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フランスの暴動のニュースにはみなびっくりしていますよね。夜間外出禁止令さえ発令されそうな勢い。難民・移民が日本では考えられないぐらい多い国であることは知ってはいたけれど、どうしてこんな暴動にまで発展するのでしょう?
フランスロアール川に近い風光明媚な都市Toursに住む30年来の友人に今回の暴動について尋ねたところ、なが〜い、かつ一人で読むのにはもったいないメールが来たので、公開します。
〜〜〜〜〜〜〜
<フランスの暴動>
先週ずっとパリに行っていました。問題の根は大変複雑なのじゃないかと思います。
私のパリでの用事の一つは、数年かけて修復が完成したグランパレの一隅でクリムト、シーレ、ココシュカなどの1900年ウイーン展が11月3日から開催されまし
た。これはLVMH(ルイヴィトン、モエ・エ・シャンドン、ヘネシー)社のメセナ活動の一つで、その3日夜のオープニングパーティーに招かれていたためです。
*註 メセナ活動:(古代ローマの政治家で文芸の擁護者G.Maecenasの名に由来)芸術・文化の擁護活動をいう。
勿論私は別ですが、パリの上流階級が勢揃いしたパーティーとの印象がありました。招待客のために大勢の美術ガイドが用意された見学、ワインの数倍も高価なシャンペンが、これも高価なビュッフェにこれでもかと言えるほどふんだんに振舞われた贅沢なもの。お土産には定価45ユーロの展覧会のカタログとその他数冊の雑誌。パリの一等地での社交の世界。
これに先立つ二日間は、これも所用でラオスとタイからの移民のフランス人夫婦とパリの19区、20区界隈に出かけました。丁度長男が20区にあるパリ、ベルヴィルの建築大学生なので知らない所ではないのですが私は用事がなければ余り行かない所。
この辺にお連れしたらさぞびっくりなさって、フランス社会の考察も深まるのではないかと想像されます。
つまり3日の上流社会のパりとは別の世界で、ここは言わば低層移民や不法移民のるつぼなのです。黒人、アラブ人、中国人、東南アジアがしのぎを削って暮らしている。どこの国に来たのか?と一瞬目を疑いたくなる。パリの高級住宅地と比べたら人口密度は何倍になるのか?といったところです。
<中国人と黒人、アラブ人との違い>
まず警察のパトロールの数が目立ちます。路上駐車の車のほとんどは落書きされて見る影もないほど。路上市場にはアラブ系や黒人の商売人ではない普通の個人
がその辺のものを掻き集めて風呂敷大のスペースに並べて売っています。出所が明らかでなさそうなものもあり、拾ってきた中古品のようなものも、と言うか、そういっ
たものばかりが並んでいます。
中国人、あるいは中国系移民の人達は軒並みレストラ
ン(中華、ベトナム、タイ、ラオス料理など)や小売の店をかまえて大変な繁盛です。ここはもともとアラブ系と黒人系の住人が殆どだったところに最近中国系が入り
こんできています。
中国本土での経済発展が目覚ましいようですが、それに連れて中国人の合法、不法のパリ進出も目覚ましい。もともとパリ13区が中国人が集中して住んでいたところですが、最近はこの辺と、パリ郊外の新興発展地への進出が目立っています。彼等のバイタリティーは驚くべきものがあります。19区、20区あたりでは中国系のマフィア同志が路上で拳銃の打ち合いなどもあったと聞きます。
中国人はもともと不動産価格が安いところに住みついて、発展させ、売り抜けて儲けていく。13区がそうでした。19,20区もこれから変わっていくでしょう。まさにい
ろいろな面で「中国恐るべし」の感があります。
中国人系の進出で駆逐されるアラブ、黒人系はやがて郊外に落ちるのだと思います。以上のような様相ですが、それでもここはパリ市内です。
パリ市内での格差はパリ郊外に移るとさらに拡大されて広がっていく。ムードンやヴェルサイユなどで有名な超高級住宅地もありますが、浮びあがることのできないアラブ、黒人系の人達が低家賃団地に固まって住む。
低家賃団地と言ったって、箱の部分はもともと日本の平均的善良な市民が住む団地と変わらない。むしろ屋内の広さの点でも、屋外の緑地部分の広さの点でもずっと恵まれているかも知れない。
それなのに、国から与えられたこのような住環境を彼等は守り育てて行かないで、逆に破壊、落書きを重ねてますますアナーキーで不穏な環境に変えてい
く。
<中谷宇吉郎随筆集を読んで考えたこと>
最近、私は中谷宇吉郎随筆集
