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なぜアメリカは戦うのか
昨日(18)日、NHKテレビが「なぜアメリカは戦うのか」という米国製の特集番組を流していた。実によく出来た記録映画だった。アイゼンハワー大統領が1961年の退任演説で述べた、「米国はやがて軍・産複合体の深刻さに向かい合うことになる」という言葉が、メインテーマのように繰り返し流されていたこの番組が訴えようとしたことは、もはや米国と言う国が、米国民の知らないところで、戦争から逃れられない国になっている、それを視聴者に訴えることだ。
戦争はよくないと皆が感じながら、ほとんど何も知らされないままに、あるいはだまされながら、「自由を守るために戦わねばならない」と漠然と信じ込まされている米国民。
政府の誤りや、情報操作の危険性を知って糾弾し続ける米国の良識派には一縷の救いを感じるが、彼らとて、圧倒的な権力と動かない国民の前に沈黙させられる。
莫大な予算をめぐって戦争に群がる米国産業の競争はすさまじいばかりだ。しかしより深刻なのは末端の労働者が弾薬工場などに働いてその日の生活費を稼がざるを得ないという米国経済の実態だ。
アイゼンハワーが軍産複合体のスピーチの中で言っていたごとく「この国には300万人の労働者が軍需産業で生活をしている」。今ならどれぐらいの数になるのだろうか。入隊している息子のことを思いながら「爆弾で息子が殺されないか心配だ」と言いつつせっせと爆弾を作っている女労働者の、なんとやりきれない映像であったことか。母親が病死して独りになった高卒の男の子が、「これで生活が安定する」といって、不安げな様子で入隊を志願する、その希望と不安を抱きかかえた青年の表情が米国の病んだ姿を照射する。
その一方で、「テロの危険がある以上あらゆる手段を使って敵を攻撃するのは当たり前のことだ」と笑顔で話すネオコンたち。かれら一握りの連中の後ろには、おそらくそれを操っている巨大なビジネスと金融資本が存在しているのであろう。もはや米国の大統領そのものが操り人形なのだ。大統領一人では何も出来ないほど米国の軍・産複合体は巨大になってしまったに違いない。
今ブッシュ大統領はイラク戦争の三つの後遺症に攻められている。1.嘘の情報に基づいて起こした戦争2.CIAを使った国際的規模のテロ容疑者の拷問3.テロと戦うための国家的秘密通信傍受、の三つだ。いずれも民主主義の根幹に違反する国際的犯罪行為である。米国以外の国がこの一つでも行っていれば直ちに糾弾されるに違いない。
ブッシュ大統領がまともな神経を持っていれば「もう辞めさせてくれ」と叫びたくもなるだろう。しかし米国の大統領は辞めたくても辞めさせてもらえないのだ。巨大な利権と陰謀の操り人形に過ぎないのだ。
もしそうだとすれば小泉首相如きが米国に楯突くことなど出来っこない。
このように考えると、どうしても、諦めと無力感に襲われてしまう。ここまでの悪が明るみになっていると言うのに何も出来ないのだ。もはや人類は、世界は,行き着くところまで行かないと目が覚めないのか。
唯一つ、希望があるとすれば人間を信じることだろうか。世界の良識ある人間は気づいている。なんとかしなければならないと思っている。米国の国民こそ、もっともその事に気づいているに違いない。市民の良識の抵抗、米国の軍事用語ではブローバックと言うそうだが、市民の予期せぬ反撃、おそらくこれしかないのだろうか。このブローバックを引き起こす歴史的人物とは果たして誰なのか。いや、それは一人のカリスマ的な人物ではないのかもしれない。目に見えない不特定多数の良心がどこからともなく集まってひとつの大きな流れになることかもしれない。
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