計を行ったつもりでございます。
○小泉(龍)委員 それでは具体的に、随分先の方まで今お答えをいただいたような気がしますけれども、少し話を戻していただいて、郵便局そのものが幾つ残るのか。金融サービスをする前提は郵便局ですから、郵便局が幾つ残るのか、省令の問題ですね。
 そもそも省令でこのあまねくというものの具体的定義をしていくということについては、やはり問題があると思うんですね。これはまさに官が決めるわけですね、国会が関与できない。総務大臣が決められる、総務省が決められる。いや、公社法もそうなっているじゃないかと。公社法もそうなっている。だけれども、公社と今度できます特殊会社とはやはり違うんですね、三分の二の株主というのがいるんですね。国の持ち分は三分の一でありますから、この省令を改廃したい、なるべく赤字局をやめたい、この圧力は三分の二の株主からずっと継続的に働くわけでございます。それに対して省令で守れるのか、その圧力にどう抗するのか。公社であれば、省令で決めておけば、これは国の意思ですから、国が一人株主ですから、問題はない、私はそう思います。ですから、この問題。
 そして、郵便局というのは小学校の数と同じだと言われております。平均一・一キロに一つ。何で小学校の数と同じなんでしょうか。それは、小学生が車を運転できないから。同じように、お年寄りも車を運転できないから、歩いて行けるウオーキングディスタンスに一つ置いてきたわけです、明確にそういう定義はないかもしれませんけれども。その郵便局をなぜ今のまま残せないのか。今、収支相償方式でカウントしますと、郵便事業で見て一万八千六百が赤字局ですね。ここをどんどん削っていこうとすることにならないのか。
 したがって、まず、ここでの議論の大前提として、省令の中身を出していただきたい。それがなければ議論できないでしょう。国民が一番知りたいのはそこですよ、まず第一に。長々しい説明ではなくて、郵便局がどういうふうに残るのか、ここの答えをいただかなければ法案の賛否が決められない、多くの議員がそのように思っていると思います。いかがでしょうか。
○細見政府参考人 郵便局の設置省令の内容をできるだけ明らかにしろということでございました。
 委員御存じのとおり、郵便局の設置につきましては、法律上におきましては、郵便局株式会社法の第五条におきまして、あまねく全国において利用されることを旨として設置するということにしたところでございます。
 具体的な設置基準につきましては省令で定めるということでございますが、その際、現在の設置基準を十分参考としつつ、特に過疎地について、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とするということを規定することといたしております。都市部につきましても、国民の利便性に支障を生じることがないよう配慮するという考えでございます。
 具体的には、現在の設置基準において、地域住民の利便、利用の確保という法律の観点から、地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること、いずれの市町村についても一以上の郵便局が設置されていること、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていることという基準が現在の郵政公社法の施行規則で定められておりますが、この施行規則の現行の基準も十分に参考にしながら、省令の具体的内容を検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○小泉(龍)委員 明確に、今ある、現存する郵便局の水準を維持する、そういうふうに省令に書きますという御答弁はいただけないんでしょうか。
○細見政府参考人 特に過疎地につきましては、現在の、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とするということで考えているところでございます。
○小泉(龍)委員 そうしますと、過疎法の四千八百、それから離島地域、半島地域、山村地域の振興法等の過疎四法で、重複を除きますと七千局。下限が四千八百、上限が七千、ここは守ると。残りはどうなるんですか。
 これは恐らく、省令で書こうとすると、先ほど申し上げた三分の二の株主との利益のコンフリクトが起こってくるわけであります。つまり、特殊会社にしてしまったため、半官半民、いや三分の一官三分の二民にしてしまったために、明確に省令できちっと書けるのか、私はそういうふうにも思っているわけでございます。
 ヨーロッパでは、民営化したドイツでも、あるいはオランダでも、この金融ユニバーサルの議論が非常に強まりまして、ここは郵便局の数を明示しております。ドイツで一万二千、オランダで二千、明確に数字を出します。今度の法案では、省令に逃げてしまって、省令の中身も明らかにしない。その中で確実に守れるのは過疎地だけだ。残りはどうなるんですか。三分の二の株主、利益を追求する人たちにやはり考えてもらうしかない、その圧力との闘いだ、恐らくそういうことになるんだと思います。
 次へ行かせていただきます。基金の問題、銀行代理店の問題。銀行代理店の問題も言いっ放しになります、時間がないので。