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/31/5/3112410.html
を読みましたが、その中で、敗戦直後の日本の状況が書かれた部分がある。敗戦で荒れた日本人が唯でさえ貴重な列車の窓ガラスを割って、余計に惨めな思いをする。それを「戦争に負けたらこんなものだ!」と嘆く人に
中谷氏が「でも君、ガラスを割ったのはアメリカ人じゃない、日本人なんだ!」と同朋の愚かさを嘆く文章があったけれど、フランスの移民の状況はこれに似ている。そ
の物心共に荒んだ状況内には、警察でさえも余り行きたがらない。
<ルペンの企みか???>
その辺のところをサルコジーが力を入れ出してそれに反発する分子が荒れたのだとの推察は可能で、テレビ、ラジオなどの報道もこの辺に沿ってなされている。
でも私は、或いはひねくって考えたら、次に迫っている大統領選のために、移民を嫌う右翼、ルペンの周辺が、移民の不法性、危険性を浮き上がらせる目的で煽動したような部分も加わっているのではないか。
そこに移民の中の愚かな者達が状況を知的に整理できないまま荒れたという状況も皆無ではないような気がしてなりません。これはあくまでも私の推測なので、証拠なしには語っては流言飛語となっていけないことですが、、、。そういう面も気をつけて見て行かなければならないのではないか?、、、
<フランス人の人種偏見>
フランスに少し長く住んでいると、フランス人に限らず、白人の人種偏見というのはかなり根強くあると思う。日本人の場合は世界第2位の経済力が背景にあるためにフランスのほかの外人と多少異なる。けれども私達にたいする人種偏見が皆無というわけではない。
彼等と対等に付合うと言うか、付き合わせるためには経済的な実力のみならず文化的その他総合的な力を彼等に認識させて、彼等がそこに畏敬の念を抱いたときから平等な関係が始まるような気がします。だから努力して克服していかなければならない。何せ他人の国なのだから、、、。
でも一部の移民はこのようには考えない。中国人は多少ニュアンスが異なるけれども、私達アジア人はかなりおとなしく、勤勉で、外国に来たら他人のところだから、「郷に入ったら郷に従え」の精神で同化していく。それに平均的教育レベルが高いから余り馬鹿なことはしない。
けれども、アラブ系は同化を拒否してあくまでも彼等の流儀を押し通そうとする。チャドの問題一つにしても、アラブ系の妊婦がフランスの病院で男の医師を拒否して女医を要求する点にしても、絶対に譲らない。又激しい。自分たちを変えないで、相手が変わることを要求する。こういうのを見て普通のフランス人なら、それなら自分達の国に帰ればいいという意見になるのもわからないではない気がする。
又黒人系の移民の場合は余り働かない。アフリカのリズムが身についているから無理からぬところはあるかも知れないが能率的に差があるかも知れない。するとこの辺の問題は雇用にも関係してくる、、、、。
フランスではミッテラン政権が14年間続いて、インテリの社会主義思想で育てるよりは資金援助のばらまきが根を張った。今の政権になって最近は失業保険なども何もしないでいても何年も継続して自動的に降りるシステムじゃなくなっているらしい。
援助で楽に慣れた人達が再び働かなければ食えない状況になって、でも働く環境が簡単には得られない、、、、となってきたら荒れるしかない、、、。
いろいろ考えるとこうだからこうと一概には言えない問題のような気がします。
そこでどうするか?少なくともこのような環境の若い人達に夢を与えること、努力すれば夢が現実に成就する可能性があることを身をもって実感できるような機会を作り出す政策が必要だと思う。
エマユス
http://www.emmaus-international.org/en/index.php?option=com_content&task=view&id=1
は市民の不要物の寄付を事業展開して発展し、雇用をつくり成功している。本当の意味の社会主義があるなら、彼等に責任感のある参画をさせて事業展開できる機会を与えられたら、、、、、、
*註:Emausはフランスの一神父(l'abbe Pierre)が1949年につくった慈善組織。
?????!!!!!どうにかならないだろうか?と思う。もし私に資金があって、銀行融資がもらえるなら
ボランティアで彼等と試験的事業を試してみたい!!!とつくずく思いますが、、、。
フランスが支配した植民地の国柄が今に影響していないかしら?イギリスやオランダの旧植民地のインドやアジアの人心はずっと御しやすいのではないだろうか?
