★阿修羅♪ > 戦争75 > 494.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
10月12日付・読売社説(1)
[パキスタン支援]「国際テロ対策の一環でもある」
パキスタン北部の大地震災害は、死者が4万人を超えるとも言われるなど、この地域では未曽有の規模となっている。
パキスタンのムシャラフ大統領は、国際社会の支援を訴えている。日本は無論、国際社会は緊密に連携、協力して、被災者の救援や復興などの支援に当たる必要がある。
政府は既に国際緊急援助隊を派遣し、さらに自衛隊のヘリコプター数機と200人近い隊員を派遣する方針だ。被災地は道路が寸断されているため、大統領も各国にヘリコプターの提供を求めている。一刻も早く派遣すべきである。
パキスタン政府が、迅速かつ効果的な対応が出来ないとなれば、被災住民は無論、国民の政府に対する不満が拡大し、政情不安にもつながる恐れがある。
この地域におけるパキスタンの存在や役割の重要性を考えれば、パキスタンが不安定化するような事態は避けなければならない。
被災地のカシミール地方は、インド、パキスタン両国が領有権を争う紛争地域だ。この地域の安定という観点からも、被災住民の支援を急ぐべきだ。
パキスタンは対テロ「前線国家」だ。2001年9月の米同時テロ後、ムシャラフ政権は、隣国アフガニスタンのタリバン政権と手を切り、国際社会の対テロ共同戦線に加わった。
タリバン政権の残党は今もなお、パキスタン国境に近いアフガニスタン南東部などで活動を続けている。パキスタン国内のアフガニスタン国境沿いには、アフガン難民が300万人以上も居住し、一部はテロや麻薬取引にも関与していると言われる。
7月のロンドン・テロの実行犯は、国際テロ組織アル・カーイダとも緊密な関係にある過激派組織とパキスタンで接触していた疑いが持たれている。過激派などによるムシャラフ大統領暗殺未遂事件も、しばしば起きている。
被災者の救援によって治安の悪化を防ぎ、パキスタンの安定にもつなげることは、国際テロ撲滅に対する“間接支援”でもある。自衛隊のヘリコプターと支援部隊の派遣は、自衛隊の国際平和協力活動の一環という性格も持つ。
当面の救援はもちろん、復興支援にも日本は積極的に取り組むべきだ。
資金や物資の援助だけではない。例えば、震災復興の長期的なプラン作りなどは、地震国日本の得意とするところだ。日本のすぐれた耐震技術なども、建造物の再建の際に大いに役立つだろう。
国際社会のパキスタン支援に、日本は大きな役割を果たせるはずだ。
(2005年10月12日1時42分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20051011ig90.htm