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米軍に教わる必要なし。
自衛隊は常時、市街戦の訓練をしている。
http://www.asyura2.com/0406/war59/msg/240.html
『有事体制シリーズ(林茂夫編、晩聲社)を踏まえた13年前の拙著
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投稿者 木村愛二 日時 2004 年 8 月 30 日 22:09:07:CjMHiEP28ibKM
『有事体制シリーズ(林茂夫編、晩聲社)を踏まえた13年前の拙著
9月1日の地震云々あり。要注意。
以下は、長編政治サスペンス『最高裁長官殺人事件』からの関係箇所抜粋である。
これ以前に、部外秘発表された論文『国家と自衛隊』が外部に漏れ、国会でも〈自衛隊のクーデター研究〉ではないかと追及された。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/saikou-index.html
最高裁長官殺人事件
木村愛二
[目次]
[中略]
→ 第三章 極秘計画《すばる》
http://www.jca.apc.org/~altmedka/saikou-021.html
《すばる》は、自衛隊の国内治安行動用の部外秘マニュアルである。かつて《三矢作戦》として問題にされた《昭和三八年度統合防衛図上研究》以後、さらに整備され、適宜改定されている。
[中略]
実戦さながらの治安出動訓練の記憶もよみがえる。
「ただ今から暴徒を鎮圧する。かかれ!」
連隊長の怒号が高性能スピーカーで轟いた。
1500名の〈治安出動部隊〉が1000名の〈デモ隊〉目がけて一斉に突進を開始した。智樹は足下の大地が揺らぐのを感じた。検閲台の上に立つ陸幕長さえも、必死に歯をかみしめ、心の中の動揺を押さえつけているように見えた。
血を同じくする日本人を敵方に想定する訓練には、やはり、異様な緊迫感があった。
1969年10月4日、北海道は千歳の原野で、陸幕長検閲の治安出動訓練が行なわれた。前日の3日には東富士演習場でもマスコミ向けに公開訓練を行なっているが、4日の方が規模も10倍で内容も厳しかった。防衛庁は3日にマスコミ関係者を引きつけておいて、秘密裡に翌日、本命の訓練を北海道で実施したのである。タイミングとしては翌1970年予定の日米安保条約の再改訂と、それへの反対運動に焦点が合っていた。
3日の公開訓練の模様を『サンデー日々』はこう描いている。
「戦車が地響きをたてて進む。黒煙がもうもうと上がる。真上の戦闘ヘリコプターからはカモフラージュの戦闘服を着た空挺隊員が縄を伝ってスルスルと降りてくる。突撃ラッパが耳元で鳴る。鉄カブトに小銃。完全武装の兵士の群れ。恐ろしい、なんて生やさしいものではない。まるで戦場だ。いきなりタイム・トンネルをくぐり抜けて激戦地に放り込まれたかのようなショックに襲われた」
デモ隊が100名でAビルとBビルを占領し、200名の治安出動部隊がそれを制圧するというのが、3日のマスコミ公開訓練の規模と主な内容であった。AとBのビルは建物だけで、その業務内容は定かではなかった。
だが、4日の秘密訓練は、参加人数も1桁上であり、〈N地区の暴徒〉を鎮圧すると同時に〈N地区を封鎖〉し、〈N放送局〉〈A新聞社〉〈B電力会社〉などの重要機関を〈警護〉するという具体的な内容になっていた。〈警護〉は現実的には〈占領〉である。〈封鎖〉と〈占領〉を合わせれば、戒厳令の原型となる〈合囲〉下の状態と同じである。だから、この訓練が秘密裡に実施された理由については、参加した自衛隊員が〈クーデターのための訓練ではないか〉と内部告発し、その結果、国会でも問題となった。
「抵抗を止めて解散せよ!」
「解散しなければ実力を以て排除する!」
「催涙弾発射!」
「放水開始!」
「戦車前へ!」
「障害物を突破せよ!」
「首謀者を逮捕せよ!」
デモ隊は火炎ビンを投げる。古タイヤに火を放つ。猟銃を撃つ。催涙ガスが漂う中を消火器を抱えた治安出動部隊が前進する。隊員は小銃を肩にかけているが、その訓練では撃たない。だが……本番用のマニュアルでは、必要とあれば撃つことになっている。
その後、自衛隊の治安行動用の兵器や装備が次々に整備され、主要都市周辺の基地に常備されている。
特に、首都東京の周辺に配置された各部隊は、一夜にして首都を封鎖し制圧しうる態勢に置かれている。1974年の春には関東周辺の図上演習が行なわれた。夏には本州と四国の陸・海・空自衛隊が合同して〈大震災対処演習〉の名目による〈非常呼集〉の訓練を実施したが、そのときの出動態勢は3時間で完了した。
そういう状況下で部外秘発表された論文『国家と自衛隊』が外部に漏れ、国会でも〈自衛隊のクーデター研究〉ではないかと追及された。
論文の筆者は〈体制を打倒して本来の憲法秩序体制に復帰させる〉必要のある事態を予測し、そのような事態における〈幹部の心構え〉についての論拠を、次のように外国の実例研究に求めていた。
〈『軍隊と革命の技術』の著者、K・コーリ夫人は豊富な例証をあげて歴史の結論として、革命が成功するか否かは正規軍隊の動向、特に将校団の動向如何がその成否を決したと述べております……〉
そして、そこから筆者は、次のような結論を導き出しているのであった。