 金融秩序の健全性の観点から、安定的代理店契約を付することをみなし銀行免許の条件にする。当たり前ですね、支店がなければ銀行として成り立たないわけですから。しかし、その先、じゃ、その期間が終わった後は、こういう話になりますと、地域貢献基金が出てきます、一兆円であります。運用益の中の百二十億円を地域貢献基金として使う、残り六十は社会貢献基金。百二十億の根拠を問えば、二千局掛ける六百万円である、こういう答えが先ほどからございました。
 この二千局というのは、過疎地の無集配特定局を千六百、それをベースにして、それに集配特定局二百を加え、さらに少し膨らませて二千、こういうふうに事務方の御説明をいただいておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。二千局の根拠です。
○細見政府参考人 ただいま委員から御指摘のとおり、基本的には、過疎地にある無集配特定局をベースに、そのうちの相当部分が赤字になるという前提で、それに加えて、他の地域でも入ってくるだろうということで加えまして、それにさらに集配特定局の一部が加わるということを計算いたしまして、二千局というふうにいたしております。
 その前提となりますのは、公社の収支相償方式による損益データ、平成十五年版というものをベースにそういう計算をさせていただきました。
○小泉(龍)委員 それでは、重ねてお伺いしますけれども、その二千局には簡易郵便局というのは含まれていないんですか。
○細見政府参考人 公社の収支の計算におきましては、簡易郵便局は、基本的に統括局、まとめている局のところに入っていることになっているので、基本的にはこの数字の中には入ってきておりません、二千局の中に入っておりません。
 ただし、だからといって、対象にならないということを申し上げているわけではなくて、ある程度の数字を計算する際にこういうデータをベースに計算した結果こうなっているということでありまして、もちろん簡易局も対象になり得るということでございます。
○小泉(龍)委員 つまり、この基金の対象となる二千局には計算上簡易局が入っていない。もちろんやりくりすればそれは入るんでしょうけれども、計算上最初からカウントされていないというのはおかしいじゃないですか。簡易局が貯金業務をやれなくなったときに、それを最初から想定していないんですか、最初から切り捨てちゃうんですか。もう一度お答えください。
○細見政府参考人 正確に申し上げさせていただきたいと思います。
 簡易局については、このデータでは、おのおのを統括する集配特定局と一体管理で損益を把握しているということでございますので、局数を提示することがなかなか難しい。簡易局の払っている手数料その他が全部、統括局の数字に入っているということでございます。したがって、統括局の中で対応しているという格好になりますので、局別になかなか収益状況が出てこないということで言っているということでございます。
 ただし、統括局を通じて地域・社会貢献計画のものを使うということはもちろんできるという制度でございますので、地域・社会貢献計画ができないということを申し上げているわけではありませんし、また、二千局の中に入っていないからといって、統括局ベースではもちろんカウントすることはできるわけでございますので、そういうことではないということではございますが、いずれにせよ、今回の試算ベースが特定局をベースに計算をしているものでございますので、簡易局というのはこの中に入ってこないということでございます。
 ただし、簡易局がこの中からさらに入れば、二千数百局で入るということはもちろんあり得るということでございます。
○小泉(龍)委員 いずれにしましても、二千局でありますから。貯金業務が赤字の郵便局というのは、収支相償方式で見ますと一万一千局あるんですね。一万一千局の中の二千だよと。過疎地四法の対象局が七千局あるんですね。七千局の中の二千だよと。簡易郵便局は四千五百あるんですね。四千五百の中のマックスで二千だよと。こういうごく一部の、二千の郵便局だけを対象にして、地域貢献事業基金というのが金融ユニバーサルを本当に担保できるんですか。
 こういうことを聞くと、大臣は、いや、ネットワークとしての価値があるから、赤字局だからといって切り捨てるわけではありません、赤字局には赤字局なりのネットワークとして維持する価値があるからだ、こういうふうに答えられます。
 では、そのネットワークとしての価値は何かというと、これは決済システムとして稼働させる意味ですね。山間僻地にも資金が渡せる、こういう意味だ。定額貯金だけであれば、コストが見合うところで集めた方がいいわけですよ。離島で集めなくたって、コストが見合うところで集めた方が採算はよくなるわけです。もしネットワークに意味があるとすれば、それは郵便振替、郵便為替、決済システムとしての意味だと思いますね。
 では、郵政事業の中で、郵貯事業の中で、この郵便振替、郵便為替の収益に占めるウエート、どれぐらいあるか御存じですか。これは通告していないから、事務局がわかれば。
