★阿修羅♪ > テスト10 > 146.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
サンバルトロで発見された壁画は、これまでに見つかっているマヤの壁画の中では最古のもので、世界の創造と、神から王位を授かる王が描かれている。壁画は幅約9メートルと巨大で、紀元前100年頃に描かれたとみられる。写真の部分には、王の守護者であるトウモロコシの神が、血を流しながら、聖なる5本の木のうちの1本の前で七面鳥を生贄(いけにえ)として捧げている様子が描かれている。壁画の発掘の最新情報は、「ナショナル ジオグラフィック日本版」2006年2月号に掲載する。
Photo by Kenneth Garrett (c) National Geographic
グアテマラの考古学者モニカ・ペイエセル・アレシオ(右)が手にしているのは、紀元前150年頃の王墓で見つかった、緑の石でできた石像。古代マヤ最古のこの王墓は、当時、儀式が行われていたとされるサンバルトロで発見された。アレシオの左は、発掘プロジェクトのディレクター、ウィリアム・サターノ。このプロジェクトは、ナショナル ジオグラフィック協会などが支援している。
Photo by Kenneth Garrett (c) National Geographic
マヤ最古の王墓で見つかった、緑の石の小立像。
Photo by Kenneth Garrett (c) National Geographic
壁画の部屋はピラミッドの基部にある。最近発掘された、マヤ最古の壁画がほどこされている西壁は、ピラミッドの端と境を接している。紀元前100年頃のものと推定されるこの部屋の壁からは、歴代の王たちにまつわる神話とマヤ世界の誕生を描いた、鮮やかな壁画が見つかっている。ピラミッドの前庭で行われる儀式の準備のための部屋だったのかもしれない。
Photo by Kenneth Garrett (c) National Geographic
サンバルトロの位置
グアテマラ北部にある古代マヤ文明の遺跡で発掘調査が進んでいた、紀元前100年頃に描かれたとみられる巨大壁画から、マヤ文明初期の王たちの存在が明らかになった。発掘プロジェクトのディレクターで、米ニューハンプシャー大学助教授兼ハーバード大学ピーボディ考古学・民族学博物館研究員のウィリアム・サターノによると、保存状態はきわめて良好で、王権の起源にまつわる神話や、高度な象形文字(マヤ文字)が描かれており、マヤ文明の起源を解明するうえで重要な発見だという。壁画が見つかった場所から1.5キロ西の地点では、現状では最古の紀元前150年頃のマヤの王墓も見つかった。
グアテマラ北部のサンバルトロ遺跡は、ピラミッド型の建造物と、いくつかの部屋からなる。壁画はそのうちの一つの部屋から見つかった。部屋の西壁に、幅約9メートル、高さ約90センチにわたって、王位に就く神の姿などが描かれている。
サターノは2001年、日陰を求めて盗掘者が掘った壕に入った際、この壁画の部屋を偶然発見し、以来5年にわたって発掘プロジェクトを推進してきた。
これまで、初期のマヤの王たちのことは神話では伝承されているが、存在したことを証明する遺物は、ほとんど発見されていない。「王権の起源を描いたすばらしい壁画がほどこされたこの部屋は、初期のマヤ文明に関する私たちの考えをくつがえしました。7世紀のマヤ古典期よりずっと前に、すでに非常に精巧で優美な絵画が存在していたのです」とサターノは説明する。壁画は鮮やかに彩色されており、まるで描かれたばかりのように鮮明な部分もあるという。
一方、マヤ最古の王墓を発見したのは、グアテマラの考古学者モニカ・ペイエセル・アレシオの調査チーム。壁画が発見された場所から西およそ1.5キロほどにある小さなピラミッドの下から、重い冠石が置かれ、封印された墓が姿を現した。これは、初期のマヤの王の一人の墓と考えられている。
サンバルトロ遺跡の発掘プロジェクトでは、昨年壁画の部屋の近くで新たに二つの部屋も発見されている。一つは壁画の部屋に面していて、もう一つはピラミッドの頂上近くにあり、同時に多数の壁画の破片も見つかった。その数は、頂上近くの部屋だけでも9000を超えている。調査チームは、これらの破片をつなぎあわせ、壁画に何が描かれていたのかを解明していく予定だ。
サターノによると、「マヤ初期の王たちが描かれている壁画は、ここ20〜30年間のマヤの考古学的研究においてトップクラスの重要な発見でしょう。これでマヤ文明の起源が明らかになるかもしれません。この遺跡の発掘を進め、壁画やマヤ文字の破片をつなぎ合わせていけば、もっと驚くべき事実が解明できるに違いありません」
サンバルトロでの発掘は、ナショナル ジオグラフィック協会をはじめ、米国立人文基金、米ピーボディ博物館などが支援している。「ナショナル ジオグラフィック日本版」では、これまでに2回、発掘の経過や発見されたものを紹介(2002年4月号、2003年12月号)。最新の発掘と研究の成果などの詳細は、2006年2月号に掲載する。