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[ 05月10日 03時00分 ]
http://www.excite.co.jp/News/society/20060510030000/20060510M40.159.html
国内の自殺者が8年連続で3万人を超えそうだ。自殺者は、国が自殺対策の参考としている警察庁の調べで、98年から04年まで7年連続で3万人以上を記録。05年は「自殺」の定義を警察庁より限定的にしている厚生労働省に、昨年11月までに前年比で423人多い2万8240人の報告があったことが判明。このため、厚労省より例年1000〜2000人多くなる警察庁の統計では3万人を超すのはほぼ確実になった。「自殺数の増大は『格差社会の影響』」との専門家の指摘もあり、国の自殺対策が改めて問われそうだ。
警察庁は総人口(外国人も含む)を対象にし、遺体発見時に自殺、他殺、事故死などが不明でも、その後の調査で、自殺と判明した場合は計上。一方、厚労省は死亡診断書で自殺とされたケースに限定し対象も国内の日本人だけ。その結果、04年の自殺者は警察庁が3万2325人、厚労省は3万247人で約2000人少なかった。
政府は昨年12月、自殺予防の総合対策を発表。しかし、対策には法的根拠がないため、実体のない掛け声だけで終わりかねないとして、NPO法人が「自殺対策基本法」(仮称)制定に向けて、署名活動を始めている。
野田正彰・関西学院大教授(精神医学)は「自殺者の増大は格差社会の影響が大きい。勝ち組は弱者へのいたわりがなくなり、負け組とされる人たちは挫折感を強く感じさせられている。競争に勝つため、子どものころから相手に弱点を見せられず、本音が話せなくなり、人と人とのつながりが薄れている」と話している。【玉木達也】