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【番組再録】パックインジャーナル「米軍再編で日本の負担は」
超長文でたいへん申し訳ありません。以下の文章を転送・転載なさる場合は、加筆や削除はせずに全文
をそのままお使い下さるようお願い申し上げ
ます。
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杉並区のマリネッリ恵です。
10月29日(土)、CS朝日ニュースターの「愛川欽也 パックイン・ジャーナル」を観ました。
今回の出演者は、愛川欽也(司会)、田岡俊次(朝日ニュースター・コメンテーター)、田畑光永(月
刊「軍縮問題資料」編集長、神奈川大学教
授)、永沢徹(弁護士)、川村晃司(テレビ朝日コメンテーター)、升味左江子(弁護士)、横尾和博
(社会評論家)の皆さんでした。
タカ派が中国脅威論を唱えたがることは知ってはいましたが、ここでは露骨な話が出てきます。そして
国民にとっては愚の骨頂といえる省庁間の牽
制合戦が、日本の元凶の一つであるようです。他の議題もありますが、長くなるので別メールにて。
尚、出演者の御発言の文末(ですます調)は、ところどころ省略させて頂きます。
米軍再編で日本の負担は在日米軍再編の問題で26日、アメリカ海兵隊普天間飛行場の移転先を
めぐり日米両政府がシュワブ沿岸案で基本合意した。政府は沖縄県と個別の調整に入ったが、負
担軽減を求める地元からは反発の声があがっている。また、沖縄以外の本土全体の新しい米軍配
置に対して基地をかかえる自治体からも反対の声が出ている。一方28日には、米海軍が横須賀に
原子力空母を配備すると発表した。
愛川氏: ふっと今おもったけど、55年体制の頃だったら今日は霞ヶ関を中心に、総評が大デモ行
進をしていて、僕はまあその事から話そうと思うんだけど、この静かなニッポン!特に
田岡さんに質
問したいんですが、沖縄の米軍基地をどこかにもっていく。特に飛行場を作らなくちゃいけないという
ことで、今まではあまりにも街の中だったから、どこか外にもっていかなくちゃいけない。ヘリコプターも
落ちたし。ヘリコプターが落ちた時だって、米軍がこうやってカメラを遮って、民放のテレビ局やなんか
の。ちょっと待てよと。あれじゃあ、占領軍だよ。マッカーサーの頃と変わらないんじゃないかなって、僕
なんかふと思うね。
Givemechocolate.の少年だったから。
田岡氏: 警察も締め出したんですよ。沖縄県警を締め出した。
愛川氏: そうでしょ!そうしたら、日本の自治権とかね、日本って独立国なのに・・・
田岡氏: うん、主権がね。
愛川氏: 主権が何処いっちゃったのというような出来事を、平気で僕等はニュースから見て、何に
も変わってないじゃないかと、沖縄において。それからもう一つは、どうしても日米安保条約というの
に僕等は守られてるっていうのが沁み付いてる。仮想敵国は代々かわってきた、色いろね。今は北
朝鮮が最大の仮想敵国。で、次が中国にこの頃はなってるんですね。
仮想敵国をつくらないと、こういう軍事同盟っていうのはあまり響かない。国民も不安だから、今まで
ずっと日米安保条約のお蔭で守られて来てこの平和があったんだと見る人と、別に日米安保条約が
なくたって何処も攻めて来なかっただろうと見る較差がこんなにある中で、とりあえず日米安保条約
は日本の政府が歴代決めてきたんだけど、今度の移転は日本政府がアメリカとの約束の中で決め
たんでしょうけど、沖縄県として受け入れなければ、これやっぱりやれないんでしょ、田岡さん。
田岡氏: だから特措法を作ってやろうかという話もある。沖縄はね、太田知事が例のレイプ事件が
起きた後、何をして欲しいんだと橋本首相から訊かれて、「一番優先は普天間を移して欲しい、外に。
あれが危ないんだ、街のド真ん中にあって。
行政上も問題なんだ」と。解かったということで、総理大臣はあのモンデールと取引をして、あれは外務
省が無理だって言うのを強引にそういう事にした訳で。その時に普天間で作ろうかという話になって。
で、沖合の埋立をしようかとなったら、ジュゴンがいるとかサンゴ礁が立派だからという話で。で、結局沖
合の埋立は無理だという
ことに現実になってきた訳で。それでどうするかという訳で、一回嘉手納の弾薬庫地域、陸上に造ろう
としたら、これも反対が激しいと。それで已む無くキャンプ・シュワブという海兵隊の基地の中を使って、一部埋立ててやろうということが日本の現実的な案として出てきた訳ですよ。
で、どうした事か、アメリカがそれじゃ困ると言い出した。それが訳わかんない。沖合の埋立を固執し
たわけですよ。ローレスなんかが来てそれを
言うと。日本の外務省も同じことを言って、どう考えたって実行不可能な案を一生懸命、アメリカ国防
省と外務省が両方で持ち上げたと。で、防衛庁が「現実に無理だから」と、それに対して抵抗して色々やって。結果的には防衛庁の勝ち、国防省と外務省の負けで、陸上案で決着したと。まだ
若干あの・・・
升味氏: なんかこの話って、ずっと昔から、とにかく沖縄の基地はなんとかしなきゃいけないし、
もうみんなそう思ってた訳じゃないですか。
ところがここ数年間の外交の空白の中で、本当だったら色いろアメリカと交渉できる材料があったと思
うのね。
例えば米軍の世界的な再編の中で、日本の沖縄に本当に海兵隊を置いておく必要があるのかとか、
すごい古いヘリコプターを発着させておく必要があるのかとか、色いろ言える事があったと思うのね。
沖縄の基地の負担を軽減するっていうことも勿論あるし、世界の中で日本が米軍の最前線のような状
況にならないような方法も色いろ考えられたと思うんですけど。
田岡氏: これね、日本の外交史上、非常にremarkableな話だと思うのはね、今まで外務省は、経済関
係の交渉はやっぱり財務省とかそれから経済産業省。英語はやっぱりみんな出来るわけだから、外務
省だけじゃないから直接やっちゃうと。外務省
はいつも陪席して黙って聞いてるだけで。
それで彼等としては、最後にその安全保障問題と日米同盟関係、これだけは少なくとも外務省最後の砦
として確保したかったんだけど、とうとうこれも外務省の言ってることは斥けられて、小泉さんも防衛庁説
に乗っちゃったと。防衛庁の次官なんかが前から言ってた通りになっちゃって、次官はアメリカから恨まれ
てミスター・ジュゴンなんて呼ばれてるらしいけど。
でもそれは大した話じゃないんです、外務省が負けたっていうのは、存立の基盤を失ったんだけど。し
かし大事なのはね、海兵隊の大削減が行われると。第三海兵師団という沖縄の師団の、それを中心とする第三海兵遠征軍というのがあるんだけどね、その司令部はグァムへ移る。それからあと3千ないし4千、それくらいはグァムへ減らしますと。
現実にも、かつて1万6千沖縄にいた米海兵隊は、現在1万3千にまで減ってる訳で。何故かという
と、イラクに行ってるというか、つまり沖縄にいる海兵部隊というのは、第三海兵師団って実は幻の師団で司令部だけがあって、あれ第一師団・第二師団から兵を借りてきて置いて、あたかもいるように装って、だから司令官の幕僚のポストのために過ぎなかったんで。
それがイラク戦争になったから、第四連隊と、そこの行くべき第三大隊、三個大隊、交替で行くから
ね。それがほとんどイラクに投入しちゃったから。それから他にあそこにいる第31MEU(遠征部隊)という、これ一個大隊、これも緊急派遣部隊ですよね。これも投入して。これは凄いですよ。実力、歩兵は千なんで、陸上部隊は。あとはヘリコプターで降りるから。千の内ね、この前ファルージャに投入されて、二百七十何名かの犠牲者だして、死者50、それから負傷が221かな。とにかく4分の1ほどの、これもうほんと全滅に近い大損害だして、この前7月に帰って来たのかな。とにかく米軍の海兵隊というのは、現実には既に戦力としてはいない!
