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毎日新聞からhttp://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/europe/news/20051108dde007030044000c.htmlより引用
フランス暴動:暴動繰り返されるパリ郊外 職得られぬ若者不満「オレたちは犬と一緒」
【グリニー(パリ南郊)山科武司】「オレたちは犬みたいに扱われている」「イラクで暮らしているようだ」。連夜、若者の暴動が繰り返されるフランス。「わが国で最も困難な状態の街の一つ」(ルモンド紙)と形容され、7日未明の衝突では警官34人が負傷、うち2人が重体に陥ったパリ南郊グリニーでは、住民が悲鳴にも似たうめき声を上げていた。7日グリニーを訪れた。
パリ中心部から郊外に向かうRER(高速郊外鉄道)D号線で約20キロ、31分。人口2万4600人のベッドタウン、グリニーだ。70年前後から郊外団地が造られ始めた。中でもグランド・ボルヌ地区は貧しい人々1万人が暮らす。3〜4階建ての低層アパートがびょうぶのように広場を囲む。
焼けたゴムのにおいが鼻を突く。地面には焦げ跡と、直径5センチ、長さ15センチの灰色や黒色の円筒状の容器が散らばる。「警察の催涙弾とゴム弾さ。やつらは昨晩、オレたちめがけてぶっ放してきた」。アブダッラさん(19)はゴム弾が当たったと左足をさすった。
モロッコから両親と移り住んで5年目。「オレたちが暴動を始めたのじゃない。『放水車で清掃してやる』と言ったサルコジ(内相)を許さない」
今年6月、移民地区での殺人事件に絡んで内相は「シテ(郊外団地)を放水車で片付けてやる」と発言。人権団体が「差別的だ」と反発した。しかし、内相は強硬姿勢を繰り返し、暴動の原因と口実になっている。
窓ガラスの破れた自宅アパートの前でたたずんでいたジョーンさん(21)は仕事がない。「履歴書に住所を『グリニー』と書いただけで採用されない」。失業保険をもらったこともない、と傍らで笑った男性は、薬物を使用中のようだった。
ジョーンさんは4歳の時にカリブ海に浮かぶ仏領アンティル諸島から両親とやって来た。「ここは何も良いことがない。我々は見捨てられている。犬と一緒だ。ここを出たい。この国に住みたくない」。アパートを捜索に訪れた警察隊をにらみつけ、つばを吐いた。
フランスでは16〜24歳の23・1%、4人に1人が失業中(05年8月)。他の年齢層で失業率が下がる中、若年層だけ前年より0・5ポイント上がった。移民層では平均以上に失業率が高い。職を得られず、将来に展望が見えない不満が若者を暴動に駆り立てる。
毎日新聞 2005年11月8日 東京夕刊