★阿修羅♪ > 戦争75 > 1118.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
米国:イスラム差別、深刻 「アルカイダ」関与疑われ76日間拘束、イー元大尉に聞く
アフガニスタンのタリバン兵士や国際テロ組織「アルカイダ」メンバーと疑われる数百人のイスラム教徒が収容されるキューバのグアンタナモ米軍基地。ここで、収容者にイスラム教を指導していたジェームズ・イー元大尉(37)は03年9月、収容者名簿や基地の地図をアルカイダに渡していたことを疑われ逮捕され、76日間独房に拘束された。7カ月後にはすべての罪で不起訴となったが、同時多発テロ以降、米国で高まるイスラム教徒に対する差別を象徴する事件となった。今年1月に軍を辞めたイーさんに聞いた。【ロサンゼルス國枝すみれ】
………………………………………………………………………………………………………
◇「誰にでも起きうる」−−ジェームズ・イー元大尉
−−逮捕時の状況は。
◆目隠しされ、耳もふさがれた。銃を持った兵士に囲まれ、トラックに乗せられた。収監先ではスパイ罪、政府転覆罪などで死刑になると脅された。軍は秘密文書の不適切な取り扱いの罪で起訴しようとしたが私は秘密文書は持っていなかった。
−−兆候はあったのか。
◆基地では、私のような米兵士であってもイスラム教徒であるだけで、他の米兵から強い敵意にさらされた。軍には多文化主義、宗教の自由など、米社会の基本的価値観に従わない人が多くいた。イスラム教徒で中国系米国人の私を「チャイニーズ・タリバン」とか、パレスチナの過激派組織である「ハマス」と呼ぶ兵士もいた。
−−なぜ逮捕されたのか。
◆収容者への虐待をやめさせ、人間的な取り扱いをするように要求したからだ。看守が鍵をかけ忘れ、収容者が逃げたことがあった。米兵4人が男を押し倒し、拘束後も米兵の1人が後頭部を金属製ラジオで殴り続けた。私が駆けつけたとき、血のプールの中に肉片が残っていた。明らかな力の過剰行使だ。また、イスラム教の聖典コーランの取り扱いに対しても改善を求めた。米兵が収容者のコーランをけって床に落としたり、表紙を破った。この事件で、収容者がハンガーストライキを始めた。また、収容者1人は首をつり1カ月、こん睡状態になった。
−−第二次大戦中の日系人が経験した強制収容と同じとの指摘がある。
◆正当な法的手続きを踏まない拘束が、安全保障の名の下に正当化される。移民3世で、兄も軍医である私の身に起きたことなら誰にでも起きうる。
………………………………………………………………………………………………………
■人物略歴
◇ジェームズ・イー元大尉
ニュージャージー州出身。陸軍士官学校を卒業後、サウジアラビアなどに駐留。キリスト教からイスラム教に改宗し、93年に除隊してシリアで4年間、イスラム教を学ぶ。98年にシリア人の妻と結婚。01年に再入隊し、戦地に向かう兵士にイスラム教を講義する。02年11月から逮捕までグアンタナモ基地勤務。
毎日新聞 2005年11月3日 東京朝刊