愛川氏: わかりました。今ね、田岡さんの話を聞いてるとね、沖縄の基地って何なんだと。
田岡氏: だから沖縄の基地はもうなくなってる。
愛川氏: これ僕等ね、知らないんですよ、本当のこと言って。なんでそんな物いま造んなくちゃな
らないの。つまり兵が消えてるのに基地を持つ。
田岡氏: しかも那覇の軍港とね、牧港の補給基地を返すんで。
愛川氏: この話はじっくり聞きたいんで。他のテレビでは、こういう解説が絶対ないっていうこ
と、先に申し上げたいくらい。
田岡さん、先ず最初に訊きたいのはね、日米安保条約があるから、我々の中では基地があっても
当然のことだろうと。これは沖縄の人達にはたいへん申し訳ないけど。いや、僕はそもそも基地なん
か無くていいという考え方があります。だけどまあ、これは別として、置いとく。
その事が日本の安全保障に大きな役割を果たしていると思ったとします。ということは、米軍がちゃん
と居てくれてですよ、そしてまあ守ってるって言ったって、敵が見えないんだけど、まあ形だけでもそう
ならいいけど、田岡さんのお話を聞いてると、もっと形だけで…
田岡氏: それがおかしいのはね、今までの外務省の説はね、あの思い遣り予算ね、あれだって防衛
庁ではすごい不評なんですよ、防衛予算からあんな凄い金額出すのは。あれは外務省の説では、米軍
が居てくれるということは、日本の安全保障上不可欠であると。だから出しますと。で、今回ね、グァムへ
移転すると。移転するから立退き料を出して欲しいと。
愛川氏: それはなんで?
田岡氏: 向こうに施設を造らないといけないから。だから「それは出してくれるんでしょうな」
と。
升味氏: 沖縄で使ってる施設をグァムに造る費用を日本がもつわけ?
田岡氏: そうです。つまり「立ち退いて欲しいんでしょ?」と。出てって欲しいんなら立退き料を
よこせと。それでね、この前防衛庁の高官とね、「それはおかしい。矛盾しとるじゃないか。前は
居るために金を出そうと。今度は出すために金を出すのは、矛盾してるじゃないか」と言ったら、
彼も「そうだー!」という話になって。
まるでヤクザがね、飲食店か何かを守ってやるから見ヶ〆料(ミカジメリョウ)を取ると。ところが商
店主はそれ迷惑だから、「もう結構だからお帰り下さい」と言ったら、「じゃあ帰ってやるから、おま
え立退き料を出すか」とね。そう言ったら、彼が大笑いして「その通りだ」と言ったあとね、「これね、
私が賛成したと言わずに、田岡さんの意見として言って下さいよ」と、大笑いしたんですよ。
愛川氏: 今もう言ってらっしゃるけど・・・
田岡氏: いや、私の意見でね。
愛川氏: だけど今のこの話を聞くとね、これは税金なんですよ。しかも膨大な金を日本の安全保障
のために使って・・・
田岡氏: それでもね、移転経費を出したほうが、僕は理屈は合わないけどマシだと。その分、思い
遣り予算が減るじゃないですか。
愛川氏: 減るんですか。
田畑氏: 海兵隊って、結局どれくらい残るの?
田岡氏: 現在の1万3千を更に4〜5千減らしてくれるんなら、8千になればね、かつて1万6千
いた半分だから。戦闘部隊はもうほとんどいない訳で。司令部も向こうに行きますと。
田畑氏: 施設は残るわけ?
田岡氏: 施設はそう。しかし施設もね、南部の方の施設、一番大きいのは、そこで戦闘するわけ
じゃなくて、何処かに行くわけだから、策源地として使うと。補給基地として。その場合にはね、やっぱ
り一番大事なのは那覇の港と、それからそこから荷上げした物を置いておく牧港の補給基地があっ
たわけ。
で、それを今回返すと言って来てるわけですよ。ということは、北部と中部に集中して、もう南部は全
部止めますと。その中に一番大事な軍港と、それから倉庫街を返すというんだから、これはもう沖縄
を戦略的策源としてあんまり使う気は無さそうだなと。沖縄の港というのは他に無いんですからね。せ
いぜいあるのはホワイト・ビーチの埠頭がありますがね、あれは波があって使えないから。
升味氏: 訓練のための基地が残るっていうこと?
田岡氏: いや、訓練のためとしたら、グァムでやったって何処でやったっていいんで。
升味氏: そうすると、何で今度つくらなきゃいけないの?
田岡氏: だから残るのはね、たぶん第31、先ほど言った大損害を受けた、歩兵が1千とヘリコプ
ターが20機と装甲車十数輌とかその程度の小さい部隊があります。これは佐世保に4隻揚陸艦も
いるし。これは戦争するような部隊じゃなくて、何か例えば何処かで暴動が起きてアメリカ人が危ない
という時に助けに行くと。千人もいれば、飛行場を一時的に占領して救難機を降りるとか、埠頭を占
領して数日間おさえて救出するとか。
その程度のことは千人あればできるから。だから31MEUが残ることは、おそらく間違いない。
田畑氏: じゃあ、何のために基地を造るわけ?
