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以下は「駄文」というBlogからの転載です(フランス語は文字化けしているので省略)。
【ベルナール・ド・モンフェラン 駐日フランス大使の日記】
2005-11-07
http://d.hatena.ne.jp/Montferrand/20051107/1131351753
■パリ郊外で起きたこと
数日前から大勢のフランスの若者が問題を抱えている地域で、たくさんの車を燃やすという暴力行為を繰り返しています。事態が大きくなるにつれ、フランス人の誰もが驚きを隠せません。このようなことはアメリカやイギリスで起きうると理解していましたが、まさか国内で発生しようとは思ってもいなかったのでしょう。原因が何なのか、そしてどうすれば良いのかを考える必要があります。
まずは現実を見てみましょう。
・たとえイスラム教徒が多い地域が対象になっていても、これは民族や宗教が発端となったものではありません。特にイスラム教の指導者達は冷静になるよう呼びかけています。
・これは一つのイデオロギーに裏打ちされた革命的なものでもありません。むしろ、労働市場から遠ざけられた結果、社会的に認めてもらえない若者達が一つの通過点として、自分達の大きな不満を爆発させているのだと、多くの観察者は分析しています。
このような状況を前に、フランス政府は断固とした行動を取っています。
・治安と法を尊重させる。「暴力は解決にならない」と首相は示しています。また「理性を取り戻すよう、そしてこのような行動に出ることがいかに危険であるかを近隣の者や親が説こうとしている」と状況について語っています。事態をさらに悪化させないように、警察が導入され、法的手続きが早急に進められています。
・若者達が職に就けるよう、雇用を促進するためのしっかりとした行動を取る。首相はサービスを中心とした中小企業で雇用を促すべく、新しい雇用形態を導入しました。
・労使交渉や社会的行動を発展させる。首相は若者が抱える問題を解決
するには「毅然とした態度」が必要ではあるものの、「尊重と行動」を
伴なうものでなかればならないと強調しています。「オープンで、博愛主義を大切にした、誰にでも雇用のチャンスが与えられる共和国」という理念に忠実であるがための尊重。地域の団体や学校、そして古くなりすぎて、修繕を要する住居に対する行動。
今夜、首相はこれらの計画をフランス国民に説明します。
駐日フランス大使
ベルナール・ド・モンフェラン
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2005-11-11
http://d.hatena.ne.jp/Montferrand/20051111
■フランス国内の暴動について
前回、仏全土に広がった暴動について書いたところ、沢山のコメントが寄せられました。そこで次の点について補足します。
・フランス政府は、法とモデレーションの原理を尊守しながらも、断固とした態度で対処しようとしています。このような態度を取ったからこそ、最悪の事態を免れ、幸いにも被害者の数を最低限に留められたのでしょう。成果を望むのであれば警察力の導入は正当なもので、節度あるものでなければなりません。
・多くの人は宗教が原因だと語っています。むしろ、今回の場合にはほとんど影響はないと思います。むしろ恵まれない地区での重大な社会的な危機感によるものです。特に若者の「集団」が、それぞれの住む地区で、ラジオやテレビの報道だけを横のつながりとして騒ぎを起しているようです。それはマルセイユ市のように、移民の人々が多く住む都市では、大きな被害が出ていない事からも理解できます。
不完全な教育、親の権威の不在、そして働く事が出来ないという、社会的な危機感を表現しているのです。ですから経済や社会に対する要求はあっても、宗教やアイデンティティーに関する要求はないのです。
・このようにこの問題は、長いスタンスであらゆる要因を含めて解決しなければならないので、困難なのです。そこで、首相は優秀な若者を奨励するインターンシップや学校制度の強化の必要性を説いています。ブログをご覧になった方が「学校を一つ作れば、刑務所を一つ閉めることができる」というビクトル・ユーゴーの美しい言葉を引用されました。全く、同感です。
・暴動は沈静傾向にあります。そして地域は都市部の郊外に限られています。経済活動を脅かすものではありません。いかなるインフラ整備も影響を受けていません。観光地も全く安全で、何ら心配はありません。ですから、観光目的でフランスに出かけられる方は危険に身をさらされるような事は一切ありません。
駐日フランス大使
ベルナール・ド・モンフェラン