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12月8日―メディアを創る
戦争を防ぐ方法
講演などでよく聞かれることがある。「どうして戦争がなくならないのか、戦争を起こさないようにするにはどうすればよいのか」と。
勿論私に明確な回答があるはずはない。しかし私は思う。一人でも多くの人が、「戦争は決して起こしてはならない」とその気になることが一番重要なことだと。
おそらくこの世の中には「戦争を起こして何が悪い」と考える人もいるだろう。それどころか「戦争で飯を食っている」人もいるだろう。こういう人たちには何を言っても無意味である。しかしやはりそういう人は少数だ。それにそんなことは正面から人前で言えることではない。
大多数の人は漠然と、「戦争は勿論好ましくないが、それでも戦争はなくならないし、攻撃されたら防戦する必要がある。戦争は仕方がない」と考えているのではないか。このような人が「それでもやはり戦争は絶対に起こしてはならない」と思うようになれば世の中は随分変るだろう。
問題はそのためにどうすればいいのかということだ。私は思う。我々一人一人が、それぞれのやり方で戦争の悲惨さを実感として感じること、その為の意思を持つこと、想像力を持つ努力をすることであると。
12月7日の毎日新聞、「記者の目」で、苅田伸宏(盛岡支局)という若い記者が、南方戦没者遺骨収集の継続を訴えている。彼は今年の10月にパプアニューギニアやフィリピンなどでの戦没者の遺骨収集事業に取材同行し、みずから収集作業に加わった。「・・・掘り始めて2時間。『アタマ、アタマ』と村人が日本語で叫び、スコップを持つ手を止めた。約1メートルの深さで頭蓋骨に当たった。慎重に掘っていくと全体が現れた。遺骨は指先で押すだけでぼろりと崩れてしまう。肋骨は土に返っていた。マラリア蚊を避ける長袖服を汗だくにした私たちは、遺骨の最期を想像し、黙り込んだ・・・」
彼は遺骨収集の困難さを認めた上で、それでも政府は遺骨収集をこのまま終わらせてはいけないと訴える。そして遺骨収集にボランテアで参加した団体代表の次の言葉を引用して、遺骨の収集は、戦争体験と不戦の誓いを次の世代に伝える作業になると言う。
「・・・現地から帰った若者は顔つきまで違ってくる。戦争や歴史について真剣に考えるようになる。現場を見れば戦争はすべきでないということが分かる・・・」
この若い毎日新聞の記者は次の言葉でこの記事を締めくくっている。
「美しい海に囲まれ、子どもたちが無邪気に走り回るパプアニューギニアの地面の下に、まだおびただしい数の人骨が埋まっている。小泉純一郎首相が靖国神社への参拝を続け、『英霊の追悼に誠をささげる』のならば、何故この現実を放置できるのか。収集は諸外国に対する日本の責任でもある。」
年齢には関係がない。戦争体験の有無も関係ない。個人の実感と想像力が、この若者に戦争反対の意思を持たせたのだ。
歴史を知らないと嘘が見抜けない
8日の東京新聞、「本音のコラム」で作家の半藤一利氏がおもしろい表現を使っていいことを書いている。
歴史を知ったところで何の利益もない。一円の得にもならない。しかし歴史を知らないと虚実を見破る眼力が失われてしまうと。
そして彼は明らかに小泉首相のことを指してこう言っている。
「・・・自分勝手な解釈で織田信長に擬する政治家がいる、都合のいい部分を歴史から切り取ったりして、正当性の主張とする学者がいる・・・」
まったくその通りなのである。歴史を学ぶには、まず客観的に、そしてその全体像をできるだけ知ろうとする謙虚で膨大な努力が必要なのだ。それを行わずして自分が知っているだけの歴史の一部を、あたかも歴史の全てであるかのように都合よく利用する連中のなんと多いことか。
半藤氏は言う。「・・・騙されないためにも歴史に対する活眼を身につけておかねばならない。さもないとまたこの国があらぬ方向へすっ飛んでいてしまう恐れがある・・・」