田岡氏: それは普天間を止めるとすれば・・・、ヘリ部隊はおるわけ、当然。
愛川氏: じゃあ、とにかくアメリカ兵、あんまり居ないんですね。そして名目だけは残るんです
ね。そして今まで居たのがグァムへ行くと・・・
田岡氏: いや、名目であった師団がね、師団司令部がね、グァムに行っちゃうんですよ。だから名
目もなくなるんで。なんか訳がわからない状態。
愛川氏: つまりそういう所に膨大な・・・、たった一つ思い遣り予算がこれから減るだろうって。
思い遣り予算、これから見てましょうよ。
田岡氏: いや、減りますよ。明らかに減るのはね、基地閉鎖になるでしょ。そうするとそこにいる
日本人従業員ね、まあリストラできると、だいたいは。それから光熱水料ね、これ全部日本が電気
ガス水道を負担してるんだから、電話代から。それも全部要らないと、その基地の分。それから基
地の建て替え経費ね、これはまた膨大に全部日本がやってあげてるから付いて来るわけですよ。
それもまあ、せずに済むという風に・・・
愛川氏: でも今度移動すると、そこに造るんでしょ、また。
田岡氏: そりゃ一時はね。一時は払わんといかんけど、立退き料は。しかしその後、いくらなんで
も向こうの基地従業員の給料、グァム人のを出してくれとか、向こうの電気水道代を出せとかは・・・。
だから一括払いにしちゃって。それで例えばね、一割減るとするでしょ、3千人。いま3万6千人いる
んだけど4千人減ってくれれば、まあ年間あの思い遣り予算という本来全く義務のない経費だけで2
千4百億円払ってるから、一割減っただけで4百4十億円浮くと。その他に出してる経費としては、沖
縄の地代があるからね。これ含めると4千億円以上。それから日本国内では国営地を使わせてるか
ら、それも推定地代がいくらになるかという一番安いレートで計算してみたところで、それ1千5百億円
くらいになるから、全部足すと6千億円くらいになるでしょ。
愛川氏: これさぁ、日本の政府が今までずっとアメリカにこうやってね、あれ金丸さんが作ったん
でしょ思い遣り予算っていうのは。それから始まってずっとやってるんだけど、他所の国は、米軍の
基地が在るところ、ありますねぇ。で、フィリピンなんかは、追い出しちゃったじゃない。
田岡氏: あれは金を払えないのが問題で・・・。払ってるのはね、アメリカは、シンガポールは
払ってますよ。それからウズベキスタンとかカザフスタンとか、あの辺は払ってますよ。
愛川氏: しかし韓国にしたって、日本の払ってるのからすれば、本当に僅かなものじゃないです
か。
田岡氏: 韓国だけはね、払わされてるんですよ。それはね、韓国から文句が出て、「日本があんま
り気前よくやるから、『おまえ隣だから、おまえも出せ』と言われて一緒に出さされて迷惑だ」と。他のヨ
ーロッパ諸国は全くなしですよ。
横尾氏: 日本と韓国だけですか。
田岡氏: それがアメリカ人はね、GNP比では韓国のほうが高く払ってるから、日本も韓国並みのGNP
比で出せとか言ってくるんですよ。
升味氏: 今度の例えば普天間の件で、新聞とか見ていてもっと大きく取り上げていいなと思うの
は、私は東京生まれの東京育ちだけど、やっぱり沖縄に対してはもっと目を向けて、もっと日本人と
してっていうか、日本の政府としてはもっとちゃんとした配慮をしないといけないと思うのね。それなの
に全く地元の人たちを置き去りにして、上のほうだけで「はい、決めました。ここを埋立てることにし
ました」っていう話がいきなりニュースで流れて・・・。
で、さっき一番始めに田岡さんがおっしゃったけど、あそこ埋立をするとなると、公有水面の埋立って
いう手続きをしないといけないんですよ。公有の水面、海面を埋立てて滑走路を造ったりするわけだか
ら。今は県知事が「うん」て言わないじゃないですか。
田岡氏: ただね、おっしゃる通りですけどね、僕もそう思いますよ確かに。沖縄戦で戦死した海軍
の大田少将なんかね、「沖縄県民に特段の御配慮を賜りたい」というのが最後の遺言で、だからそれ
をやってるかという疑問はあるけれど、今回の件に関していえば、普天間から別のところに移した方
がよろしいというのは明らかで、本土に移せるかというと、海兵隊のヘリコプターなんだからヘリだけ
本土に移すわけにはいかないんで、それは本土で海兵隊も全部引き受けるっていうことでなければ・・・。
それは簡単にはできない。そうするとあまり迷惑のかからない所に飛行場を造るしか、方法は現実に
はなかろうと。それには陸上をけずって建てるという今の方法しか、たぶん現実にはないんで。
沖縄の人はね、どれにも反対している訳ですよ。じゃあ、沖合の埋立に賛成したのかというと、それも
かなり反対があるから出来ないと。それはできない、どれでもできない、でも普天間を移せということに
なると、あれはやっぱりちょっと無理をしてもね・・・
川村氏: それはやっぱり田岡さんね、戦後ずっと味わってきた沖縄県民の苦痛の歴史があるわけ
で、それは彼等にとってみれば、じゃあなぜ県外に移転してくれないんだと。沖縄の新聞は今も大きく
報じてると思いますよ、沖縄タイムスや琉球新報は。だから彼らの意思をきく前に、これがいいんだ便
利なんだって形で押し付けるような日米交渉やってるからなんですよ。
田岡氏: そう、そういうこと。だから県外移転よりもね、理想的なのはグァム移転であって、アメ
リカの国土に移すのが一番いいんで。
愛川氏: 私達がちゃんと知らなきゃいけないのは、米軍が然程いないっていう事実ですよ。それか
ら移転料でグァムに行くまでの費用を持つっていうことね。そしてしかも、これが本当の意味で日本の
安全保障に役立ってるのかっていう大前提の話すら、いま僕らは考えなきゃいけないんですよ。
田岡氏: 勿論ね、海兵隊は何の役にも立っていませんよ。アメリカの議会で言ってる通りで。「な
ぜ日本に海兵隊を置いて日本を守ってやってるのか」という質問が出ると、「いえ、あれは日本を守
るための部隊ではございません」と。
愛川氏: 誰が言うんですか。
田岡氏: アメリカの国防次官とかね。何故かといったら、それは当たり前の話。海兵隊といったら
それは出る部隊であって、遠征部隊ですから、彼等の任務としてはインド洋・太平洋全域にね・・・
愛川氏: 永沢さん、アメリカの議会でですよ、「海兵隊が日本にいるのは日本を守るためじゃない
んだ」と。このために思い遣り予算だっていって膨大な金を使っている日本という現実をね、なんで私
たちは知らないでこう…
田岡氏: 読まないから、新聞を。そのことは新聞にも何度も何度も書いてる。
愛川氏: 新聞を読む・・・。川村さん、これをじゃんじゃんテレビでやるべきですね。だって、ほ
とんど知りませんよ。けっこう新聞とかね、テレビのニュースを見てる人達だって、「安保条約が
あるから我々は守られてる。だからある程度お金がかかるのは仕方がないよ」って。でもアメリカ
は、「日本を守るためじゃねーよ」って。永沢さん、これご存知でした?
