★阿修羅♪ > 社会問題2 > 847.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060511/mng_____tokuho__000.shtml
『セクハラ訴訟』事情
企業経営ピリピリ
北米トヨタ自動車の大高英昭前社長(65)から、セクハラ(性的嫌がらせ)を受けたとして元社長秘書の小林明香(さやか)さん(42)が、同社長らを提訴した。請求した損害賠償は総額一億九千万ドル(約二百十二億円)の高額だ。大高前社長は「潔白が証明されると信じている」と疑惑を否定しているが、提訴から一週間で辞任に追い込まれた。「訴訟社会」といわれる米国、大企業を揺るがすセクハラ訴訟事情とは−。
「ワシントンへ出張した際、宿泊先のホテルで大高社長は彼女の部屋に行ってもいいか、それとも彼女に自分の部屋へ来るかと求めた」「社長のデトロイト出張への同行を拒んだら、社長は幹部社員に彼女の分もホテルを予約するよう命令した」
三日付米ニューズデー紙が、大高前社長を訴えた小林さんの訴状から、セクハラをこう報道した。セクハラは人種差別と並び、米社会が敏感に反応する問題。同社は、大高前社長を事実上更迭し、火消しに懸命だ。米国での日本企業によるセクハラ訴訟では、一九九六年、当時の米国三菱自動車製造(MMMA)のケースが有名だ。
■米国三菱は不買運動に
女性従業員二百八十九人がセクハラの対象になったとして、米雇用機会均等委員会(EEOC)から米公民権法違反で提訴され、九八年に史上最高三千四百万ドル(当時のレートで約四十九億円)で和解した。
発端は九二年から九三年にかけて、女性従業員が相次いでEEOCにセクハラの苦情を申し立てたことだった。九四年に従業員側から示談が提案されたが、MMMAは応じなかったため訴訟に発展。結果として和解金や弁護士費用など多額な費用を支払うことになった。
加えて同社従業員約二千七百人がシカゴのEEOC前で抗議デモを行った際、社側が参加者の給与や昼食代などを負担していたことが明らかに。これに反発が起き、三菱車の不買運動が展開された。売り上げは落ち込み、MMMAの「損失」は膨大になった。
親会社の三菱自動車工業は現在、こうした教訓を踏まえ、防止のためのハンドブックを全社員に配布。外部カウンセラーによる相談窓口を常設している。
さらに「セクハラ行為を確実に防止するため、懲罰システムを実行する」として就業規則の懲戒解雇条項にセクハラを追加した。
広報担当者は「疑わしい行為はすべて解雇の対象になるというのが原則。息苦しさもなくはないが、セクハラ問題を二度と起こしてはいけないので、他社よりも進んでいる」と話す。
北米トヨタは、今回の問題で、元米労働長官をトップとする特別調査委員会を設置し、事実関係を究明することを発表。トヨタ自動車の渡辺捷昭社長も「必要なすべての措置を講じる」との談話を出した。
だが、セクハラ問題に詳しい山田秀雄弁護士は「有能な人をセクハラ問題でクビにできず、何とか守ろうとしてしまうのが日本企業が陥りやすいパターンだ。非があるのなら早く謝罪し、被害女性の希望に沿った配置転換などの対応をすれば、訴訟にまでは発展しないことが多い。セクハラ問題は初期対応が最も大事だ」と話す。
米国のセクハラ対策の歴史は、六四年の公民権法の制定からだ。セクハラは性別などを理由にした雇用差別を禁止する同法に触れる。その後、連邦政府機関であるEEOCが設置された。EEOCは被害者に代わって訴訟を起こす権限を持つ。
EEOCに寄せられる訴えは、性差による差別全般でみると八〇−八九年(米会計年度)に五千八百四十九件だったが、九〇−九九年には三万七千七百二十五件と約六・五倍に増えた。二〇〇〇−〇四年では既に二万件を超える。
