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公立病院の治療代未払い急増 低所得者の増加など影響
2006年04月09日06時12分
都道府県と政令指定都市が運営する全国248の公立病院で、患者から支払われていない治療代(未収金)が昨年3月末で1病院あたり約3300万円に上っていることが、朝日新聞社の調査で分かった。過去3年間で1病院あたり1000万円も増え、1億円を超える病院もあった。自治体の多くが低所得者の増加と医療費の自己負担引き上げが原因と回答。03年度のサラリーマン本人の負担増など、国の医療制度改革も未収金急増に追い打ちをかけた格好だ。病院経営の圧迫要因にもなりかねず、各自治体とも対策に苦慮している。
計62自治体に質問票を郵送し、1年以上未払いの治療代などを尋ねた。61自治体が回答した。
この結果、未収金の総額は昨年3月末で80億7686万円。1病院あたりでは、02年3月末に2250万円だったが、03年2650万円、04年2941万円、05年3256万円になっていた。
病床数や開設診療科などによって病院ごとのばらつきはあるが、自治体ごとに1病院平均をみると、沖縄県(病院数7)は1億3093万円、仙台市(同1)は1億7862万円、札幌市(同1)は1億3860万円。一方、北海道(同9)は839万円、福岡県(同5)は770万円、熊本県(同1)は98万円だった。
未収になりやすいケースとしては、高額の手術や入院、救急患者、出産時の入院などが挙がった。「国民健康保険料の滞納で保険証を交付されず、保険適用分も含めて、いったん全額を払わなければならない人の未払いも目立つ」と答える自治体もあった。
未収金発生の原因(選択式、複数回答)では、「低所得者の増加」が74%で最多。具体的には「生活保護には至らないが、生活が困窮している患者」(埼玉県)、「年金生活者、多重債務者、無保険者、失業中の人」(鳥取県)などだった。貯金ゼロや生活保護世帯の急増が背景にあるとみられる。
次いで「医療費の自己負担増」が64%。高齢者の1割負担徹底(02年10月)▽サラリーマン本人負担の2割から3割への引き上げ(03年4月)▽高額な医療費の負担上限を上げた高額療養費制度の改定(01〜03年)といった政策との関連を各自治体とも指摘。「02、03年ごろの負担割合引き上げから顕著」(福井県)、「負担増に伴って増加傾向」(横浜市)などとする見方が多かった。
「患者のモラル低下」は31%。治療後、連絡がとれなくなる例もあった。
未収金が経営に及ぼす影響(選択式)については、41自治体が「(経営難の)要因の一つ」と回答。簡裁を通じた督促や訴訟などの法的措置をとる自治体も出てきていた。同時に聞いた「病院経営での累積赤字」の総額は8011億円に上っていた。
http://www.asahi.com/life/update/0409/001.html