永沢氏: ええ、あの思い遣り予算っていうのは、こちらの一方的な思い込み予算であって、本当に
それでアメリカが感謝してくれてるかどうかっていうのは、非常に疑問だという風には言われてまして・・・
愛川氏: ちょっと待って。なんで置いておくかっていったら、アメリカはただで戴けるから喜んで
居るわけでしょ。思い遣り予算なくなったら、アメリカはみんなグァムに行っちゃいますよ。
永沢氏: そうでしょうねぇ。
愛川氏: やっぱり思い遣り予算でアメリカは助かってるんですよ、アメリカは赤字なんだから。私
達のお金で私達を守らないアメリカの海兵隊を食わしてる。
永沢氏: まあ、居るだけでそれなりの効果になっているという側面はあると思うんですね。
愛川氏: ああ、そこだ。それが一般的なテレビを見ている人たちの常識なんですよ。
田岡氏: しかし誰に対するどういう抑止力かと具体的に考えてみると、海兵隊っていうのは上陸部
隊なんですよ。前にあったレイプ事件の後、海兵隊のナンバー2くらいの人と議論をしたんですよね。
中国本土に上陸なんて事は全く考えられないって彼は言うわけですよ、もちろん。
台湾を守るというなら、空母だけ一隻出せば十分で、しかも台湾軍というのは物凄い強いですからね
ぇ。中国軍が上陸できるのなんて、せいぜい一個師団かそこら。台湾は20万かそこら。中国が台湾
に上陸なんていうのは自殺行為で、目の前の金門島すらとれないと見て、だから昔4万くらい居たの
に今は1万5千くらいに減らしてると。台湾の参謀次長が議会で証言して、「中共軍の台湾侵攻などと
いうことは、根本的に不可能なのであります」と説明をしているくらいでね。だからあれが抑止力になっ
ているなんていうことは、全くない。
愛川氏: さあ、これなんだよ永沢さん、これだけ聞いて、まだ抑止力ですか。
永沢氏: んん、やはり米軍が居るということ事態に価値があるんだと。だから米軍にしてみれば、
日本を守るために行ってるっていうのは大義名分たたない訳だから、それは日本に居ることによっ
てコストが安くなってると。それから日本のためにもなってるから、これだけ予算がついてると。まあ
それはそれで・・・
愛川氏: だから日本のためになっているということを、抑止力代として・・・、田畑さん、どうご
覧になる?抑止力になってますか。
田畑氏: だいたいね、日本は橋本内閣のあの見直しの辺りからね、日本を守ってもらってるより
も、アメリカの良いお友達でアジアに向かっていい顔したいと。
愛川氏: ところがそのアジアからこんなに嫌われてりゃ、いい顔になってない。
田畑氏: まあだけど、じゃあ、とにかく一段上から他の国を見下ろしたい。「俺はアメリカと仲が
いいんだぞ」っていうのを見せたいっていう・・・
田岡氏: それは逆でしょ。じゃあ寧ろアメリカに一部占領を許してるから、地位は低いわけで。各
国から見たらね、あそこだけまだ抑えられてるなということで、地位は低くなっちゃう。
愛川氏: これは面白いねぇ。この番組8年続いてるけど、今まではここまで突っ込んで訊きたいと
は思わなかったんですよ、なんか物騒で。
田岡氏: 特に海兵隊に関していえばね、横須賀の空母がどうかといえばね、これは冷戦時代にはソ
連に対する優勢を保って、だから抑止力ではあったでしょう。現在はそんな! 中国海軍だって、海上
自衛隊がやったら、おそらく何時間相手はもつかというレベルの話ですからね。
横尾氏: 凄いこと言ってる。
愛川氏: 凄いこと言ってる。いま田岡さんはね、中国海軍と日本の海上自衛隊が戦ったら、中国が
どのくらいもつかと。日本が勝つとおっしゃる。
田岡氏: もちろん!そんな、問題にならない!プロ野球と高校野球
のね、千葉ロッテと千葉の高
校のどちらが勝つかと。その程度の話だから。
愛川氏: そう言うとまあ、一部の人たちが喜び過ぎちゃうといけないから、ここでストップすると
して・・・
田岡氏: いやー、その一部の人達ね、喜ばなくて!海上幕僚長が自民党
の勉強会で、それ言っ
ちゃったわけ、うっかり。「何時間もつか見物だな」と。そうしたら、「あいつ、けしからん!」と言うわけ、
自民党のタカ派は。何故かというと、それじゃ予算が取れないしね、彼等は「中国は怖い」と、「日本
は弱い」と。「アメリカに守ってもれってるんだ」と。実際はそうじゃなくて、あんな物そりゃあ。
愛川氏: 永沢さん、これはウチの番組の田岡さんの意見として聞いたところで、まだ抑止力です
か。
永沢氏: あのー、そうだと思いますね。自衛隊が強いといったって、そりゃ兵力があるというだけ
で、実戦の経験は全くないわけですよねぇ。
で、アメリカ軍は実戦の経験があるわけですよねぇ。
愛川氏: どこが攻めんの、じゃあ。
永沢氏: どこが攻めるか判らないところで守るのが、防衛なんじゃないですかね。だから、あまり
一点集中でここしか攻めないって考えるのは、それはあのー・・・
田岡氏: だからね、防衛力を持つことは僕は前から大賛成で、それは将来どうなるか判らないから
持ってるということに意味があるんですよ。
しかし同盟関係というのはね、むしろその場その場の利害でね・・・
愛川氏: 直ぐあんなもの、断っちゃいますよ。だってソ連がそうだったじゃない!