セクハラ防止の企業向け研修を行うある米企業によると、人種なども含む差別に関する訴訟は民事訴訟の三割を占める。一億−五億ドルを払った米企業もあるという。
証券大手モルガン・スタンレーは性差別訴訟で一昨年、総額五千四百万ドル(当時のレートで約五十九億円)で和解した。
米国では企業の払う和解金や賠償金が高額になるケースが多い。前出の山田弁護士は「実損への賠償金に加え、企業に対する懲罰的損害賠償制度という事実上の罰金があるからだ」と解説する。今回の訴訟でも一億九千万ドルのうち、一億五千万ドルは懲罰的部分という。このため、米国企業はセクハラに対して極めて厳しい対応をする。
■女性の服もほめられず
「米国企業は、女性の服装をほめることすらできないくらいピリピリしている。上司と部下の交際が分かった場合には、別れた後に会社がセクハラで訴えられるのを防ぐために、両者の合意で交際しているという『恋愛契約書』を取るくらいだ」(山田弁護士)
日本のセクハラ訴訟第一号は一九九二年。出版社に勤務していたフリーライター女性が、セクハラを受けた上、退職を強要されたとして、勤務先と上司に損害賠償を求めて福岡地裁に提訴。同地裁は女性勝訴の判決を下した。
その後の九九年の改正男女雇用機会均等法では「事業主には職場におけるセクハラ防止のため、雇用管理上の配慮義務がある」(二一条)を加えた。ただ、罰則規定は盛り込まれなかった。
日本でも企業、被害女性双方からのセクハラ相談件数は増加中だ。東京都によると、都内六カ所の労働相談情報センターに寄せられた相談件数は、二〇〇三年度の千三百六十九件に対して、〇四年度は二千九件。
こうした現状から、厚労省は「より厳しい対応を目指す」として、今国会に雇均法の再改正案(来年四月施行予定)を提出中だ。
法案によると、従来の被害対象を女性のみから男女双方に広げた上、企業の「配慮義務」を「措置義務」に強化。これを履行しない企業は、名前を公表するとしている。
セクハラに伴う企業側の意識については、米国とは差があるようだ。九〇年代後半には興亜火災海上保険(現・日本興亜損害保険)、AIU保険などが、セクハラ訴訟への対応も含めた「雇用慣行賠償責任保険」を発売。だが、「問い合わせだけで成約に至ったのはわずか」(興亜損保)、「進出先の米国でというニーズはあるが国内分はほとんどない」(AIU)のが現状だ。賠償額の差も大きく、福岡地裁判決では百六十五万円だった。
危機管理コンサルタント「リスク・ヘッジ」の田中辰巳代表は「北米トヨタのケースはセクハラを超えた刑事案件。だから、企業はあれをみて、セクハラのケースと誤解すべきではない」と注意をうながす。
一方、セクハラ訴訟に携わってきた角田由紀子弁護士は「九九年の改正雇均法以来、企業や地方自治体は就業規則にセクハラ防止の記載を入れたり、印刷物を出したりしてきた。そうした形はともあれ、本当にセクハラが現場で理解されているかは疑問だ」と話す。
「女性側が勝訴しがちなのは、ひどい事案しか訴訟になっていないため。裁判の後に加害者が処分されても個人の問題にされ、なぜ彼の行動が看過されてきたかに話が及ぶことはまれ。企業の事なかれ体質はいまだに変わっていない」
<デスクメモ> 「セクハラ」が流行語大賞の新語部門に選ばれたのが一九八九年、バブル真っ盛りのころだ。流行語部門は「オバタリアン」だった。後者はすっかり影を潜めたが、前者は逆。最近は上司の職権を乱用し嫌がらせをする「パワハラ」なんていう“亜種”もある。こうした言葉が“死語”になる時代は来るのだろうか。 (鈴)
****************************************************************
秘書はまるで自分の愛人。こんな意識の男性が世界に名だたる企業のトップになれるのですね。
金額より、こういう事実にあきれます。お金があれば、女はいう事を聞く、聞いて当然と思うのでしょうね。