 それは、せいぜい二%前後ですよ。郵貯事業の中の二%ですよ、ネットワークを擁してもうけているのは。ネットワークに価値なんかないですよ、商品価値は。民間でもどんどん支店を閉めるでしょう、ネットワークに価値がないから。郵便貯金を集めるのであれば、もうかるところで集めてコストを下げて、そこで運用する。そうしますと、赤字局一万一千を全部閉めたくなるわけですよ。
 ドイツでポストバンクが何を言い出したか。郵便局の八五%から撤退したいと言い出したじゃないですか。それで大もめにもめたんですよ。ネットワークに意味があるならば、ドイツ・ポストはそんなことは言わない。どうしてももうけたい、一五%でもうけたい、八五は要らないんだよということを完全民営化された郵貯銀行が言い出したらどうするんですか。基金は取り崩せると書いてあるけれども、取り崩してしまったらどうなるんですか。だれが責任を持つんですか。反論があれば聞かせていただきたいと思います。
○竹中国務大臣 私の答えを小泉委員が既に言ってくださっているわけですけれども、まさにそれは、本当にネットワーク価値をどのように考えるかということに尽きるのだと思います。
 委員は、決済が重要でしょうと。まあ決済だけではないと思いますが、決済は極めて重要なネットワーク価値を保証するものだと思います。その場合に、なぜ預金が集まるかというと、決済ができるから集まる。決済そのもので得る収益、利益のウエートがたとえ低くとも、決済機能があるから、我々預金するのです。預金が持っている最大の機能は、日本の場合特に、通常は、要するに決済でございます。そういう観点からしますと、その価値というのをやはり過小評価すべきではないというふうに思います。
 今後、またドイツの例、いろいろ出てくるかもしれませんが、ドイツの場合、ポストバンクとの間でいろいろあったということは承知しております。これはある専門家の分析でございますが、ドイツの場合、しかしその要因が幾つか重なっておりまして、一つは、ポストバンクの経営者が民間から入らないで、経営そのものに問題があったのではないかという御指摘と、それと、九〇年の東西ドイツの併合後、ドイツというのは相当郵便局数は減っているわけでございますけれども、東西併合の結果、一気に三万ぐらいまで郵便局がふえた、その後の調整というかなりの特殊事情があるということ等々でございますので、ドイツから学ぶべきことはあると私は思いますけれども、少なくとも、ドイツが郵便局が減った、ないしはポストバンク等会社がもめた、それがそのまま日本に当てはまるようなことはないと思っております。実は、そのためにも、ヘッドクオーターとしての今回持ち株会社をつくって、全体の調整機能を持たせようというふうに考えているところでございます。
○小泉(龍)委員 そのヘッドクオーターたる持ち株会社というのは最終的には郵貯銀行から離れてしまうわけですから、完全民営化された場合のコントロールをする人は株主ですね。利益を第一に考える株主が本当にユニバーサルバンキングにつき合ってくれるのか。
 アメリカでは、郵便事業について、民営企業では、プライベートな企業ではユニバーサルサービスというのはおよそ無理だ、こういう報告書が正式に議会ないし政府に提出をされました。アメリカは郵貯を切り離したじゃないかという議論があります。それは後ほど金融排除のところで申し上げます。
 ちょっとテクニカルになりますが、この地域貢献基金あるいは地域貢献事業計画というのは、郵便局会社には尊重義務がありますけれども、郵貯銀行には尊重義務がないわけです。守らなくて別にいいわけです。利益第一でいいわけですね。そうすると、このファンドというのは、郵貯銀行から見ると、いただきなんですね。ファンドを使える、交付を受けられる郵便局会社の方は、これは、ユニバーサルをやってください、計画に基づいてユニバーサルやってくださいとただただ頭を下げるだけで、わかったよ、やるよ、いただき、こういうことになります。
 これは、一民間企業に対してこういうことが継続しますと、一民間銀行に対してだけどうしてそういうファンドを使うんだということになりますね。第二社、第三社が出てきたときに断れるんでしょうか。
○竹中国務大臣 まず、郵貯バンクというのは商法の一般法人でございます。これは特殊な会社ではございませんから、当然、そこでのビジネスの判断、経営の判断でいろいろやっていただく。そうすると、そこで基金を使った場合、委員のお言葉ですと、そのバンクは、その銀行は、これはいただきではないか、特定の会社に結局、郵政からお金が流れるのではないかという御趣旨の御指摘がありました。
 しかし、その場合に、ここは委員もう御承知のとおりだと思いますけれども、そういった貢献、これは社会貢献、地域貢献でございますから、金融サービスを提供するための基金でございますから、郵貯銀行だけに限ったことではございません。現実にはこれは将来どのような展開になるかは経営上の問題でありますが、私は、一部の地域については地元の信金、信組が金融サービスをする、そのかわり手数料をしっかりと払ってください、基金を活用できますから、そういう話には、当然のことながら、あり得る話としてなってくるのだというふうに考えております。
