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世銀・IMF体制・対日要求路線の集大成としてのイラク占領憲法
http://www.asyura2.com/0510/war75/msg/201.html
投稿者 馬場英治 日時 2005 年 10 月 04 日 12:01:51: dcAX/x0KhXeNE
 

(回答先: 【全訳】米国はネオ・リベラリズムをどのようにイラクに移植してきたのか(ハーバート・ドセナ:CSCAweb) 投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2005 年 10 月 04 日 06:05:46)

バルセロナより愛を込めてさん:

大変興味深く読みました.占領憲法の内容はある意味で予想された通りのもの,つま
り世界銀行・IMF体制,小泉対日要求追随路線などアメリカが新世紀プロジェクトの名
を冠して推進している世界戦略の継続であり,その集大成というべきものです.

むしろ注目したのは,このイラク憲法最終草案の前にドセナが6月草案と呼んでいる
「当初憲法草案」が存在していたという指摘です.これは多分2004年6月にCPAから
権限委譲された暫定政権の元で直ちに換骨脱胎されたように思われますが,かなり進
歩的な内容のものであったようです.最終憲法草案は2005年6月30日に発表されて
いますが,一部にイスラム固有の条項(イスラムを国教とする,女権制限など)を残した
他は,ネオリベラル化を確定する内容になっています.

6月草案はおそらく統治評議会の部会が起草したものと思われますが,少なくとも以下
のような規定を含んでいたようです.

1.社会正義は経済・社会建設の基盤である
2.天然資源(土地・石油など)はイラク国民共有の財産である
3.国家は法的に全員の雇用機会を与える義務を負う
4.国家は教育・医療・住宅・環境保護などの公的サービスを提供する

ドセナはこれを,「アラビアの砂漠の半分でスカンジナビア・スタイルの福祉システムを
建設することを、せめて紙の上でだけでも、望んでいたのである」と哀惜を込めて表現
しています.この6月草案にアメリカがどのような形で関与していたのかは分かりませ
んが,もしかすると戦後のGHQのニューディール派のようなグループが多少なりとも
存在していた可能性はあります.最終草案はこのイデアルな草案を転倒したものと考
えれば間違いありません.つまり,

自由主義市場,不動産売買,外国資本参入の自由化,労働力・資材・資本の地域間
流通の自由化,知的財産権の保護,国営イラク石油会社,保健,教育,給水など公共
事業の民営化,燃料・食料への補助金の削減,労働・環境政策の縮小,監査(課税)
制度の標準化,埋蔵石油・ガスの外資への開放

などを合理化する内容になっています.これはIMFがこれまで各地で推進してきた基
本政策そのものであり,アメリカが小泉政権を使って実施してきたものと一致します.

小さな政府というネオ・リベラリズムの要求は公共サービスを限りなく縮小し,労働力
を含めたすべてのリソースを資本が最低の価格で無制限に取得することを可能にす
るものです.南部シーア派自治区の制定は,中央政府の権限を縮小することによって,
外資が油田を管理するのに有利な条件を設定するものです.基本的には(偽装)テロ
リズムと軍事という手段を使った主権国家の解体に他なりません.

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