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超過勤務多い運転手ほど睡眠障害、乗務中に睡魔
2006年03月04日16時35分
深夜勤務や長時間労働にさらされている長距離トラック運転手で超過勤務の多い人ほど、夜なかなか寝付けない、夜中に目が覚めるなどの睡眠障害があり、運転中に眠気に襲われていることが、独立行政法人・労働者健康福祉機構の調査でわかった。眠気は重大事故にもつながることから、厚生労働省も06年度にトラック運転手の勤務実態を調べ、労災防止のガイドライン見直しを検討することにしている。
調査は、同機構の下部組織、岩手産業保健推進センターの研究班(主任研究員・鈴木満岩手医科大助教授)が実施。近年、労働者の居眠りによる事故など睡眠障害と労災との関係が指摘されていることから、その代表例として長距離トラック運転手に注目した。
04年10月、東北地方から首都圏などへ向かう長距離トラック運転手2054人に質問用紙を配り、回答のあった1377人の結果を分析した。
トラック運転手については、1日の拘束時間を原則13時間以内とし、運転は9時間以内、連続運転は4時間以内などとする厚労省の基準がある。しかし調査の結果、1カ月の超過勤務時間の平均は、過労が懸念される水準とされる80時間以上の人が30.6%いた。うち100時間以上の人が16.3%にのぼった。
過去1カ月に週3回以上、「寝床に入っても30分以内に眠れない」「夜中や早朝に目が覚める」などの症状があったと答えた人も、全体の12.5%いた。
こうした「睡眠障害」の運転手について超過勤務時間との関連を調べたところ、超勤が「80時間以上」の人には、「80時間未満」の人より1.7倍多く睡眠障害がみられた。運転に支障があるほどの眠気に襲われたことがある人も、80時間以上は1.9倍だった。
また、眠気がもとで接触や脱輪などの軽微な事故を起こしたことがある人は全体の24.4%おり、人身事故などの大事故を起こしたことがある人も6.9%いた。
厚労省のまとめでは、交通労災事故で死亡するトラック運転手らの数はここ数年は横ばい傾向で、04年は160人。トラック事故は他の車も巻き込む重大事故になることも多く、05年11月には滋賀県彦根市の名神高速道路で7人が死亡する多重衝突事故、同9月には静岡県焼津市の東名高速道路で4人が死亡する追突事故が起きている。
調査にあたった岩手医科大の鈴木助教授は「ドライバーの過労を防ぐ対策は急務」と指摘している。
http://www.asahi.com/life/update/0304/010.html