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ウオール・ストリートに住む「ブッシュの神」(IAR-Noticias:マニュエル・フレイタス)
10月7日付のスペイン語情報誌IAR-Noticiasは、「ブッシュは核ミサイルを持った狂人、あるいはそれ以上のものがあるのか?」と題するマニュエル・フレイタス(アルゼンチンのジャーナリスト)の記事を掲載しています。
この記事の前半部分は、例のブッシュによる「神の声」発言に関するものです。しかし記事の途中から新しいテーマに移っています。ブッシュが、アルコールと麻薬の依存症から福音派キリスト教の一派によって「メシア気違い」に変えられたことは知られていますが、「ではその神とは何なのか」「単にブッシュを狂人と言うだけで良いのか」という新しいテーマに移っています。
ここでは前半の「神の声」発言に関する部分は省略して、後半の部分を日本語に翻訳してご紹介します。
この内容は、言ってみれば、本来なら言うまでも無く分かっていなければならない大原則についての解説だと思います。お読みになれば分かることですが、『アンチ・ブッシュ』を言ってはならない、ということではなく、「本当の敵は誰なのか」ということです。ブッシュに反対するならそれを解ったうえでやれ、ということです。
私としては、マスコミによる情報操作や言論詐欺を効果的に機能させるためにある宗教などの働きに関してやや過小評価気味なのが不満ですが、しかし『アンチ・ブッシュ』を叫びながらみすみすブッシュの背後に隠れる者たち(本当の敵)の罠に易々とはまり込んでいく愚かさに陥らないためには、この原則の確認は絶対に必要でしょうし、おそらくこの記事の著者であるマニュエル・フレイタスの身近でそのような愚かな者たちが増えているのでしょう。
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http://iarnoticias.com/secciones_2005/norteamerica/0085_bush_alienado_religioso_07oct05.html
ブッシュは核ミサイルを持つ狂人・・・、あるいはそれ以上のものがあるのか?
(IAR-Noticias)2005年10月7日
マニュエル・フレイタス著
【前略】
[ウオール・ストリートに住む神]
実際に、そして資料をめくってみても、何十もの、あるいは何百にも至るまでの、ブッシュの宗教気違いの例に出くわすのである。さらにそれは、莫大な量の書籍と彼の人生に関する証言の中に記録されている。
ワシントンでは、ブッシュはアルコールと麻薬の依存症を克服して以来、『福音主義派』の信仰への傾倒を強めた、それはメシア気違いという別の形の中毒に取って代わられた、と言われている。
しかしながら、ブッシュはどのような意味でも、麻薬中毒を宗教狂いに取り替えただけでの一般的な『狂人』とは異なる。普通の『狂人』ならその声が他の人々を現実の埒外にある心理状態と社会行動に駆り立てるようなインパクトを持つまでには至らないものである。
59才のブッシュは資本主義システムの最も強大な帝国である米国の大統領である。この国の機能は聖書を撒き散らすだけにとどまらず、他国の生産システムと天然資源を強奪するために各国を征服し、この地球上での戦略的な軍事計画においてますますその影を強く落としているのである。
ブッシュについて言えることは、狂気である以上に、銃を持った狂人である。彼は、世界で最も強大な軍と、この地球を何百回も滅亡させる能力を持った何万発もの核弾頭があると思われる軍事力を、その命令の下に従えているのだ。
ここで麦と藁を切り離さなければならない【訳注:大切なものをどうでも良いものから切り離さなければならない】。もし今日ブッシュがホワイトハウスの椅子に座っていないのなら、他の者がその機能を埋め合わせることだろう。米国によって率いられる資本主義システムの略奪装置は、新たな『市場』への侵略と征服によってのみ存在できる(収益性と少数者の手による私的所有の更なる集中を生み出すことができる)ものである。
そして二つの基本的な要素を勘定に入れなければならない:
A)ブッシュは決して『神の命令』でホワイトハウスを代表しているのではない。二つの選挙で彼に投票した米国人社会の多数派の意思によるのである。したがって、もしブッシュが精神病院にいる状態だというのなら米国国民の多数派部分が同じあるいは類似した状態にある、と結論付けなければならない。
B)ブッシュの犯罪的で征服的な軍事行動は『神の命令』に応えたものではなく、経済団体(銀行、企業、軍需企業として石油企業)の意思と利益に応えたものである。彼らは石油などの天然資源をものにするために、そして軍事的に破壊された国を『再建する』ということで途方も無くすばらしい商売を実現させるために、戦車やミサイルや飛行機の後ろからやって来るのだ。
こういうことで、ブッシュの神は天国に居るのではなくウオール・ストリートと米国の軍産複合体の中にましますのだ。その場所から、市場を征服し労働力や天然資源を収奪するための戦争を作り出しデザインして計画するのである。
したがって、(ブッシュに投票した米国国民と同様に)ブッシュの狂気ぶりは精神病理学的あるいは宗教的な起源を持つものではなく、資本主義の略奪者起源のものである、と結論付けるべきなのだ。