田岡氏: あんなもの、そうです。或いはね、企業でいったらジョイント・ベンチャー組むような話
でね。当面なんのためにジョイント・ベンチャー組むのかも、実は本当はわからない。ただ喧嘩し
ちゃまずいから、一応組んどくかという、その程度なら別に不賛成じゃないんですがね、むしろ不
戦条約としての効果はあるから。
話を元に戻すと、「沖縄の海兵隊は別に日本を守るためじゃなくて、インド洋や太平洋に出て行く
ためにあそこに待機させております」とアメリカの国務省の高官が議会で何度も説明していて、1
回だけじゃない何度も何度も答弁され、その度に日本の新聞に載ってるんです。
愛川氏: で、また元に戻すけど、抑止力はあるんですか。
川村氏: だからやっぱり、国防の政治家にとってみれば、まあ仮想敵っていうか、どこかで脅威論
を訴えなきゃ、予算も取れないから。
愛川氏: 予算が取れないっていう話で、抑止力じゃないでしょ、これは。
川村氏: だから中国脅威論っていう事になるんですよ。
田岡氏: 予算取るのはね、そりゃ日本の防衛庁の予算を取るなら良い訳ですよ。ところが逆で、日
本の防衛予算からね、年々すごい金額をね、毎年航空母艦を造れるような金をね・・・
愛川氏: アメリカの抑止力はなんだっていう話で終わらせます。
===CMタイムアウト===
愛川氏: CMの最中に、これでもまだ抑止力だっていう一般の日本人が多いのは何なんだって升味さ
んに訊いたらね、幻想として染み込んでるんだっておっしゃる。国策の中の大きな問題が、幻想でいいん
だろうかって、やっぱり僕、思っちゃうんですよ。
田岡氏: 日本はアメリカに頼ってるはずだという前提の考えがあるわけですよ。
例えば防空なんかでもね、1959年からですよ、航空自衛隊が日本の防空をやってる訳ですよ。アメ
リカは日本の防空に責任を負ってないと。それから中央部隊だって、アメリカは海兵隊しかいなかった
わけ。或いは北海道には陸上自衛隊・・・、日米防衛協力の指針でも、着上陸の阻止・撃退とか防空
とか、全部日本の自衛隊が一時的に処置するという風に書いてあって。だからアメリカはやらなくて済
むようになってるわけですよ、既に。だから何を守って貰ってるのか、具体的にきくとわけ分からない。
ところがね、面白い事にね、自衛隊はそれ知っててね、ある人から可笑しいこと聞いてね、「いや、防
衛の方は大丈夫だけど、経済の方では広くアメリカにお世話になってるんじゃないでしょうか?」と言う
わけですよ。で、経済界は逆で、「我々は金を貸してやってるほうでね、防衛の方でお世話になってる
んじゃ?」と。何かアメリカにはお世話になってるんじゃないかと。で、「ウチじゃないから、あっちじゃな
いかな?」と。
愛川氏: これはね、本当にね、僕のような学童疎開を経てきて、そして戦後第一回の民主主義を教
育された人間がね、あらためてアメリカ軍が居るということで、Givemechocolateで
育ってきた人間は、
抑止力だと思ってたけど、まあこの番組で色んなお話を聞いてる内に、そんなに守ってないじゃないか
ということが段々わかってきて・・・
田岡氏: 特にソ連がなくなってから。ソ連がいた頃は、まだ同盟の意味があったんですよ、共通の
敵があったから。だからその頃はね、日本とアメリカと中国の三国は、対ソ大同盟だったわけですよ。
韓国もその仲間だったわけ。ところがソ連がいなくなったことが本質的には、先ず90年代の日米の
対立の原因であり、今の日中の対立の原因で。共通の価値観とか美辞麗句でなくて、同盟を維持す
る唯一の理由は、共通の敵ですからね。で、共通の敵がなくなってますから。
愛川氏: わかりました。ソ連が崩壊したことで、日本の安全保障の問題、もう一回国がちゃんと考
えて直していかなきゃいけなかったのに、お金払うことで済ましてきたわけですね。お金持ちって、世
界で言われてるわけだから。ところがね、さっき川村さんがちょっと仰った、今の若い人達ね。圧倒
的に若い人たちは、僕等なんかと考え方が違うよって。むしろ永沢さんよりもっと進んで、「アメリカが
居るから日本は守られてる。アメリカの核の傘の下にいるから、日本は平和なんだ」って若い連中は
言ってるっていうんですよ。これは、もうどうしようもないね。
田岡氏: 核に関してはね、そりゃ確かに日本が持とうとすれば、アメリカと喧嘩になりますから
ね。持てないですよ。
愛川氏: ちょっと待って。しかし今の流れで行くとね、やがて日本の本当の安全保障を、安保条約
も解消していくようになった場合に、小さな国も核を持ち始めて、日本も核を持った方が外交的には
強くなって、また外務省は・・・
田岡氏: 外務省は絶対反対。
愛川氏: 反対?例えばそういう事になった場合に、こういう話だって出てきてるんですよ。そう
すると、日本に核を持たせるっていうことは、アメリカがしないと。
田岡氏: 勿論しない。
愛川氏: しない。それはそこまで日本を信用してないっていうこと。
田岡氏: 信用してないっていうか、基本的には核拡散反対だし。まして北朝鮮が核を持つのと訳が
違うわけですから。アメリカに次ぐGNP持って、航業水準も高い国が核を持つとなったら・・・
愛川氏: じゃあ、亡霊のように染み込んだこのアメリカの抑止力。この一番の大元は、核の傘の
下。田岡さんも、それはあるねと今おっしゃった。そうすると、核の傘のアメリカに対する国とは、日
本は戦わなきゃならなくなっちゃうんですかね。
田岡氏: いや、そうじゃない。しかもね、例えば横須賀のこの空母の問題でもそうですけど、日本
だけがね、思い遣り予算も空母母港化も、例外的なことをやってるわけですよ。
