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ライス米国務長官
シリア攻撃、否定せず
(毎日 10月21日 朝刊)
[コメント]私はこれをオセロ・理論と勝手に呼んでいるが、レバノンで親 シリア政権が倒れたことで、シリアは地中海の米機動艦隊とイラクの米 軍に挟まれたことになる。もしオセロゲームならこれでシリアは親米的な 政権に変わることになる。もしシリアが親米的な政権になれば、アメリカ 軍は地中海から直接イラクに、軍事物資を陸路で輸送できるようにな る。米軍はペルシャ湾やクェートを経由しなくともイラクに物資が送れる ようになる。これはイラクの米軍にとって数十万人の援軍が来たに等し い話しなのである。
これでシリアから反米武装勢力を排除するどころか、長期戦略的な補 給路を確保できることになる。
さらにである。こんどは米英豪軍が配置されたアフガンとイラクで、宿 敵のイランを挟み込むことができる。これもオセロゲームなら、こんどは イランの保守政権が倒れ、親米的な進歩政権が生まれることになる。
しかしである。アメリカとイラクの現実を見ると、イラクの米軍はゲリラ戦に足を取られ、先の見えない泥沼化の様相を強めている。米国内でも米軍のイラク占領に対する非難・不支持も高まっている。とてもシリアに戦線を拡大する余裕はない。さらにイラク撤退の可能性を示す出口戦略さえ示されない。
そこでかつての米軍はベトナム戦争時代のカンボジアのように、秘密作戦が繰り返し行われることになる。シリアを拠点にする反米武装勢力狩りを口実に、特殊部隊を使った短期間に限る制圧作戦を実施するのだ。(米大統領の戦争権限で可能) 少人数の特殊部隊といっても、空にはA−10攻撃機などの対地支援機が援護につく。別の攻撃機から精密誘導爆弾を投下することも可能なのだ。そのような秘密作戦と同時進 行で、CIAがシリア政権内にクーデターの罠を仕掛けていく。
このようなことはアメリカのような巨大軍事力を持ち、情報・謀略機関のCIAに莫大な資金をつぎ込んでいれば、誰もが考える一般的な常識なのである。イラクから駐留米軍の大半を撤退させるためには、シリアの支配はなんとしても確保したいところだ。それによって隣国イランに対しても、無言の軍事的な圧力を数段高めることになるからだ。
次にシリアで何かが起きる。決してシリアから目を離さないように。