その通りであると思う。
欧州における米軍再編の加速が意味するもの
8日の各紙は、米政府が欧州における駐留米軍の再編を加速させていることを報じている。冷戦時代の自由主義陣営の拠点であったドイツからの部隊撤退を進める一方で、新に東欧諸国に軍事拠点を移し、中東や中央アジアのテロ組織掃討などの対応能力を強化する米国である。
これを証明するかのように6日、ルーマニアを訪問中のライス国務長官はルーマニアの外相と米軍基地使用の合意書に署名した。冷戦時の敵陣であるワルシャワ条約機構に加盟していた東欧諸国に米国が軍事拠点を設ける初めてのケースである。来年3月にもブルガリアにも軍事拠点を設けるという(読売新聞)。
米軍は既に9・11米同時爆破事件以降、中央アジアのウズベキスタンとキルギスに軍事拠点を構えた。中東ではとっくにサウジアラビアに巨大な軍事拠点を築き、やがてイラクに第二国防総省ともいうべき軍事拠点を造るシナリオを有しているとも言われている。
おりしも米国はテロ容疑者のCIA秘密収容所(ブラックサイト)をアフガン、ヨルダン、エジプト、タイ、キューバ(グアンタナモ)に加えて、ポーランド、ルーマニアにも設置していたと報道された。ライス国務長官は、国家機密を盾に真実の確認を拒否しているが、欧州訪問の直前にポーランドとルーマニアの施設を急遽撤去したと米ABCは伝えた。同時に又ABCは拘束者たちをヨルダン、シリア、モロッコ、エジプトなどに移送した可能性を指摘している(東京新聞)。
一連のこれらの米軍の動きは何を意味するのか。要するに米国の軍事戦略が完全に変化しつつあるという事だ。もはや国家として米国に脅威を与える国がなくなった事を知っている米国が、反米武装抵抗組織の壊滅に照準を合わせ、戦時国際法の枠外で、非人道的な手段を用いてまでも強硬に、「テロとの戦い」を推し進めることを決意したという事だ。その為には、弱小国や非民主的な国に米軍基地を集中させ、文句を言わせない形でテロ弾圧を推し進めようとしているのだ。米国も卑劣な国になったものだ。
そんな米国を、「過去も現在も未来も」変らぬ最重要国だと公言し、「世界の平和に貢献する日米同盟」の為に在日米軍の再編を丸呑みする政府と官僚は、国際情勢を直視しようとしない度し難い無能者の集まりだ。ここまで国民の利益を損ねて、何の責任も取らずに済むとは、彼らにとって日本は天国に違いない。
いよいよ米国産の牛肉輸入が再開される
大騒ぎを繰り返した挙句、根本的な問題は何一つ解決していないのに、疑惑の米国産牛肉の輸入再開が12日にも正式決定されるという。いよいよ年内にも日本の消費者に届くらしい。壮大な政治決着だ(7日朝日新聞)。
牛肉輸入再開が近づいたからであろう。二つの興味深い記事が最近の新聞に見られる。
その一つは12月7日の東京新聞に掲載されていた共同通信の世論調査である。米国産牛肉を「食べたいとは思わない」とする人が75.22%に上るという。その理由として62.5%の人が「安全性に不安が残る」と答えている。国民の拒絶感は一向に弱まっていないのである。
その一方で同じく8日の東京新聞が、これも共同通信の調査で明らかにされたことであるとして、食品安全委員会・プリオン専門調査会の12人の専門委員のうち、半数近くが諮問の仕方や米国での輸入条件遵守の実効性について、疑問や不安を抱いたまま、輸入再開を容認する結論を出していたことを報じている。もっと早くこの事実を報道すべきだったと思う。
かつてのエイズ薬禍や最近のアスベスト問題、そして耐震強度偽造事件、すべてに共通するこの国の病弊である。見て見ぬ振りをする、おかしいと思っていても自分からは言い出さない、 被害が出ればその対応すればよい・・・本当に無責任な国になってしまったものだ。
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