インドやアジアは仏教が生れ育った地でもあり、長い歴史の中で培われた哲学的宗教的精神構造が民衆に根ずいているのではないだろうか?平均的知的レベルも高いのではないだろうか?
日本はアメリカに原爆を2発も落とされて、そこにアメリカが送りこんだ人達の大半は救済が目的ではなく、実験結果の研究のためだったらしいじゃないですか?
それでも日本人は恭順の意を表して穏やかな戦後快復が可能になった。
イラクの現状を見るにつけ人心の精神構造の違いを感じるのですが、、、。余り一面的すぎるでしょうか?偏っているでしょうか?
まだむNoriko
投稿者:kuronekokotoshan at 20:24
良いタイミングのレポートです。
ことしゃん、ありがとうございました。
先進国でありながら、発展途上国のような全国規模の暴動。どういう構造があるのか不思議に眺めていました。フランス権力がどう納めるか、注目したいです。
ただ、中国のデモにしても、ロンドンの地下鉄テロにしても、今度の暴動にしても、ソレをあおり利用する勢力がその国内の権力内(反対勢力を含めて)にあるという点は忘れてはならないと思います。
それと暴動を起こす側の声が聞こえてこないことが不思議です。組織だっていないからでしょうか。組織がないはずはないですよね。
投稿者: Kiyo at 2005 年 11 月 08 日 22:18:26
フランスというお国柄して
どうやって暴動を収めるのか 見ています。
強硬路線を推し進めそうで心配です。
根本の対策が難しそうなので、細く長期化するかも
しれないですね。
お手紙 とても興味深く見させていただきました。
投稿者: manbow at 2005 年 11 月 09 日 01:22:49
Kiyoさん、manbowさん
フランスって不思議な国。昨年の夏には1万を越すお年寄り達が熱中症で命をなくすし。
年金制度、社会保障制度はしっかりしている。何より教育費にお金がかからない。食料もほとんど自給できている。そして、電力はほとんど核燃料。オイルに頼らない社会構造が強い国を作り上げている。
いろいろ考えると原子力発電も必要なのかしら?とも思える。
考えてみると日本で暴動が起きても可笑しくないほど国民の生活は厳しい。
日本は難民鎖国といわれるけれど、あまりどんどん外国人に入ってきて欲しくないというのが正直な気持ち。
我が町は中国人、韓国人、アフリカ人、トルコ人、インド人、パキスタン人とまことに沢山の外国人が住んでいます。しかし、観察していると日本人の方がよほど生活に疲れているように見える。
・・・・などなど支離滅裂に考えてみました。*^^*
投稿者: kuronekokotoshan at 2005 年 11 月 09 日 06:48:17
フランスの社会がわかるような
サイトを見つけた方はどんどん教えてください。
「先見日記」。ここには最近のニュースを理解するヒントがあります。是非読んでみてください。
http://diary.nttdata.co.jp/diary2005/09/20050913.html
投稿者: kuronekokotoshan at 2005 年 11 月 09 日 07:02:25
アサヒコム
http://www.asahi.com/international/update/1102/013.html
http://www.asahi.com/international/update/1105/001.html
http://www.asahi.com/international/update/1105/003.html
http://www.asahi.com/international/update/1106/006.html
http://www.asahi.com/international/update/1107/008.html
http://www.asahi.com/international/update/1107/021.html
http://www.asahi.com/international/update/1108/006.html
http://arch.asahi.com/international/update/1108/003.html
投稿者: kuronekokotoshan at 2005 年 11 月 09 日 07:27:23