予算を出してるのは、日本とそれから韓国も付き合いで出してる。それからね、アメリカの海外の海軍
基地はね、横須賀・佐世保と後は悪名高いキューバのグアンタナモしかないと。他のヨーロッパ諸国は
どうしてるかというと、イギリスの海軍のポーツマス軍港、イギリス海軍の港に入りますと。フランスでも
そうだし、イタリアのガエータ湾でもスペインでもオーストラリアのパースでも、何処でも地元海軍の港に
同盟国だから入ると。フィリピンのスービック湾ですら、かつてそうだった。
日本だけが例外で、ぜんぶ金を出しながら日本海軍が造ったあの基地をアメリカに提供しちゃって、海
上自衛隊はその一部を借りると。だからアメリカ海軍は正門から出入する。海上自衛隊は裏門から出入
する。しかも数からいったらね、日本の海上自衛隊とアメリカ海軍といったら、第七艦隊、全太平洋艦隊
と海上自衛隊は等しいわけですよ。主要水上艦57隻、世界第二の海軍で。それですらね、未だにその
借りないといけない。
愛川氏: お金を出して、米軍の基地で米軍の治外法権みたいな所で、日本の海上自衛隊はお借りし
て入ってるという、変な世界に例のない貸借関係。いじけたような感じだよね。それも何もかも、アメリカ
の核の傘の下にいるからだってことで落ち着いちゃって・・・
田岡氏: それはおかしいですよ。だって他所の国だって核の傘の下にいるわけですよ、アメリカの
同盟国。
横尾氏: アメリカと軍事同盟結んでいる国は、いっぱいありますよね、日本だけじゃなくて。
田岡氏: たくさんある。先ずね、部隊を置かしてる国が非常に少ないんで。
愛川氏: なんでアメリカにこんなにさ・・・
田岡氏: 敗戦ですよ。敗戦・占領がね、未だに続いてるんですよ、心理的にはね。
川村氏: 私この間、長崎の原爆資料館に行ったんですけど、学生が来てるわけですよ。原爆の悲惨
な写真を見たり、色んな資料やフィルムを見て、彼らは「やべー、やべー」っていう言葉しか出ないわけ、
その中学生・高校生が。そこに来ること自体は意味があると思うんだけど、そうなるとやっぱり強いアメ
リカ、つまり日本は原爆を落とされた国。だからアメリカに対して文句いっちゃいけないと。つまりそうい
う意味ではアメリカのような国になることの方が、まあ望んでるっていうとおかしいけれど、惹きつけられ
るものが逆効果として出ているようなところがあるんですよ。
愛川氏: これは面白い発言だ。本当、わかるわ。
川村氏: その「やべー発言」というのはね、それこそヤバイんでね。
愛川氏: じゃ、もう一回ききたいんですけど、アメリカの核の傘の下にいるということはね、まあ
平たくいうと占領が続いてるようなものですね。そうするとアメリカがどこかと戦争するとすれば、ア
メリカが戦争した相手から攻撃されますよね。
田岡氏: もちろん。それは日本から発進した場合はね。もちろん日本は中立国じゃないですから。
愛川氏: 発進するでしょ。基地があるんだから米軍の。
田岡氏: うーん、何処というと、昔はソ連はそうだったから。今は別にそんなことないから、話は
別だけど。
愛川氏: だって、こんなに思い遣り予算で置いといてねぇ、で、その時になったら緊急的にね、
バーッとアメリカの軍隊が入って来て、日本は近いんだから。
田岡氏: 何処をやるっていうの?
愛川氏: 今、中国とか北朝鮮を言ってるんだけど。
田岡氏: あーぁ、そんな事ない。先ず北朝鮮はね、あれは韓国と比べてもGNPが60対1とかそん
なもので、アメリカとメキシコの差より酷いんで、あんなものはもう・・・、韓国だけでチョーンとやれば
ね、韓国は北朝鮮を潰したらまずいんで
潰さずに残してるだけの話で。
愛川氏: まあ、いいです。北朝鮮とアメリカは戦争しないですよ。北朝鮮の方が望まないですよ、
そんなね。それから中国・・・
田岡氏: 韓国も望まない。潰れられたら、統一せざるを得ない。それは困るから。
愛川氏: でも中国は、アメリカと戦争・・・
田岡氏: 中国、もちろんしない。中国はすごい親米国ですよ。
愛川氏: それじゃ何がいったい担保されて・・・
田岡氏: 中国の要人たちの子弟はね、ほとんどアメリカの大学に行くわけですよ。今のトップの方
はトウ小平が引き抜いたテクノクラートで、あれ全員エンジニアで工学部なんですよ。で、その次の世
代は何かというと、これはMIT(マサチューセッツ工科大学)・ハーバード。
愛川氏: 永沢さん、もう一回ぼくらはポピュラーな日本人として、これ、核の傘、必要ですかね。
永沢氏: まだ必要だと私は思います。ただ、やり方は少しずつ変えていく必要があるのかなと。だ
から外交手腕だと思うんですよ。だから交渉によって、日本にとって何がいいのかっていう事を、国
民も検討しなきゃいけないし、政府も・・・
田岡氏: だから同盟国並みにすると、普通の。
永沢氏: そうですね。
田岡氏: 日本は同盟国じゃなくて、非占領国なんですよ、現実はまだ。そのために、一番の象徴は
ね、小泉さんまだ業績残せると思うのはね、横須賀基地の支配権をね、管理権をね、海上自衛隊横
須賀総監のちゃんとした人が居るわけですから、それの指揮下におくと。別に金もう全部出してるんだ
から、金がかかるわけじゃない。それで同盟国だから、ここの部分は使わしてやるからとか。
来るんなら基地空けてやると。
愛川氏: それ、いいですね。
田岡氏: 他所の国はそうしてるんですから。
愛川氏: それはやると思いますか。
横尾氏: 絶対やらない。
愛川氏: なんでやらない?
川村氏: 小泉さんの元風景が正にあそこの横須賀の港で育って横須賀高校を出て、ずーっとアメリ
カがいっぱい来てるね、思い入れがあると思いますよ。
田岡氏: しかし思い入れって、変ですよ。占領されてることに対する快感?
