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「経済格差」高校・大学で認識差 大学学費の民間調査
2006年02月13日10時55分
「家庭の経済力の格差が高等教育を受けられる格差につながっている」という質問に、「とてもそう思う」大学は1割にとどまる一方、高校側は4割近くがそう考えている。民間の教育関連会社が実施した大学の学費に関するアンケートで、経済格差をめぐる両者の認識の温度差が浮き彫りになった。大学進学を断念する理由についても、高校の7割は「学力より学費」と感じている。
調査を実施したのは、高校生らに進路相談会を開催している「ライセンスアカデミー」(本社・東京都新宿区)。調査のきっかけについて、担当者は「毎年延べ約1000の高校で進路相談会を開くが、先生から学費や奨学金に関する質問が増えたため」という。
昨年11月に、全国すべての高校・大学に調査票を送り、大学は307校、高校は442校から回答を得た。
高校は、主に進路指導担当の教員に答えてもらったが、経済的な制約が生徒の進学に影響していることを懸念する様子がうかがわれた。
まず、「大学に行きたくても行けない生徒は、学力より学費の制約が強くなったか」との問いに、公私立合わせた高校全体の20.5%が「とてもそう思う」と回答。「ややそう思う」の50.2%と合わせて、「あまりそう思わない(25.9%)」「そう思わない(2.0%)」を大きく上回った。
「学費を大学選びの判断基準として考える生徒が増えている」については、「増えた」「やや増えた」の合計が公立高校で7割を超え、私立でも6割に達した。
さらに、「学費や奨学金についての生徒からの相談」については、「増えた」が17.5%、「やや増えた」が45.5%にそれぞれのぼった。一方で、「やや減った」「減った」の合計は2.3%にとどまっている。
「格差」をより実感しているのは高校側のようだ。
「家庭の経済力によって、高等教育を受けられる格差が広がっている」と考える高校は、「とてもそう思う」が37.3%、「ややそう思う」が46.1%と計8割を超え、「あまりそう思わない」「そう思わない」の合計6.4%を引き離した。
同じ質問に対する大学側の回答は「とてもそう思う(10.5%)」、「ややそう思う(46.2%)」と比較的低めで、「あまりそう思わない」「そう思わない」の合計も12.5%あった。
調査担当者は、こうした「格差」への認識のずれについて、「高校に比べると、大学側は入学してくる生徒しか見えないからではないか」と分析している。
「ずれ」は学費や奨学金への考え方にも表れる。全体の3分の2の高校が「学費が高すぎる」と答えているが、学費について大学側の86.6%は「変更の予定なし」と回答。逆に「値上げを計画」としている大学が9.2%あった。学費については、大学側の横並び意識が強く、「授業料の決定基準(複数回答)」として最も多くの私立大学が挙げたのは「他大学の動き」で61.8%。「教育の質(60.6%)」「物価(53.1%)」が続いた。
また、半数を超える高校が「大学独自の奨学金が機能していない」と感じているが、大学側は独自の奨学金制度を充実させることについて、「計画なし」が63.0%にのぼった。4割以上の高校が「大学独自の奨学金制度は大学選びの基準となる」と答えており、07年度にも迎える「大学全入時代」には「学費」が大学選びのキーポイントになる可能性もある。
【調査方法の詳細】 05年11月に、国公私立を問わず、全国の716の大学と5418の高校にファクスで調査票を送付。大学は国立37▽公立28▽私立242の計307校が回答。高校は、公立294▽私立148の計442校が回答した。
調査を実施したライセンスアカデミーは、74年に創業し、80年に株式会社化。大阪や名古屋など全国に5支社を置く。高校生向けの進路相談会の開催のほか、進路情報誌の編集や、入試情報などを掲載する「大學新聞」を発行するなどしている。
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200602130043.html