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電気用品安全法によって、新たな表示(PSEマーク)のない中古の電気製品で販売禁止になるのは、今年四月から対象になる二百五十九品目につづいて、〇八年から百一品目、一一年四月から八十七品目と拡大していきます。(表参照)
業界関係者からは、法の猶予期間だった五年の間、「(国による)告知がまったくといっていいほどされていない。ほとんどの中古業者は、この法の存在すら知らなかった」という指摘が相次いでいます。
経済産業省商務情報政策局消費経済部製品安全課によれば、販売業者も「新たに製造事業者の届け出をして、技術基準に適合していることを確認する自主検査をすれば、マーク表示できる。製造事業者として故障などに対応でき安全について責任を負う」ことで、中古の電気製品を販売できるといいます。
自主検査とは、外観、製品が動く(通電)、感電しない(絶縁耐力試験)の三つ。同課では、「技術基準に適合していれば、最低限の安全性は確保されている。流通前は自主性にまかせることが製品の安全につながる。流通後は罰則などを強化するというのが、法改正の趣旨だ」とします。
しかし、業者からは「中小業者がそんな責任は持てない。消費者も困ることになる」と、現実的でないという声があがっています。
また同課には、楽器製造業者からも、中古品の流通がなくなるのは困るという声が寄せられています。電子・電気楽器の場合、下取りをして新品を買うというのが販売モデルになっているからです。
消費者にとっても、周知徹底されることなく突然に「買い取り不可」とされ、資産価値を奪われかねない事態です。
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■数週間前に知った
中古品も扱うディスカウント店経営者、滋賀県の坂田重さん(48) 私たちが知ったのは、ここ数週間の話です。多くの業界仲間に聞きましたが、そのほとんどが「寝耳に水」の状態です。
過去人身にかかわるような事故例が発売台数に対してほとんどないに等しいような品目までもすべて販売できなくなるといいます。
われわれの多くはみな商売が続けられなくなってしまいます。過去二十年、まじめに商売し、生活してきました。どうか助けてください。
今度の法改定は「消費者の安全のため」といいますが、本当に安全を考えているのか。結果として、新しい製品を買わせようというものになっていると思わざるをえません。
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■店閉めるしかない
札幌市のリサイクル店経営者、青田郁雄さん(北海道古物商業協同組合監事) 中古の電気製品の販売が禁止されるようになると知ったのは、二月初めです。こんなことになれば、廃業するしかないし、負債もあるので任意整理か自己破産するしかない。
店の売り上げの四割が電気製品で、今回対象になるのはその八割くらいです。三月は引っ越しシーズンで本当は一番忙しい時期なのに、いま仲間の中でも、「もう店を閉めるしかない」と、大変な騒ぎになっています。
もろにかぶってくるのが、リサイクル店や、中古品を扱う楽器店、オーディオ店、骨とう品店です。古くても名器は、高額。骨とう品店の実用性があるアンティークな電気蓄音機やジュークボックス、ラジオ、扇風機などは取り扱えなくなります。まさしく廃業するしかない。これまで消費者にも知らされてこなかったし、大変な事態であり、「おかしい」という声をあげていこうと思っています。
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■共産党へメール
日本共産党に寄せられているメールの一部を紹介します。
■財産権への侵害だ
長年所有し問題なく動作している製品が、ある日突然、「買い取り不可」となり資産価値を奪われるということは憲法に保障されている財産権を侵されているのと同様だとも考えられます。下取りがおこなえなくなる以上、廃棄物が相当量増大することが見込まれるし、残念なことですが不法投棄の増大も十分に懸念されます。
■中古楽器文化守れ
音楽業界で働く一市民ですが、四月から中古の電子楽器やアンプなどの販売が違法になってしまうそうで、とんでもない愚法だと思いました。
個人的な話ですが、楽器なんかはとくに七〇年代のシンセサイザー、ギターアンプの方が今の物よりはるかに音がよかったりする。今耳にする音楽のなかにはそういう楽器が多く使われているのに、流通がなくなれば入手もできなくなるし、結果、文化自体を否定してしまう可能性があります。経済産業省は中古市場のことを念頭に入れてなかったらしい。