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http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1508027/detail
【アルジャジーラ特約25日】シリアの政治評論家サミ・モーバエド氏はこのほど、アルジャジーラに「シリア政権が友人づくりに乗り出す?」と題する論評を寄せ、その中で、アサド政権が最近、非合法団体でイスラム原理主義組織の「ムスリム同胞団」メンバーらを相次いで釈放、さらに同胞団指導者とも接触するなど、これまでに例のない柔軟姿勢を見せ始めていることに注目している。
モーバエド氏はその背景として、国連の独立調査委員会が「ハリリ元レバノン首相暗殺事件にシリア治安当局者が関与の疑い」との報告を発表した後、国際非難を浴びたシリアが孤立化を深め、特に米国との関係がこれまで以上に悪化しつつある現状を指摘、その上で、米国と対峙(たいじ)するためには、まず、反体制派も取り込みながら国内結束を強化することが不可欠と判断したアサド戦略があると分析している。
以下は、モーバエド氏が寄せた論評の主な内容。
シリアの反政府活動組織だった「ムスリム同胞団」は、1980年代初めに活動を活発化させたが、指導者やメンバーらが相次いで拘束、投獄されるなど、当時のアサド政権(現大統領の実父)の厳しい弾圧を受けた後、非合法組織に指定された。
ところが今、同胞団に吹きつけていた北風が緩み始めている。長期間にわたって投獄されてきた同胞団メンバーたちが相次いで釈放されているからだ。
柔軟姿勢を打ち出す最大のきっかけとなったのが、独立調査委員会が発表した調査報告の存在だった。同報告は「レバノン元首相暗殺にシリア治安当局者が関与の疑い」を明記、さらに事件の真相解明にシリア政府の弁明が不可欠とし、同政府に直接的な協力を強く求めた。
シリア政府は同報告に反発したことで、国際社会で孤立化を深め、特に米国は軍事行動の可能性をもちらつかせながら、アサド政権に対し厳しい姿勢を取り続けている。
これに対し、首都ダマスカスでは同報告後、連日のように反米デモが行われ、アサド政権は国民に「結束して今回の難局を乗り切るよう」と呼びかけるなど、国民間に危機意識=民族意識=を高める政策を進めている。
この民族意識の高揚と反米対峙姿勢の構築に向けて取られた戦略が、反体制派組織、中でも国民の間に一定の支持者を持つ「ムスリム同胞団」を招き入れ、それにより国内結束を一段と強化する策だ。
アサド政権はこの狙いの下、今月中に反体制派として投獄していた「ムスリム同胞団」メンバーを中心とする政治犯ら150人を釈放。
これに加え、「アラブ民族主義者会議」が今月10日にダマスカス大学で開催された際、アサド大統領は同会議場で、非公式ながらも「ムスリム同胞団」の指導者たちと意見を交換し、立場の違いを乗り越えた協力関係の構築を訴えた。
今回の意見交換そして「ムスリム同胞団」への協力要請は画期的な出来事と受け止められている。と同時に、シリア国内では今、協力要請が今後どのように進むかに注目が集まるとともに、国内結束を強化するアサド戦略が、シリアの対米関係のさらなる悪化をもたらす兆しとの見方も出ている。
(翻訳・ベリタ通信=志岐隆司)
2005年11月25日19時37分 アルジャジーラ