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□「ブッシュのイラク戦争」に深まる疑念 国民の55%が「勝利なし」と回答 [アルジャジーラ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1546459/detail
「ブッシュのイラク戦争」に深まる疑念 国民の55%が「勝利なし」と回答
【アルジャジーラ特約12日】米北東部ニュージャージー州でジムを経営するトーマス・ジェシーモンドさん(47)は最近、イラク戦争を遂行するブッシュ政権の戦略に落胆し始めている。
ジェシーモンドさんがブッシュ大統領を支持してきたのは、「大統領が偉大な指導者」だからではなく、「9・11米中枢同時テロ後、ブッシュ政権なら米国を安全な国にするだろう」と思ったからだった。しかし、今、ジェシーモンドさんのこの信念がぐらつき出している。
イラク国内での相次ぐテロ事件、結束とはほど遠いイラク移行政権の内部などを見るにつけ、ジェシーモンドさんはブッシュ政権があまりにも巨額の戦費と兵士らの人命を犠牲にしているとの思いを強めている。
「米国とイラクの国民を守ってくれる妙案を持つ者が出てくれば、イラクでの戦いを支持する」。アルジャジーラの取材に対しジェシーモンドさんはこう話した。
こうした国民の疑念を晴らすため、ブッシュ大統領は最近、「イラクでの勝利に向けた国家戦略」と題する演説を行った。しかし、大統領はその中で、イラク国軍をはじめとする治安部隊の訓練、強化が最優先されるとし、米軍の撤退スケジュールには全く触れなかった。
このため同演説直後に行われたCNN、USAツデー紙、ギャラップによる合同世論調査では、実に55%が「ブッシュ政権ではイラク戦争に勝利できない」と回答したことが分かった。
米兵士の死者が既に2130人に達し、テロが吹き荒れる中、勝利への方程式、糸口も見出せないこともあり、米国民はイラク戦争の泥沼化を懸念している。
ロンドン在住の中東問題専門家、ナディム・シェハディ氏は「米政権の外交政策が国内からの圧力で左右される時期を迎えている」と分析、さらに「米中間選挙が迫っている中、内政が厭戦(えんせん)気分を高めることになるだろう」とも指摘している。
この厭戦気分が頂点に達したのが、民主党の重鎮ジョン・マーサ下院議員の「ブッシュ大統領の政策には欠陥があり、実現不能」との声を上げた時だ。同議員はそれまで、ブッシュ政権のイラク戦争を支持していただけに、議会内だけでなく国民にも衝撃が走った。
マーサ議員はさらに、「わが軍は苦悩し、米国の将来が危機に瀕している。イラク戦争を現状のまま続けるべきではない。イラク戦争の継続は米国、イラクそして中東地域にとり最善の策とはいえない」とまで言い切った。
同議員は最後に、「ブッシュ大統領は自ら墓穴を掘り、そこから抜け出せないでいる」と酷評した。
CNN、USAツデー紙、ギャラップが「米中枢同時テロ」直後に行った合同世論調査では、ブッシュ大統領支持は90%にも達し、イラク戦争開始直前での同率は58ー63%だった。それが今では過半数を大きく割り込んでしまった。
その一方で、テキサス州に住むティナ・カーターさんは「ブッシュ大統領はいろいろと考えている。イラク戦争がいつ終わるかは問題ではない。米国は世界の人々に自由を与える役割を担っているからだ」と話し、現政権を擁護している。
しかし、2004年春に、30歳の息子をイラクで戦死させたセレスタ・ザッパラさんは「イラク戦争は間違っており、明らかな人災」と反論する。
「教師だった息子は平和を、そして音楽を愛していた。息子がイラクに行ったのは義務感からで、政治家のためではなかった」と語るザッパラさんは続けて、「ブッシュ大統領は兵士たちを裏切り、誤った方向に導いた。今こそ真実に目を向けるべきだ」と怒りをぶつける。
こうした国民の声を受け、民主党内には今、イラク駐留米軍の早期撤退を求める意見が出始めている。
その1人、ジョン・ケリー上院議員(前大統領候補)はこのほど、「イラク駐留米軍の規模を少なくても10万人削減すべきだ」との考えを明らかにした。
これに対しチェイニー副大統領は、米軍撤退はテロリストたちの思うつぼで、米国が危機に直面するだけだと反論するとともに、「われわれが怖気つき、使命を放棄すれば、テロリストたちを勝たせてしまう」と強調、イラク戦争を現状通りに進めるよう訴えた。
各方面の専門家の間にも「急ぎすぎる撤退は混乱を招く」とする意見があるほか、「中東の戦争が終わるまでには30年はかかる」との見方さえ出ている。イラク戦争を終わらせる「即効薬」が見当たらないのが現状だ。(翻訳・ベリタ通信=志岐隆司)
2005年12月12日18時13分