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もはや「復興支援活動」などしていない自衛隊〜イラク派遣延長の愚〜
http://reishiva.exblog.jp/
アチェでの取材の最中のことだったので、本ブログでは触れなかったのだが、やはり何も書かないと何となく気持ち悪い(笑)ので、やや遅れたが自衛隊イラク派遣延長について。ブログ読者の皆さんもご存知の通り、今月8日、小泉首相は同14日に期限切れとなる自衛隊イラク派遣を延長することを発表した。自衛隊イラク派遣延長に対しては、今年10月の毎日新聞の調査で77%、11月の朝日新聞の調査では69%が「反対」と、依然、国民の反対が過半数を占めているなかでの決定だった。
■ただの「現場確認」が復興支援なのか?
ただし、自衛隊のサマワでの活動の実態はもはや「復興支援活動」と言えるものではなく、自衛隊が駐留する意味は、少なくとも「イラク復興」においてはない。本ブログでも何度か触れてきたことだが、「自衛隊が修復している」という学校に行ってみると、修復作業を実際に行っているのは外務省によって事業を委託された現地業者、つまりイラク人労働者だった。自衛隊員は時折現場を訪れて「確認」するだけなのだ。今月初め私はサマワ在住のイラク人である友人に聞いてみたが、自衛隊の「復興支援活動」の内容は現在も以前と同様であるとのこと。陸上自衛隊のHPを見てみても、最近の活動は「ネイサー中学校完成点検(11月29日)」「ワルカ浄水場施工状況確認(11月26日)」「ルメイサ市内路竣工状況確認(11月23日)」…とあり、やはり主だった「活動」は現場確認のようだ。
だが、委託事業の進捗の確認だけならば、数人のイラク人をコーディネーターとして雇い、デジカメやビデオカメラでも持たせてやれば、充分事足りる。何も649億円*もかけて約550人の自衛隊員をサマワに常駐させている理由は全くなく、はっきり言えばバカバカしいことだ。確認以外では自衛隊の医務官がイラク人医師を指導することもあるが、本当にイラク人医師を指導・教育するのであれば、日本もしくは中東の中では医療が発達しているイラク隣国のヨルダンで研修させるべきだろうし、実際、外務省もそうした事業を行っている。そして、現在、サマワの水・電気の配給の深刻な滞りに対しても自衛隊は何も出来ていない。水道の水は1日に1時間しか出ず、2〜3日断水することもしばしばである。電気も1日に2〜3時間来る程度で、やはり2〜3日停電することが頻繁にあるという。そのため住民の不満は極度に高まっている。
*今回の派遣延長に伴い、来年3月までの現地滞在費として、さらに86億円の支出が決まっている。
■「復興支援活動は自衛隊でなければできない」のウソ
小泉首相は「復興支援活動は自衛隊でなければできない」というようなことを繰り返し発言しているが、マスコミもそうした詭弁を批判せず、むしろ追従するかのような報道も少なくないが、事実は大きく異なる。今年10月27日付けの外務省発表によれば、同省は対イラク支援として国際機関を通じた支援を約1億100万ドル分、NGO/NPOを通じた支援を約2900万ドル分、実施あるいは計画している。自衛隊がカバーしているのはサマワだけであるが、国際機関やNGOの活動範囲はイラク中部や北部にも及んでいる。また、サマワを含めイラク全域で、外務省からイラクの電力省、保健省等に約8億9900万ドルへ直接支援を実施或いは予定している。だが、いくら日本が大金をつぎ込んでも、自衛隊イラク派遣がゆえに、イラク人やその他のイスラム圏の人々の間で親日感情が高まることはないのである。
■自衛隊イラク派遣で呆れられる日本
自衛隊イラク派遣のデメリットの部分としては、既にさんざん本ブログで指摘してきたので、これまでの主張と重複する部分は省略するが、先日、イラクの友人からこんな話を聞いた。「先の衆院選で、自衛隊イラク派遣に積極的な小泉首相率いる自民党が圧勝したのは、我々にとってもショックだったよ。日本の政府は米国追従でも、一般市民はそれに反対していると思っていたから」。また、今回のインドネシア・アチェ州での取材の時も、アチェ人の友人は呆れ顔で言った。「日本はもっと平和的な国だと思ってたのにどうしちゃったの?自衛隊派遣にはみんな驚いたよ。ブッシュさんはあまりにヒドイし、それについてくコイズミさんもおかしいね」。
■税金の無駄、テロリスク増大、そして説明責任の放棄
自衛隊が行っている活動は「復興支援」と言えるシロモノではない。ほとんど何もしていない上、深刻な財政危機の中で多額の税金を使って、元々親日的だったイラクやその他のイスラム圏の国々で反感と失笑を買っているのだから、もはやブラックジョークとしか言いようがないのだ。しかも、自民党支持層の間でも、自衛隊イラク派遣の延長には否定的な声が多いというのに、小泉首相はロクな説明責任も果たさずに延長を決めてしまった。「イラクの民主化支援」などという言葉がまことしやかに使われているが、まず必要なのは「日本の民主化」ではないだろうか。