『ブッシュの戦争』が持つ『メシア主義的』性格に精神病理学的な基盤を探すべきではなく、利権と私的所有に集中し続けるためにブッシュの心理的な狂気状態の恩恵を受けるウオール・ストリートと米国資本主義の『本当の権力』に根拠を求めなければならない。
馬鹿、気違い、愚か者、そして虐殺者である向こう側には、ある複合的な利権のシステムがブッシュの背後に隠れているのだ。その力学が、米国大統領と彼の好戦的な政府が動かす軍事政策を既定するのである。そしてそれによってウオール・ストリートと米国軍産複合体の本部との巨大な協力体制が利益を得るわけである。
[ブッシュの背後にあるもの]
我々がブッシュを『悪魔化』するとき、この帝国の残虐行為のすべてをそのような形で人格化するとき、我々は権力の内的なシステムへの視点を失っている。そのシステムによって(米国のすべての大統領について同様に言えることだが)現行の政権が軍事的征服の政策をその時々に執行するのだ。その政策がブッシュの心理あるいは精神的能力に乗り移るわけである。
その一方で、略奪と軍事侵略の政策は、(共和党、民主党に関わらず)あらゆる米国大統領の任期中に計画され実行された。その中にはクリントン民主党政権も含まれるが、彼が6万2千発のミサイルでユーゴスラビアを破壊し、またイラクに対する初期の『予防的』な爆撃によって何千万ものイラク人を殺害した後で、誰一人彼を『気違い』『ナチ』『愚か者』あるいは『精神的不適格者』などとは呼ばなかった。
そして次の点が明らかである。これは思想的な遮眼帯無しに調べられることだが、『ブッシュの馬鹿』の背後でユダヤ・ロビーに出くわすのである。それはブッシュとホワイトハウスを行政面でコントロールするロッジなのであるが、その中で米国資本主義のいわゆる『本当の権力』の経済的な利益が共有されるのである。そしてその『本当の権力』は『ワシントンの合意』に絡み合い、他の国際的な資本や個人、協力機構、マスコミ、秘密組織との、果ての無い『連通管』によって束ねられている。彼らはワシントンで時々の大統領とその代理人たちの背後に居座っているのだ。
一般的に言って、ブッシュへの誹謗者たちはその「精神的な不適格さ」や「メシア願望的狂気」に話を集中させるのだが、その背後にあってその侵略政策の恩恵を被る資本主義の権力システムについて見ることも分析することもしない。
同様に次の点も明らかである。ホワイトハウスでブッシュと途方も無い取引を行うその資本主義システムにとって、多くの人々が「あらゆる人的な災難は ---その中には自然災害も含まれるが--- ブッシュが米国大統領だから起こるのだ」と思うことは、実に都合の良いことなのである。
同時に、もしも世界が『アンチ・ブッシュ』なら、それが「反帝国主義者」でも「反資本主義者」でもない『アンチ・ブッシュ』ならば、これまた都合の良いことであるのは言うまでも無い。
従って、デモや抗議や『反戦』運動などは、ワシントンの帝国主義をコントロールする資本主義システムに対する反対を表明することではなく、『アンチ・ブッシュ』、つまり『邪悪さ』においてヒトラーを上回る狂人であり犯罪者である一人のブッシュに対するものである。
[『悪魔化』とその結果]
メディアの巨大なネットワークによって昼と無く夜と無く工作されるブッシュの『悪魔化』は、同様に一部の左翼陣営の中でも進められる。彼らは資本主義システムを忘れ、各民族に対するその征服と虐殺の歴史を忘れている。それは彼らの『革命的な』好戦性をブッシュにぶつけて正当化するためである。
これらのメディアによる(ブッシュと闘いシステムを守る)『アンチ・ブッシュ』の普遍化の巨大で全地球的なキャンペーンは、11月の米国での選挙の前に行われたある国際的な世論調査が、世界の人間の90%以上が、もし出来るなら、ブッシュに反対票を投じるだろうという結果を出すまでになった。
もちろんだが、IMF、ウオール・ストリートの銀行、石油企業、軍産複合体の企業については、誰も何の世論調査もおこなわず、それらがホワイトハウスにいるブッシュの政策にどんな役割を果すのかを説明することもなかった。
たぶん『ブッシュの気違い』を言うような者たちにとっては、ブッシュ(それは資本主義システムの関数的で代用の効く部品であって資本主義システムそのものではない)が地球を鞭打つあらゆる狂気や不正や邪悪さの唯一の責任者であると、人々が思ってくれる方が都合良いのだろう。
そして次のような筋道もまた明確だろう。もしブッシュが『問題』であるのなら、彼らは明日にでも取り払いあるいは殺して(ケネディを殺したように)、ブッシュのイメージの埋め合わせになるような他の大統領を動かしながら彼らの商売が続けられることだろう。
そしてこの悪辣な筋道はある自明の公理を導く。ブッシュは去り、資本主義システムは残る。
「ブッシュに反対するから」ということで『アンチ・ブッシュ』を買ってしまわないように大いに注意する必要があるだろう。それはブッシュを引きずりおろしてホワイトハウスに自分たちの居場所を作るために、米国エスタブリッシュメントの一部とそのメディアでの協力者たちが売っているものだからだ。
言ってみればこうである。同様の商売と軍事的な虐殺を実現させること。ただしブッシュ抜きで。
【翻訳、終り】