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旧日本軍:裁判抜き処刑100人 捕虜の米英飛行士らを
第二次大戦中、日本を空襲した爆撃機に搭乗し捕虜となった米英などの連合国軍飛行士のうち、母国に帰ることなく死亡した捕虜の半数近くが、裁判なしに旧日本軍に処刑されたり、捕まった直後に殺害されていたことが、京都府亀岡市の高校教諭、福林徹さん(58)の調査で分かった。旧日本軍の捕虜取り扱いの過酷さを具体的に示すデータといえる。
福林さんは戦時下の捕虜の処遇の研究や、来日する元捕虜の支援などを行う民間グループ「POW(戦争捕虜)研究会」のメンバー。連合国軍総司令部(GHQ)の戦争犯罪に関する調査資料を基に、捕虜が捕まった場所などを実地調査してまとめた。
それによると、捕虜となった飛行士553人ののうち、母国に帰ることなく死亡したのは少なくとも254人。このうち処刑されたのが117人で、大半の約100人は軍律裁判などにかけられないままだった。この他は、▽飛行機の不時着や落下傘での脱出直後に見つかり殺害15人▽傷病などで回復の見込みなしと毒殺15人▽原爆や空襲で死亡64人−−など。
捕虜は人格と名誉を尊重されるべきだと国際条約で取り決められているが、福林さんによると、旧日本軍はB29などの搭乗員を他の捕虜と区別し「国際法違反の無差別爆撃の戦犯容疑者」として厳しく取り扱ったという。特に、本土空襲が激しくなった1945年春以降は近畿や九州の軍管区で、裁判もないまま銃殺や斬首(ざんしゅ)したりするケースが増えていた。
福林さんは「虐待を含め旧日本軍の捕虜の扱いは人道的とは程遠かったことが改めて分かってきた。原爆を含め無差別爆撃の違法性は明白だが、ハイテク化した現代の戦争でも一般市民への爆撃は避けられず、戦争が繰り返す限り憎しみの連鎖も続く」と話している。【高田房二郎】
毎日新聞 2005年12月25日 3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20051225k0000m040098000c.html