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幽質素といふものがござりまして、これはですな、たとへば狐が人間を化かしますな、さういふ時に発射をいたします。おそらく脳波の一種かと思はれますのですが、なにしろ幽なる質の素でござりまするからして微弱なものでござりまして、今時のやうに強力な電磁波に満ち々々た世の中になりますとどうやらその中に埋れてしまってなかなか効果を発揮できないやうでござります。
先日拙の近所の山に散歩にまゐりまして、その時お狐さまがお姿をお見せになったのでござりまするが、こちらをちらッとご覧になったはいいが、何かいひたさうなお顔と思ひしばし待てども何もなし。お首を振り々々どちらかへ歩いていらっしゃいましたのでござります。これはちゃうどその時携帯電話なぞといふお狐さまにとってはたぶん相当にけしからぬと思はれるものを拙が手にしてゐた所為でありませうか。と後で気づき、まことに申し訳なく思った次第でござります。
ここで会話をなさっておいでの皆様方もそれぞれ俺が俺がと強力な電磁波(念波?)を発射されてをられるやうで、どうやら得体の知れぬものに耳をすませるといふことをあまりなさらない方々ばかりのやうにお見受けいたしますでござりまするな。さやうなことでおよそ世の中の真実などといふものを知ったり感じたりできるものであらうか、と愚考いたしてをりまして、余計なお世話かとは存知まするでござりまするが。
♪きらり きらり 光った 流れ星
失礼いたしましたでござりまするのことよ。あなあなかしこ。ほととぎす。