○小泉(龍)委員 そこから先は、ファンドがそれで足りるのか、二社目、三社目をどう扱うのか、そのときファンドが足りるのかという問題になりますけれども、そこは切り上げまして、金融ユニバーサルサービスを維持するためには、郵貯銀行そのものが当面はしっかりと成り立っていってくれないと、一部、北海道は信金がやります、九州はやりますというものが出てくるまでは、郵貯銀行そのものがしっかり立っていてくれないと、成り立たなくなるわけです。
 そこで一番大きな問題だと思っているのは、郵貯銀行のビジネスモデルです。支店がない銀行というのは世界にあるんでしょうか。そんなものは見たことがないです。私も金融行政を長くやっていますけれども、そんないびつなものを人工的につくり出して、ビジネスモデルはと党の部会で問えば、それは経営者が考えることです、新しい経営者が考えることですと。こういうことで法案を通しちゃって本当に大丈夫ですか。話が逆じゃないですか。ビジネスモデルをまず組み立てて、我々によく説明し、国民に説明をする。なぜ説明しなきゃいかぬのか。それは金融ユニバーサルサービスを稼働させるためです。少なくとも、ファンドがあって、それを使える郵貯銀行が存在するのは、この理由で存在するんですよと。
 党の部会で、インパール作戦に似ているという話が出ました。要するに、食糧は行った先で調達するんだよ。じり貧です。あのときもビルマ戦線はじり貧だった。じり貧を突破するには打って出る、打って出た先で食糧を調達する。惨たんたる結果、八万人が戦死をいたしました。
 このインパール作戦に似ているんじゃないんですか、郵貯銀行というのは。出たとこ勝負でしょう、本当に成り立つんですか。納得いく説明を党の部会で聞いたことがない。第二地銀とほぼ匹敵する三十五兆の貸し出しができますか。大和証券と同じ株式仲介手数料が稼げますか。どうなんですか、支店がなくて。お答えいただきたいと思います。
○竹内政府参考人 ただいまお話がございました件でございますが、おっしゃられました十年後の姿につきましては、必ずしも支店がないとは考えられていないわけでございます。今から、IT化とかそういう進展を見ますと、むしろ郵便貯金銀行におきましては、支店というのは、コストのようなものがかからないメリットというところもあろうかと思っております。
 もちろん、当初の段階におきまして、委員御指摘のように、この銀行は本店だけでございます。ちなみに、たしか私の知っている範囲では、テキサス州でも本店だけの銀行というような、これはアメリカの銀行法の、特殊でありますが、ないわけではない。ただし、この場合には、おっしゃっているようにファンド的な性格が強い銀行でございまして、本店だけということになろうかと思います。
 ただし、考えてみますと、この郵貯銀行は、当初は、いわゆる民間銀行と違い、不良債権のような問題もございませんし、過剰な融資関係の人員もないということでございますので、先ほどからもお話がございますように、全国津々浦々をカバーする郵便局ネットワークを活用した地域密着型の業務展開ということをビジネスモデルとしてやっていけば、将来性はあろうかと考えております。
 なお、私どもは法制度を提案しておるところでございますので、その点から申し上げますが、当初は現行公社の業務範囲と同じところからスタートいたしまして、イコールフッティングと経営の自由度のバランスをとりながら、郵政民営化委員会の意見を聴取の上、内閣総理大臣、総務大臣の認可により新規業務を認めることになっておりまして、認可に当たりましては郵便貯金銀行の経営状況も勘案するという大変コンサーバティブなスタンスでございます。またさらに、新規業務への進出に当たりましても、監督当局たる金融庁長官が業務遂行能力についてチェックすることになっているところでございます。
 このように、制度的には郵便貯金銀行の業務展開について適切な制度設計を行っているところでございまして、またこれを今申し上げました主務官庁がしっかり監督することにより、万が一にも破綻することのないように対応していくと存じておるところでございます。
○小泉(龍)委員 今、最後に言われました、まさに破綻のリスクをしょったまま船出させていくということを本当に私は心配に思います。新生銀行と同じにならない保証はない。
 今るる御説明はございましたけれども、私に説明するというよりも、国民にそれが伝わるかどうかなんですね。今の説明が果たして国民に納得してもらえるかどうか。最終的に公的資金が入りますよ、税金が使われますよ、そのリスクをどうやって、本当に破綻がないんだという経営ビジネスモデルをもう少しこの審議の中で明確に答えていただけないでしょうか。
 その中に、例えば、東京三菱と合併したくなる、あるいは、弱って株価が下がってくれば外資がぱっと入りますね。既にゴールドマン・サックスは新しく八千億の投資ファンドを最近つくりました、郵政民営化をにらんでいると言われております。カーライル、ここも七千億のファンドをつくりました。一兆円規模の投資ファンドがアメリカに続々と生まれている。これをにらんでいるんですよ、郵貯、簡保をにらんでいるんです。
