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(回答先: 「新自由主義で欧州は危機に」、「イラクからの撤兵、欧州の米軍基地撤去を要求」(欧州17左翼政党の新ムーブメント) 投稿者 Wotan 日時 2005 年 11 月 01 日 11:24:02)
「しんぶん赤旗」11月1日6面
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【アテネ=浅田信幸】欧州の共産党・左翼党など十七党が参加する欧州左翼党の第一回大会が十月二十九、三十の両日、アテネで開かれました。約二百人の代議員とほぼ同数の内外来賓が参加した大会は、政治テーゼ「そうだ、われわれは欧州を変革できる」と、当面の方針を要約し戦争と経済の新自由主義路線に反対するたたかいを強調した「アテネ宣言」を満場一致で採択、党議長にベルティノッティ伊共産主義再建党書記長を再選して閉幕しました。
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大会は、米国を主導勢カとする新自由主義の政策が内外で矛盾を表面化させ、人民の抵抗にもあって「危機」に陥っていると指摘。同時にそのことが保守・右翼勢力にいっそう「抑圧的な社会的政治的回答」を取らせていると情勢を分析しました。
世界の平和と安全保障の問題では、イラクに対する執拗(しつよう)な軍事占領をばじめとして「地球規模の永続的な戦争」の脅威があるとし、イラクからの「全占領軍の即時撤退」の必要性を強調しています。
また欧州連合(EU)も安全保障政策を「主要な優先課題」とする立場に立っているとし、「軍事力に基づく安全保障システムの徹底した再考」と「非軍事化、軍縮」を進め、「平和を促進し保障する」欧州への路線の転換を訴えました。
経済問題では、欧州における「大量失業と福祉国家解体」がEUと各国政府の政策によって進められていることを厳しく批判。これを阻止し、EU政策の優先課題を「競争にではなく人民の諸権利と人間的価値に」置くたたかいの必要性を強調しました。
ベルティノッティ議長は初日の基調報告で、「もう一つの社会を建設する必要性」はますます明白になっているとのべ、「新自由主義的政策に挑戦し、新しい経済・社会システムの建設」に欧州は指導的役割を果たすべきだと訴えました。
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《欧州左翼党》
昨年五月に結成された欧州の共産党・左翼党で構成される欧州政党。欧州運合(EU)の拡大・統合の進展により、欧州議会の統一会派(欧州統一左翼・北欧緑左翼連合)での活動を超える党間の共同政策・行動の必要性が高まったことから結成されました。
参加政党は以下の十七党。オーストリア共産党、チェコ共和国民主的社会主義党、エストニア社会民主労働党、フランス共産党、ドイツ左翼党、ギリシャ左翼運動環境連合(シナスピスモス)、ハンガリー労働者党、イタリア共産主義再建党、ルクセンブルク左翼、ポルトガル左翼ブロック、ルーマニア社会主義連合党、サンマリノ共産主義再建党、スペイン統一左翼、カタルーニャ統一対案左翼、スペイン共産党、スイス労働党、ワロニア共産党(ベルギーのフランス語圏)。
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《解説》
結党から一年半を経て開かれた欧州左翼党の第一回大会は、この間のたたかいと情勢の変化を反映して意気高いものとなりました。
ベルティノッティ議長は基調報告で、この間、欧州の左翼勢力が「積極的な役割を果たした二つの大事件」として、フランスの国民投票での欧州憲法否決と独総選挙での左翼党の躍進を挙げました。
欧州で一般にいわれる「左翼」には社会党や社会民主党が含まれ、むしろこれらの勢カが共産党などより圧倒的に強い党勢を持っているのが現状です。そうしたもとで、「左翼の中の左翼」が存在意義を強くアピールした事実を誇示したものです。
代議員の発言や情報交換ではこの二つの出来事に付け加えて、二月のポルトガル総選挙での保守の敗北、九月のノルウェー総選挙での左翼三党連合の勝利、大会直前におこなわれたベルギーの年金改悪反対のゼネストなども何度か指摘されました。いずれも新自由主義政策の下での福祉の後退に対する国民、労働者の反発を反映したものでした。
大会は、新自由主義に反対するたたかいの発展と「もう一つの欧州は可能だ」のスローガンの実現に向けて広範な勢カとの連合をめざす方針を確認しました。
問題は欧州連合(EU)の評価にかかわって欧州の共産党・左翼勢カの間に見解の違いが存在していることです。
ベルティノッティ議長は、フランス国民投票での欧州憲法反対運動を「人民的、左翼的な欧州統合主義の誕生」と評価し、現実のEUの政策を批判しながらも、EUの存在は受け入れる姿勢を明確にしています。これは欧州左翼党の参加政党すべてに共通する見方でもあります。
しかし欧州左翼党に加わっていないギリシャ共産党やポルトガル共産党はEUの存在自体を「帝国主義センター」などと批判的にみています。新たに政権に加わったノルウェー社会主義左翼党をはじめ北欧の諸党も、国家主権擁護の立場から、EUには批判的です。そのためこれらの政党は欧州議会での統一会派では一緒に協カする関係がありながら、今回の大会には北欧諸党でつくる「北欧緑左翼連合」の代表を除き、どの党もオブザーバーさえ派遣しませんでした。
欧州議会に議席を持ち、一定の政治的影響カのあるこれら諸党との共同行動を発展させられるかどうか、欧州左翼党にとっては引き続き大きな課題の一つといえます。
(浅田信幸)