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□東大合格数“異変” ゆとり教育“1期生” [産経新聞]
http://www.sankei.co.jp/news/060319/sha020.htm
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東大合格数“異変” ゆとり教育“1期生”
≪地方公立「増」、常連私立「減」≫
東大の入試戦線に異変が起きている。前期日程の合格者をみると、これまで受験に強くランキング雑誌の常連だった中高一貫型の私立高校が軒並み減少し、逆に地方の公立高校が躍進した。新学習指導要領下で学んだ生徒たちが初めて臨んだ今回の入試。公立校は学校週5日制の完全実施などゆとり教育の流れや、生徒数の減少に伴う高校の再編統合といった逆風にさらされてきた。躍進校はこうしたハンディを見据え、地道な対策を積み重ねていたようだ。
≪首位に動きないが≫
出版社「大学通信」によると、今年の東大合格者の高校別ランキングの首位は25年連続で、開成(121人)が堅持。麻布、灘、ラ・サール、駒場東邦(駒東)といった常連組が並んだ。ただ、問題はその増減だ。灘が32人減、開成が31人減、駒東が18人減と、中高一貫型の私学が軒並み合格者を減らした。
逆に岡崎(愛知)が10人増の33人、一宮(同)が12人増の28人、富山中部(富山)は15人増の27人、金沢泉丘(石川)は16人増の20人と地方の公立進学校が合格者を伸ばした。
開成は「今年の3年生は必ずしも東大にこだわらず、医歯学部志向が強かった。全体的に結果は淡々と受け止めている」とするが、一方で「ボーダーラインの生徒が公立の頑張りで、はじかれたのかもしれない」とも。躍進組の「教員の努力が報われた」(富山中部)「正直出来すぎかも」(金沢泉丘)といった弁とは対照的だ。
≪危機感≫
今年は、学習内容を3割削減した新学習指導要領で学んだ生徒が初めて臨んだ「新課程元年」の入試だ。彼らは学校週5日制のもとで育ったゆとり教育の申し子で、学力低下が指摘された世代。「公立苦戦」を覆す頑張りについて、代々木ゼミナールは「躍進校は数年前から危機感を強め手を打っている。10年前ならありえなかった『東大合格〇人』といった目標や特色を掲げ、高校の雰囲気が大きく変わった」と解説する。
躍進校を見ると、(1)進度が速い長時間の授業を中心に据え、授業レベルを落とさなかった(2)きめ細かく手をかけた指導を地道に続けた−という共通点がある。
富山中部は授業レベルを維持するため、「新入生に入学後直ちに2泊3日の学習合宿を課した。勉強の仕方すら知らない彼らに実際に授業を受けさせ、『予習なしではついていけない』と実感してもらった。そのうえで具体的な予習方法を3日間の合宿を通じてたたき込んだ」と話す。
金沢泉丘も、「成績上位者を学年主任が直接呼んで、まめにアドバイスした。今まで下位層の底上げを重視していたが、上位層を伸ばすことで自然と下位層が引き上げられていった」と指摘する。同校では数学オリンピックや科学グランプリ、物理チャレンジといった教科に絡む冠イベントに積極的に参加させ、生徒のモチベーションを高める工夫も奏功したという。
「補習ではなく補充指導に土曜日を活用した」と話すのは一宮。「1コマ65分で『わかる授業』でなく『わからせる授業』。制度に染まらず、面倒見の良い指導に徹した」という。
個々にみると、こうした地道な取り組みは他校にもあるが、いずれの学校も教職員が「学力低下といわれるなかで何とか父母の期待に応えたい」「東大を意識した進路指導を心がけた」と結束した点も見逃せない。
≪都立は夜明け前≫
進学重点校として、てこ入れを図った都立高は日比谷が2人減の10人、西は4人増の17人で、軒並みほぼ前年並みか微増にとどまった。
「都立の場合、中学入試の時点で、成績の良い生徒が私立に流れてしまう。磨けば光る生徒が集まる地方都市の公立高と異なり、東京は高校だけ頑張っても限界がある」(大手予備校)
一方で、他校からは「日比谷高の90分授業はわれわれから見れば驚異。今の2年生、1年生はレベル、モチベーションともに高く、実のある授業が軌道に乗ればいずれ名門復活は果たせるだろう」といった声も聞かれる。
【2006/03/19 東京朝刊から】
(03/19 07:48)