 そこで、政府が企業防衛のための買収防衛策として、いや、これは議決権制限株式に強制的に転換できる、そういう条項を定款に入れるから大丈夫です、守り切ります、こういう御説明がありましたが、東証で買収防衛策についての留意点というものが四月の二十一日に公表されております。「上場会社代表者各位」、この中に、こういう買収防衛策は認められないよというのが四項目ございまして、これは細かい答弁を求めませんから聞いておいていただければいいですけれども、株主の意思表示が機能しない防衛策であること。「重要な権利が十分に備わっていないこととなり、」株主の権利が制限される、議決権制限の場合ですよ、「証券市場において投資者に提供する上場物件としての適格性に欠けるものと考えられます。」
 そもそも上場できるのかどうか、この議決権制限株式への強制転換条項を伴った株式というものが東証に上場できるのかという問題があり、司法上それが有効であるのかという問題があります。
 そこで、政府に考えてもらいたいのは、国際石油会社、石油開発公団が民営化しました。そのときの防衛策は、経済産業大臣に一株黄金株を持たせているわけです。ヨーロッパの例を調べました、司法のあり方も調べました、何でそれをとらないのですか。そういう制度をこの法律に、私は、これは前向きな議論なんですけれども、守るためのものを入れないのか。これは通告してあったと思います。簡単にお答えください。
○中城政府参考人 お答え申し上げます。
 郵政民営化後の新会社におきましては、商法、会社法の一般的な規定を活用して、敵対的な買収に対する防衛策というものを講ずるということにしております。
 防衛策としましては、議決権制限株式への強制転換条項を一案として検討しているということでございます。今国会に提出されました商法改正においても、企業防衛策の導入を容易にするために、普通株式から強制転換条項つきの株式への転換手続を用意して、その使い勝手を改善しているというところでございます。
 先ほど小泉先生から言われましたように、東証でも、上場基準、開示基準のルール化というものを予定しておりますし、五月二十七日に、経済産業省、法務省がガイドラインを公表したところでございます。
 このような、今後、上場基準、開示基準のルール化というものを予定しているなど、現在ルールづくりが進められている過程にあるというふうに認識しておりますので、このため、郵政民営化後の新会社における買収への防衛策についても、今後さまざまなルールの整備状況や投資家の反応等も勘案した上で、最終的に、新会社の設立の際の経営判断のもと、最も有効かつ適切と考えられる方策というものを講じることになるというふうに考えております。
○小泉(龍)委員 私が今申し上げた国際石油会社を参考にしたスキームにしないと、実際に裁判になったときに負けて、ああ、外資にとられちゃいましたということになる可能性もあるので、私もそれほどの専門家ではありませんが、ある程度の知識でそう思うので、ぜひ、よく御検討ください、本当にまじめに。外資の問題がありますから、株価が下がってくれば。
 それから、金融排除の問題。これもよく指摘が出ていますけれども、郵貯では口座維持手数料が今までは禁止されていたんですね。これが取れるようになります。この金融排除の手段として手数料を高く取るというのが外資のやり方。シティバンクでは今、月二千円取っているようであります。UFJ銀行で、高額の預金になりますと六百三十円。東京三菱銀行のスーパー普通預金で三百十五円。こういうものがかぶさってきますと、金利より手数料が高いから、元本がどんどん減るわけですよ。元本が減っちゃたまらない。少額の預金者は排除される。二〇対八〇という法則がリテールバンキングでありまして、全体の顧客の二〇%が全体の収益の八〇%を稼ぐ、これに対応するのが金融排除のやり方でございます。これが、新しく民営化されますと、こういうものも実行可能になってくるという問題があることを指摘しておきたいと思います。
 時間がありませんので、あとは指摘にとどめますけれども、商品性もそうですね。無審査の簡易保険というものがなくなるんです。定額貯金も、城南信金が一部やっていますが、今の形で残せるかどうか。法律がなくなりますから、定額貯金というものが本当に残るかどうかはわからないと思います。
 結局、国民から見れば、定期預金も選べる、定額も選べるというメニューの多かった基本的金融商品、預金商品の中から定額がなくなれば、選択肢が狭まるわけですよね。官から民へと言うけれども、郵便局が命令して預金者に預けさせているわけではないわけですね。そのメニューが減ってくるんですね。そういう結果を、恐らくこの商品性の部分でも、ユニバーサルに関連してそういう問題が出てくるであろうと思います。
 四分社化の問題。時間がすごく迫ってきましたが、何が問題であるかというと、大変大きなコストが生まれるということでございます。民営化され、四分社化されることによって、公租公課は委託手数料に対する消費税も含んで五千四百億。これは、株主と従業員と、そして利用者に転嫁されていきますね。法人税と同じだと思います。株主の利益が減る、従業員に行く、あるいは利用者負担になる。必ず国民にこの五千四百億は戻っていきます。
 それから、公務員でなくなるよということでありますが、もともと税金は使っていないし、東京三菱銀行の職員と比べても郵貯関係の職員の給与は安いし、それがむしろ民営化されれば銀行並みの給与になっていく可能性もある。ここら辺も指摘にとどめておきたいと思います。