田畑氏: 愛川さんが紹介してくれたその本(軍縮問題資料)、300号特集ね、改めて問う兵器な
んですよ。もう武力は何にも解決しないの。
だけどそれがなくなったら困る人達がね、色々と騒いでるだけで。特にアジアはね、武力で何かを解決
するなんてそういうの何にもないんですよ、今や。
愛川氏: それ終わってるっていう風に、どうしてもって我々大きな声で言ってさ、もう戦争では解
決しないんだっていう事を言っていくようなね・・・
田畑氏: 言った方がいい、みんなでね。みんなもう入り組んじゃってるんだから、お互いの利害
が。凄い入り組んでるんですから、何か武器持ってって叩いてみたらね、もうみんなお互いが傷つ
くだけだからね。
横尾氏: 経済に国境はないわけですからね。
田岡氏: 中台もね、連帯化を始めてね、台湾人が百万人もね中国に行って、それが技術者とか経営
者として指導してると。投資だって実は、実力は台湾が一番上でしょ、香港経由で。だからどんどん一体
化してる。
川村氏: それにもかかわらず靖国参拝したりね、憲法改正の動きが出てくるって、何でアジアのそ
ういう人達を逆撫でするような事をまたね、いま戦後60年経ってやるのかってね。
田畑氏: 台湾海峡でこの前、アメリカにいって2月にね、2プラス2で行ったけど、あれ本当に余
計なことでね、両方でやってますけど、あれ京劇でね、ドラム叩いて軍隊が部隊がデモンストレーシ
ョンする、あれと一緒なんですよ。やる気はないんだけどね。
田岡氏: しかも日本でね、何かアメリカが中国と対抗するように思ってる人多いけど、現実はね、
何か台湾が独立を志向するような動き、例えば国民投票するとか憲法改正しようとしたら、アメリカ
は躍起になって、とにかく陳水扁を脅かして「止めろ」と。で、日本も言われるから、陳水扁を口説い
て、「そういう事は止めて欲しい」と言うんで。
つまりアメリカはね、台湾独立を推進しようとは思ってない。
田畑氏: そうそうそう。
田岡氏: つまり彼等にしてみれば、日本も一緒の立場なんだけど、中国にも投資をしていると。台
湾にも投資をしていると。この2つが喧嘩するようなことになると困ると。
田畑氏: うん、今のままでいい。
愛川氏: 解かりました。皆さんのお話を聞いて、その抑止力の最大の抑止力は、やっぱり平和主義
だよ。そこをもう一回、日本はね、原爆2つ落とされた国なんだから、やっぱり平和主義を貫くっていうと
ころで、さて次の・・・
田岡氏: 空母は?
愛川氏: あっ、空母ね。それはやらんといかんね。つまり今までも空母は来てたんですね。
田岡氏: 来てたんじゃなくて母港化。73年以来、Midwayが母港にしてました。
愛川氏: 母港にしてましたね。だけどこれは、原子力空母じゃありませんね。で、今度原子力空母
を・・・
田岡氏: 空母を一隻母港化しようかと。何故かというと、一つはね、もうアメリカ、原子力空母し
か残ってないんですよ。最後に残ってた普通の空母2隻が、これが今いるKittyHawkとそ
れから
JFKが残ってるんだけど、本来は艦齢30年がむかし軍艦の定年だった。ところが高いものだから
それを無理やり改造して45年までにしたんです。現在あれがもう既に、1961年就役だから44歳、
今年で。2008年には47歳になるわけで。これを退役させようと。その代わりに原子力空母が出
来てくるから、その内の1隻を廻して来ようという話で。それほどねぇ、実は問題になる話じゃないと
僕は思うんですよ。
愛川氏: だってあれは原子力発電所が動いてるようなものなんでしょ?
田岡氏: そうです。パワー大きいですよ、けっこう。
升味氏: 中規模の原発くらいでしょ。
田岡氏: 中規模、そう。194メガワット。美浜1号が340かなぁ。それに近いぐらいものにな
る。
愛川氏: 原子力発電所が、あそこ横須賀の港はもう街の真中みたいな所でしょ?
田岡氏: そう。あそこの繁華街から1kmくらいなんですよ。
愛川氏: 繁華街から1kmくらいの所に原子力発電所ができちゃうっていう問題でしょ、これは。
升味氏: 日本で造ればね、設置基準とか安全審査とか、物凄くきびしいんですよ。
田岡氏: そう。ただね、アメリカだってね、NorforkとかそれからSanDiegoに行けば、
街の傍の軍
港に原子力空母が泊まってるわけで。だからアメリカにしてみればね、「ウチだってやってるんだか
ら大丈夫ですよ」と。
愛川氏: だってアメリカはほら、いつも、牛肉だって何だって「ウチら食ってんだから大丈夫だ
よ」って。
田岡氏: 一つはね彼ら約束してるのを、これちゃんと守らせればね。つまり原子炉は沖で止めて、
補助用のディーゼルが付いてますから、あれ10万馬力くらいで結構走りますからね、じゅうぶん走れ
るからそれで浦賀水道を上がって来て、港の中に入ると。で、港の中では日本の陸の電源とかね、
それから水道を繋いでやれば、エンジンまわす必要ないから。
升味氏: せめてそれくらいしてくれればね。前は異常放射能が・・・
愛川氏: それをやるって、これから持ってくんですか。
田岡氏: 言ってます、もう大使が、「原子炉を運転しない」と。
升味氏: でも異常放射能が検地された時に、調査って今まで過去に何回かありましたよねぇ、ベト
ナム戦争の頃とか。ぜんぜん捜査も何にも出来なかったし、結局資料も何も貰えないまま終わっちゃ
ったんですよね。
田岡氏: まあ、それはそうでしょうね。向こうだって、原子炉を日本に見せたらね、コピーするか
とかね、心配するから、それはなかなか見せないでしょうけどね。しかし止めさえすればね、止め
て入って来るんであれば別に。
田畑氏: そんなこと守るかな、だけど。大変なんでしょ?
田岡氏: いや、あれは簡単に止められる。だからちゃんとディーゼルも付いてて、どちらにでも切
替ができるようになってるんですよ。ディーゼル回してるかどうかは直ぐ判りますよ。だって煙突から
煙が出るかどうかで。
愛川氏: それはじゃあ、横須賀市は監視するべきだね、煙が出てるかどうか。
升味氏: 市長さん、反対してますよね。
田岡氏: うん。そりゃあ原子力空母がね、確かに1kmの所に来るのはね。だって日本の原発って、
半島の岬の先とか人のあんまりいない所じゃないですか。あんな街のど真ん中にね、入って来るの
が気持ち悪いのは、そりゃあ解かるけど。
愛川氏: 最後は賛成するんでしょ。だって小泉さんの御膝元だもの。
田岡氏: むしろ僕は、あれを母港化させてることに問題があると。だからあれを海上自衛隊の基地
にして、「同盟国だからおいでよ」と。
「入って来る時はちゃんとエンジン止めろよ」と。「埠頭にちゃんと入れれば水も只でやるからね」
と。主権の及ぶ下での利用を考えれば・・・
愛川氏: じゃあ話が戻りますけど、普天間だって今のところ反対してますわね。だけど知事にし
たって何にしたって、最後は賛成するんでしょ?
