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タラバニ イラク大統領 「休暇をとる。副大統領が代理を務めるだろう」
クワラクアレン(イラク・クルディスタン)発-
国際社会主義組織(International Socialist)メンバーとして、タラバニ大統領は
死刑に反対する世界的呼びかけを強調。 しかしイラク大統領として、サダム・
フセインの絞首刑判決に署名するか否かのジレンマに直面せざるを得ないだろう。
Q タラバニ大統領、どうなさいますか?
〜私は署名しません。 刑の宣告書にも、他のいかなるものにも。
Q つまり、あなたのおかげでサダムは命が助かるということでしょうか?
〜私は署名しないと言った。判決に反対とは言っていない。
Q 失礼ですが?
〜休暇を取る。私の代わりに2人の副大統領が、もし彼らが望むなら、署名するだろう。
既に12の死刑判決に対してこの方法を取り入れてきた。
クルディスタンの山間にある地元の要塞町でコリエレ・デラ・セーラ紙のインタビュー
に応じるタラバニ大統領は寛いでみえる。 この町はサダムの軍隊と10年戦った。
バグダッドで大統領を命がけで守るクルドの兵士も、クアラクワランでは無用の存在だ。
この地方での大統領支持は揺るぎがない。 ここでは装甲車の護衛がなくとも、友人
たちを夕食に招待できる。 署名で手を汚したくないとは、偽善者だろうか? 否。
新生イラクの大統領は、相手の興奮を鎮める笑顔を絶やさない。
〜冗談のように聞こえますか? 我々は誰を話題にしているか知っていますか?
サダム・フセインですよ。戦犯、ヒトラーに匹敵すると言われる独裁者。
彼らに比べれば、あなた方のムッソリーニは修道院育ちの内気な少年だった。
Q あなたは弁護士でもあります。憲法序文にも書かれている主要告発プロセスを
容認できた理由は? サダムの処刑は新生イラクのDNAでしょう。
〜サダムはどこにでもいるような人間ではありません。 我々は彼に対する膨大な
資料を持っています。 バルツァニ(Barzani)部族のクルド人8千人を虐殺
すると、サダムはテレビでこう言いました。”やつらを地獄に送ってやった”と。
彼の口から出た言葉。公的、自発的発言です。
Q ではなぜ、時間を無駄にするのですか?
〜現行法でも裁判を行います。彼にもその権利はあります。 サダムに毒ガスで
殺されたハラビヤ(Halabja)のクルド人5万人のことを訊ねると、”I'm sorry”と
答えました。 国防、愛国心とでたらめな言い訳をしたこともありますが。
彼が何を言おうと、司法に委ねられるべきことです。
Q その判決ですが
〜訴訟を率いるのは非常に独立した立場の裁判官です。 如何なる政党にも属さない
クルド人。 便宜をはかるよう頼んでも無駄でしょう。正義を保障するためには
最も適した人物です。 しかしサダムはイラク人から非常に憎まれているという
事実がある。 スンニ派さえもです。恐怖から解放されれば、彼らさえもサダムの
死を望むことでしょう。
Q 本当にそう信じていますか? ゲリラは?
〜意義あり。 ’ゲリラ’、もしくは欧州左翼の過激派が’レジスタンス’と呼ぶ
とは誰のことでしょう? 私もゲリラ戦士でした。 このあたりの山間で独裁者の
軍隊と戦いました。 しかし私も、あなた方のパルチザンも数百、数千の民間人を
虐殺などしていないのです。 今のイラクで人殺しをしているのはテロリストです。
外国からの支援があるのは間違いありませんが、犯罪です。
Q 誰が”支援”しているのですか?
〜原理主義者のグループ。 近隣諸国からも。
Q アラブの?
〜そうは言っていません。
Q イランはどうでしょう? 南部のシーア派が掌握されているのは事実ですか?
〜イランが数百人の諜報部員をイラクに送り込んでいるのは間違いありませんが、
イランが南部を掌握しているとは思いません。 イラクのシーア派とイランのそれ
との違いは第一に、ペルシャ人ではなくアラブ人。 イラク人は、たとえシーア派で
あってもイラク女性とペルシャ人との結婚を好ましく思わない。 第二に、
シーア派のイデオロギーにはアラブ主義が浸透している。 預言者家族の子孫が
統治すべきとの考えもそれにあたります。それはアラブ人であり、ペルシア人では
ありません。 第三に、ナジャフの大アヤトラ シスターニ師は、ホメイニ革命の
象徴であった’宗教による統治’に反対の立場です。 イランに掌握をまかせる
動機はなんでしょうか?
Q あなたは左翼主義者ですが、サパテロ・スペインはあなたを見捨て、プローディも
それに倣おうとしています。
〜欧州左翼の問題は、反米病に罹っていること。 ダレーマは理性ある人物として
知られている。 プローディが我々を見捨ててもさほど気になりません。
Thank you, anyway
Q ナッシーリアのイタリア軍はENI(エネルギー企業)の石油利権を守っている?
〜笑い話にしておきましょう。 あなたがたは恐ろしい独裁者に抗う我々の支援に
来てくれました。 そして巧みな仕事をしている。 ロシア、アメリカ、トルコ、
中国の石油企業にはお目にかかれても、イタリアの石油企業の陰すらみえません。
(kame注:先週イタリアでは、チャベス大統領訪問の折りにメディアが’石油の
親善試合’と報じたサッカーの試合が行われました。 イタリアの石油ファミリー
モラッティ氏が会長をつとめるインテル・ミラノとベネズエラ代表チームの対戦で、
0−1でベネズエラの勝ち。 同大統領も会長らと観戦)
Q イラク大統領でいるためには、クルドの独立を考えないようにしていますか?
〜多くの若者が無責任に訊ねてきますが、まぁ良いでしょう。そうしましょう。
明日になれば、隣人が攻めてくる必要もなくなるとでも言うのでしょうか。
我々が飢餓で命を失っているというのに、国境問題を訊いてくる。
売るほど石油があっても、輸出はしません。 独立は夢のままでも、自治と
民主主義はそうであってはいけない。 今ほどこれが現実味を帯びてきた事は
かつてありませんでした。
05年10月22日 特派員 アンドレア・ニカストロ(Andrea Nicastro)
http://www.corriere.it/Primo_Piano/Esteri/2005/10_Ottobre/22/nicastro.shtml