 そこで御質問は、郵便局、郵便事業の維持費用です。郵便局そのものの維持費用です。地域貢献計画というのは、郵便局の金融業務をサポートするための仕組み。郵便局の郵便事業、郵便局というのは郵便事業をやるものですから、郵便局たる郵便事業を収支相償させる仕組み、それはどういうふうに考えていくのか。事務局の御説明では、郵便局と郵便事業会社の郵便事業に関する経費、収入を収支相償させる、つまり均衡させる、こういう考えで郵便局は賄っていくんだという御説明でしたが、そのような理解でよろしいでしょうか。
○細見政府参考人 郵便の窓口業務は、郵便局が必ず行わなければならない業務ということでございます。
 郵便事業会社は、郵便局会社に対して、営業所における郵便窓口業務を委託しなければならないということが法定をされております。これは郵便窓口業務の委託等に関する法律によって規定をされております。
 他方、郵便局会社は、本来業務として、郵便事業会社からの委託を受けて郵便窓口業務を行うということを法定しております。その意味で、両方に法定がかかっているということでございます。
 このような法律上の要請に基づきまして、両社には郵便窓口業務に関する受委託契約を締結することが求められているということでございますが、このような受委託契約のもとで、基本的には両社の交渉により適切な委託料が決まってくるということだというふうに思っております。この交渉によって郵便窓口業務を提供していくための費用が賄われる、こういうことになるものと考えております。
○小泉(龍)委員 そうすると、私の先ほどの理解でいいという御答弁だったと思うんですけれども、そうですね。
 そうなると、郵便局というのは、先ほども申し上げましたけれども、収支相償で見ますと、郵便事業というのは一万八千六百四局が赤字なわけですね。この郵便事業の赤字局一万八千をどうやって賄うのか、どうやって維持するのか。これは地域貢献基金と関係ない、社会貢献基金と関係ないです。ベーシックな話です。それは今申し上げた収支相償です。
 結局、郵便料金を上げるしかなくなってくるんじゃないんですか。私は党の部会でそういうお答えも一度聞いた記憶があります。その裏づけとして、郵便料金の上限を廃止するでしょう、今度の法案で。上限を廃止し、認可制を事前届け出制にいたします。郵便料金が上げやすくなるわけですよ。上限を廃止するんです。認可制をやめて事前届け出にするわけです。
 その郵便料金が上がっていくという仕組みをとらない限りは赤字局を賄っていけないと思いますけれども、いかがですか。
○伊東(敏)政府参考人 お答えいたします。
 郵便料金の、今回の認可制から届け出制にすることにつきまして、先生の方から御指摘がございました。それについてまずお答えさせていただきますが、認可制から届け出制にはいたしますけれども、現在、手紙の基本的な料金につきましては、省令で定められているわけですが、上限がございます。これは改正郵便法におきましても引き続き維持をいたします。したがいまして、上限は取っ払うということではございません。
 それから、結局、郵便料金を値上げしないと郵便局が維持できないという御指摘がございましたが、郵便全体につきましては、平成十五年度、平成十六年度の決算におきましても利益を出しているところでございますので、郵便事業会社の立場から窓口つまり郵便局会社との関係を見ますと、いずれにいたしましても、現在ほとんどの窓口を直営でやっているわけでございますが、今度はそれが委託になる。もちろんその手数料をどう決めるかというところが非常に、まさにこれも利益相反する部分がございますので、適正な手数料になるかという、問題は全くないわけではないと思いますが、いずれにいたしましても、それらの手数料も含めまして、郵便事業全体において十分収支を賄う経営が郵便事業会社においてできる、郵便料金を値上げしなくてもできると考えております。
○小泉(龍)委員 議論をまとめますけれども、民営化というのは、国が支えていたものを民間の利用者が支える仕組みに変えるということですね。そうすると、例えば、見えない国民負担と言われていたものが、実は見える利用者負担になっていくわけですよ。国が肩がわりしていた、それは背後にいる納税者が肩がわりしていたものが、見える国民負担になって、利用者に転嫁されていくという仕組みです。民が支えるんです。そうでしょう。
 では、そのコストは小さいのかというと、大きいんですよ、五千二百億。公租公課、保険料で五千二百億。今申し上げた郵便局の維持費用。そして、ネットワークの維持費用が議論されておりません。これはNTTデータ等に今二千五百億払っていらっしゃると思いますね。専門家の意見では、四分社化によって、これから一千億ふえる。また情報産業をもうけさせて、それが利用者に負担としてかかっていくわけです。新規事業、コンビニをやるとか、そういう新規事業コストの話を一度も聞いたことがない。どれぐらいコストがかかるのか。このコスト論と、あるいは四分社化、シナジー効果が失われる、そのコストは幾らなのか。幾ら聞いても、部会では答えがないです。