〈現憲法秩序体制を破壊する兆しのある場合における自衛隊の行動は、国民の動向と関連してタイミングの選定が必要であろうかと思いますが、機敏果敢に行動して禍根を絶つ必要があろうかと思います。……日本の革命を左右するものは自衛隊特に幹部の動向であることを自覚して更に憲法秩序体制護持の覚悟を新たにしたいものと思います〉
つまり、外国の事例の〈将校団〉が〈自衛隊特に幹部〉に置き換えられているわけであり、これはシビリアン・コントロールの原則の否認と受け取られても仕方なかった。
[中略]
「クーデターで憲法改正を図る場合にですね、憲法第96条、衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成による発議、国民投票の過半数による承認という条項はどうなりますか」
「これは明らかにクーデター計画の最大の焦点です。今の日本では、いきなり現行憲法の停止という手段は取りにくいでしょう。だから、できるだけ合法的に憲法改正を図ることになります。手段は脅しか金か。金については〈1度に200億円以上動かすように努力中〉……つまり、クーデターを背景に可能な限り、野党議員の寝返りを策す」
[中略]
「私も防衛庁関係の研究会に参加したことがあるのですが、現行憲法には法律的な整備が不十分な箇所がいくつかありまして、これもその1つなんです。クーデター計画のグループも、この研究を知っているはずです」
「憲法にも穴場情報あり、ですか」小山田はさも嬉しそう。
「アッハハッ……ところがこれは、憲法学者や国会関係者なら誰でも知っていることらしいんで、情報価値は低いですよ。問題は〈総議員〉という用語の解釈なんです。本来なら、憲法が定められた直後に、不明確な用語の解釈は法律で定めておくべきなんですが、この〈総議員〉の解釈は定まっていないんです」
「議員の定数とは違うんですか」と冴子。
「そう。公職選挙法第四条の〈定数〉を〈総議員〉の数だとするのが、一番有力な学説です。ところがこの公職選挙法自体が、憲法第43条の〈議員の定数は、法律でこれを定める〉という規定に基づいている。つまり、憲法にはすでに〈定数〉という用語がある。すると、憲法で〈定数〉と〈総議員〉という別の用語を用いている以上、別の定義をすべきだという理屈が出てきます。しかも実際には、死亡や辞任で定数を満たしていることの方が珍しいんです。そこで、生存議員数説とか、議員資格があるものの現在数説とかが出てくるんです。人数が多い順にいうと、〈定数〉、〈生存数〉、議員資格の〈現在数〉ですね。今の国会は憲政党が過半数ギリギリですから、どうやって合法的に〈総議員〉の数を減らして解釈することができるかが、マル秘の離れ技になってきますね」
「今の日本では」と絹川。「反対派をバサバサ殺すのは無理ですから、〈生存議員数〉説も現実的ではない。議員資格の〈現在数〉説が一番数も少ないし、最も現実的ですね。憲法第55条〈議員資格争訟の裁判〉……〈議員の議席を失はせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする〉……〈出席議員〉を減らすのは色々な方法があるでしょう。テープにも〈逮捕者名簿の点検はしたか〉というのがありましたね。頑固なグループを口実を設けて逮捕、投獄する。最初の襲撃事件の指導責任というのが一番強力な罪状ですね。これでまず反対派の出席を減らすことによって〈出席議員〉の3分の2の多数を確保し、反対派の逮捕者の議員資格を奪う。これで〈現在数〉は減ります。今度は、〈現在数〉が〈総議員〉の数だという法律なり決議を通す。最後に〈現在数〉の3分の2の賛成で憲法改正の発議をする。解釈に異議があれば最高裁判所の決定に待つ、という順序ですか」
「最高裁も一役買う」と智樹。「そのときが弓畠耕一の出番だったのでしょう。最高裁がいったん合憲の判断を下せば、これをくつがせすのは容易じゃありませんからね」
「それと」と冴子。「影森さんが先ほど、〈実質的な戒厳令布告〉といわれましたが、これも研究済みですか」
「はい。それも」智樹は別のファイルを取り出した。「治安行動で予測される事態への対策は、ほとんどの細目に至るまで実質的に完成しています。一番のポイントは、国内の治安行動に関する限り自衛隊が警察の要請で出動すれば、それでこと足りるという点です。基本になるのは警察法第71条〈内閣総理大臣は、大規模な災害又は騒乱その他の緊急事態に際して、治安の維持のため特に必要があると認めるときは、国家公安委員会の勧告に基き、全国又は一部の地域について緊急事態の布告を発することができる〉……これが自衛隊法につながります。自衛隊法第78条〈内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもってしては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる〉……行動の細目は、地震対策などの諸法規ですでに整備済みですし、警察も自衛隊も訓練を経験しています。自衛隊の行動上支障があれば新しい法律を作りますが、それらの諸法規を援用する形で議会の審議が省略できます。ほとんど表紙を取り代える作業だけ、ということです」
[後略]
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[主要参考文献]
[中略]
『有事体制シリーズ・/国家緊急権の研究』『同・/全文・三矢作戦研究』『同・/治安行動の研究』(林茂夫編、晩聲社)