田岡氏: それはその方がいい。だって普天間は本当に危ないし、あの街の中にあるのは。早く移し
た方がいいです。それが沖縄のためです。
愛川氏: 形式だけ反対してるんですか、それらの方々は。
升味氏: そうなのかなぁ・・・?
川村氏: 知事は反対でしょ。それは如何に折衷案になったとしても、自然は守られるかどうかと
か、生活している人の視点からみれば、やっぱり反対だと思いますよ。
田岡氏: 飛行場を何処へやるかよりも、アメリカの海兵隊の人数を減らしさえすればね、犯罪の率
は減るわけですよ。だから地域協定の改定よりも、問題なのは減らすことで。
愛川氏: 兵隊が多ければ、それだけ犯罪が・・・
田岡氏: だから僕は、グァム移転の金を出すことはね、理屈は合わないけど賛成で。あとで思い遣
り予算を減らして、取り戻せばいいんだから。
愛川氏: なんか何回きいても虚しい話でね。やっぱり戦争しないっていうこと以外に抑止力なんて
無いと思うし、そのくらい青臭い事を言い続けてなかったら、僕は日本の価値なんて無いような気が
するんですね。僕ら、色んな事を知ったうえでアメリカと付き合っていく。そういう事のほうがずっと大
事だと思うんですね。色んな事を知らないで何か洗脳されている内にね、有り難いもんだなんていう
訳にいかないでしょ。
升味氏: 基本的な数字が、私たち議論してても全然わかってなくて。例えば日本列島に米軍がどれ
だけいるか。私の本には42962人って書いてあるんですが、2年くらい前なんです。
田岡氏: イラクに行ったから、3万6千くらい。それも去年の段階だから、今年はもうちょっと少
ない。
升味氏: 他所の国、韓国は当時36539人いたんですけど、これは色いろ交渉があって2万5千
人に減るということになってるそうです。
田岡氏: そうそう。
愛川氏: あと近隣諸国では?
田岡氏: いや、ほとんど無いでしょ。それからヨーロッパでも、イタリアとイギリスとドイツだけ
ですよ。
升味氏: ルクセンブルク9人とか、オランダ747人。
田岡氏: そうそうそう。同盟国だからじゃなくて、日本は負けた国だから駐留されてるんで実は。
愛川氏: ちょっと待って。嘉手納はちょっと贅沢過ぎません?広さからいっ
て。
田岡氏: あれ、朝鮮戦争中ね、B29が百何十機もおって、B52はいなかった。それからその後、嘉手
納はグァムにいって。それからあそこはKC130と給油機の基地で、空から突っ込むのがグァムから上
がって沖縄から給油機が上がって途中で空中給油して、それがシベリアに向かって突っ込むという・・・
愛川氏: ソ連がなくなったとして、いま何機くらいいるんですか。
田岡氏: かつて72機いたんだけど、今は48か36かそのへん。
田畑氏: それっぽっちで、あの広い飛行場を使ってるわけ?
愛川氏: 今はたった40機?
田岡氏: しかも戦闘機の40機。その内の半分がだいたい。日本の防空の責任負ってないし、元々は
その後はね、嘉手納の戦闘機部隊はソウルの防空兵力。ソウルに半分常にいって、ソウルにおるとい
ざという時に家族が困るから、だから家族なんか全部衆力を置いて戦闘機部隊はウルサンに前進する
と。それも今なくなっちゃって、韓国の第7空軍が独立したから、韓国にも行かないと。行くとこないと。
日本におっても防空もしないんだから。
何するかっていうと結局は中東の、例えばトルコのインスブルックに行くとか、サウジアラビアのキン
グハリドに行くとか、それからシンガポールとか。とにかく母基地として、アメリカの母基地と同じ扱いで、そこから何処かに出かける部隊で。それじゃあ本国から行けばいいのに、なぜ帰らないのかという質問が議会で出るわけですよ、なぜ日本におるんだと。「いや、日本におると基地経費を全部出してくれるからであります」と。
一同: やっぱりお金なんだ!
田岡氏: 防衛庁の高官たちが公言してるのはね、「一切の元凶は思い遣り予算にあった」と。
田畑氏: じゃあ、普天間は嘉手納に行ってもらおうよ。
田岡氏: いや、それを推したら・・・、やろうとしたんですよ。そしたら沖縄でまた反対運動が起
きるわけですよ、嘉手納の周辺にものすごい反対が。だから何処へやっても反対反対。
升味氏: 沖縄の人としては、県内でぐるぐる廻されるっていう現状が納得できないんでしょ。
田岡氏: そうそう。それは解かるんだけど。
愛川氏: 田岡さん、AERAに一つ特集でね、日本における米軍の数っていう特集で・・・
田岡氏: いや、それはもう前から何度もやってるし、防衛の貢献度ゼロだっていうことも・・・
田畑氏: バカだから、すぐ忘れちゃうからさ。
愛川氏: 今ここに出てる方がみんな初耳だっていうから、ちゃんと新聞読んでるような方達なの
に。
横尾氏: いま米軍再編が新聞やなんかで問題になってるから、そういう時こそ何回も・・・
愛川氏: 小冊子作って、番組でプレゼントしたらいいんだ。それくらい重要ですよ、これは。
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以上です。 [文責: マリネッリ恵]
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ところで、アメリカの海兵隊が遠征部隊だということを、普通の日本人は知らないのでしょうか。
海兵隊というのは、何処かで軍事的な何かが起こった際、又は軍事的な何かを行う際に、真っ先に派兵
される部門です。海兵隊員リクルーティングのための20年前のCMでは、”Thefew,the
proud,the
Marines”というフレーズが使われていました。
Thefew、他の陸軍・海軍・空軍よりずっと人数が少ないです。
Theproud、入隊時のキャンプboot
camp(確か3ヶ月間でした)が他の軍隊に比べてたいへん過酷なの
で、体力や根性に自信のある人でないと無理です。それに何しろ真っ先に派兵されるわけですし。
また、海兵隊は別に海上で活動するわけではないし、活動場所・戦闘場所が海沿いに限定されている部
隊でもないので、TheMarines海兵隊という名称が私には腑に落ちません。なぜ「海の」という意味の単語
がその名称なのか、ちょっと不思議です。
海兵隊について海に関連がある話で私が聞いたことがあるのは、20年前の時点では唯一(今は存じま
せんが)海兵隊だけが、船兼車輌である奇妙な乗物を保有していたことです。つまり海上を航行する船が
砂浜から陸地に上がってそのまま陸地を走れる車輌に様変わりするのです。
マリネッリ