 それはなぜ聞くかというと、国民の負担に、利用者の負担に全部なるからですよ。国が負担するなら、いや、全部責任を持って、私、国会に任せてくださいと言えばいいんだけれども、全部、料金になって民間に返っていくんですよ。民営化というきれいな言葉の裏側に厳然たるそういう仕組みがあるということですよ。それを国民にも知ってもらいたいし、その金額は半端な金額じゃないということ、それを資料で出してもらいたいんですよ。どういうコストがかかり、それが幾らぐらいなのかということ、そして先ほど申し上げた省令。それがなければ国民に説明もできないし、議論もできないと思います。最低限の資料です。
 いかがですか。政府として出す用意があるのか、出せないのか、はっきりお答えください。
○竹中国務大臣 今、小泉委員いろいろおっしゃいましたけれども、今まで国が支えていた、それが今度はいろいろな費用が国民の負担になるんだという言い方をされましたが、国が支えていたとおっしゃいますが、これはまさしく国民が今も負担をしているということです。
 その負担が見えない形になっているというところ、それを民営化でほかの企業と同じように、見えるものは見えるものとしてちゃんと負担していきましょう。そうする中で経営の規律もしっかりと働いて、かつ、そこに重要なのは、民営化によって自由度を与えることによって利益を上げていただきましょうということですから、利益を上げるという中で、これは長期的には郵便の料金を上げないというか下げるかとか、そういうことも可能になりますから、これはまさしく国民全体の利益を上げるという点が郵政民営化の基本的な視点であるということになります。
 そうしたことのいろいろな負担があります。そして、もちろん新しい事業をやればコストもかかります。しかし、それによって上がる利益もあります。それが全体どのような形になるかということは、既に我々は骨格経営試算とその後の新たな事業のシミュレーションによってお示しをしているところでございます。
○小泉(龍)委員 その利益の部分はビジネスモデルがないと言っているじゃないですか、さっきから。ビジネスモデルがないからはっきりしないでしょう、納得できないと。右肩上がりでもない世界で片手間で他業をやってもうかるのか、そういう問題があります。
 国が負担していたと。だけれども、四分社化によって新たに委託手数料にかかる消費税は今まで発生していないですよ。四分社化によって失われるシナジー効果のコストも今までないですよ。四分社化によって新たにかかる一千億と言われるネット維持費用、これも今までないですよ。四分社化することによって新たな費用が発生するわけですよ。それは新たな費用で、国民にいくんですよ、利用者に。そこを資料で出してください。それが国民に対する正々堂々の姿勢じゃないですか。正々堂々の民営化議論をされたいんでしょう。だったら、自信があるなら出していただきたい。国民の代表として申し上げたい。いかがですか、もう一度。
○竹中国務大臣 今申し上げましたとおり、そうした意味でのどれだけの租税の負担が生じるかということも示しております。その上で、新たなビジネスモデルがないというふうにおっしゃいましたけれども、これは幾つかの可能性としてお示しをしているわけであります。我々は、可能性として、新規の事業が一〇〇%できたときはこうである、しかし、五〇%、六〇%のときはこうである、そういうことをお示ししているわけであります。
 加えて、いろいろな費用については、いろいろなビジネスをやるに当たっての費用というのは積算の中に織り込んだ上での収支の見込みでありますから、そのような御判断をいただける資料については、この骨格経営試算とそして収支のシミュレーションの中で既にお示しをしているというふうに思っております。
○小泉(龍)委員 私に示しているとかいないという問題じゃなくて、これを皆さんが、注目している国民に、こういう負担もあるんだよということを正直に、メリットの方を説明してもいいですよ、メリット、デメリット、特に四分社化によるコスト、生木を裂くような、本当にそういうことをやって、コストがふえて国民負担にいく、ビジネスモデルがはっきりしない、倒れるリスクも国民は潜在的にしょっている、その部分をもっと率直にわかりやすく説明する義務があると私は申し上げているわけでございます。わかってもらえるんじゃないですか、この気持ちは。
 もうあと二分ですから、最後に出口論なんですが、大臣は、定額貯金の金利というのは、これはちょっと通告していなかったので意地悪になってはいけないんですが、細かいスキームは結構ですけれども、定額貯金の金利というのがどういう考え方で決まっているか御存じですか、定期預金との関係で。考え方です。
 ごめんなさい、これは通告していないからいいです。それは……(発言する者あり)では答えて。短くしてください。
○竹内政府参考人 短くというお話でございますが、定額貯金の金利でございますが、短期金利より長期金利が高水準にある場合には、民間金融機関の三年物の定期預金金利をもとに決められ、また逆イールドの場合でございますが、十年国債のクーポンレートを参考に決めておるところでございます。
○小泉(龍)委員 要するに、民間金利追随の仕組みが既にできているんです。金利完全自由化のときに、民間の金利形成機能をディスターブしない仕組みとして民間に追随しているんです。もうマーケット機能を生かしているんです、入り口。
 外側、預託義務がなくなりました。経過措置はありますが、平成二十年度から財投債マーケット、国債マーケットで資金が処理されます。国債マーケットに郵貯の資金が流れることによって、国債金利は下がっています。国債金利が下がることによって、それに連動する貸出金利は下がっています。つまり、もうマーケットに入れば、お金に色はありません、金利裁定が働きます。御専門のところでしょう。二十年度からその出口もマーケットになる仕組みがある。三省合意で経過はある。入り口もマーケットの仕組みで金利が決まっている。では、何が官から民なんですか。民営化したときに、何が官から民に変わるんですか。そこがわからないんです。
○竹中国務大臣 基本的に、その入り口の議論としてまず申し上げなければいけないのは、やはりそこは政府が保証している、金融という非常に特殊なビジネス、その中で信用が極めて重要であるにもかかわらず、国家という絶対的信用を背景にした機関がそこで預金を集めている、それによって、資金の流れが本当に市場メカニズムに沿って集まっているのかという御指摘は、以前から御専門家の間であるところでございます。
 加えて、そこで集められたお金は、これは官が集めたお金でありますから、おのずと運用に制限がございます。この運用の制限というのがマーケットにどのように影響を与えているか、これは大変難しい議論ですが、しかし、やはり何がしかの影響を与えているということかと思います。
 加えまして、官から民へのお金の流れというのは郵政だけではない。財投の仕組みについては今先生おっしゃいましたけれども、今後さらに、政策金融等、出口についてもしっかりとこれを縮小させていく。官の役割は民の補完に撤する、しかも、それによって残高も減らすという役割を演ずる。当然のことながら、民に入って民で運用されるお金というのが結果的にふえてくる。やはり官から民への間違いない流れ、それによって市場メカニズムがより効率的に働く、その姿を実現したいと思っているわけでございます。
○小泉(龍)委員 政府保証の話は、私も、これは公社の状態のまま外していくという道があるかもしれないということはかねがね考えております。そこは一つの論点として私も受けとめておきます。
 しかし、それで入れたものを多様に運用できないよと言うけれども、だけれども、SPCの社債も買えるし、投信も買えるし、三十数項目の資金運用ができるわけですね。それ以上のリスクマネーに行かないでほしいというのが貯金者の意思じゃないですか。リスクマネーにしてもらいたくないよ、ミドルリスクでとめてくれよというところで預金者の利益というものが、そこに意思が示されていると私は思うんですね。官から民へ、官から民へというふうに、これも出口論で繰り返し話が出ますけれども、入り口はマーケット金利になっている、出口もマーケット金利になっている、政府保証の問題はあります、安全資産しか運用できないというのが、これは預金者の意思じゃないですか。
 そして、私は、中小企業金融にお金を流すのであれば、住宅金融公庫がやったような、ああいう特定目的会社をつくって、中小企業の債権をそこにプールしてその社債を買う、投信と同じ仕組み、そういうスコアリングシステムによる仕組みを入れていくというのは公社で十分できると思うんですね。公社において金融ユニバーサルというものを維持しながら、この出口のところについては少し緩めていくという道が正しい道であって、しっぽが頭を振るんですね、この出口論からいきますと。しっぽを官から民にしたいと言っているうちに金融ユニバーサルがどんどん崩れていく。しっぽが頭を振っている議論だと私は思います。
 時間がもう本当にわずかになってきましたが、大急ぎでやりましたけれども、郵政民営化というきれいな言葉、官から民へというきれいな言葉の裏側には、私は、利益というものを第一主義に考えるマーケット、そういうものがある。官から民じゃなくて、官から利なんですね。民という言葉を使うから国民は錯覚をするけれども、それは民じゃなくて企業なんですね。企業というのは利なんですね。
 企業性善説からそろそろ我々は脱却した方がいいんじゃないですか。西武もあり、JR西日本もあり、三菱自動車もあり、さまざまな企業が社会的問題を起こしております。企業性善説、民という言葉を使うことによる錯覚、それを繰り返しインプットされることによる錯覚、そこから我々は卒業しなければならないし、改革という言葉に酔ってもしようがないですよ、この右肩下がりの時代に。もっとパブリックというものを、ヨーロッパの政治理念というものを地道に我々は考える必要があるんじゃないか。
 マーケットをどうしてそこまでナイーブに信じてしまうんだろうか、そういう思いを多くの国民が持っていて、そしてそれが、我々この議論に反対するメンバーの底流にあるんですね。ここが総理と一番相入れない部分だと私は思っております。
 そのことを、反論の時間がなくて申しわけないですけれども、もう一巡あるはずでございますから、申し上げまして、きょうは質問を終わります。
 ありがとうございました。

http://www.geocities.jp/dokodemodoa_jp/kaigiroku2/koizumi_01.htm

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