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ジニ係数:国会の「格差社会」論争でにわかに焦点
国会の「格差社会」論争で、「ジニ係数」という聞き慣れない経済用語が焦点になっている。小泉純一郎首相が「言われているほど格差はない」と突っぱねる根拠にしている統計データで、論戦に備え、内閣府が国会開会直前にまとめた。一方、野党や公明党は、「小泉改革が格差社会を作った」と主張。今のところ首相が「統計VS実感」の水掛け論でかわしているが、野党は相次ぐ事件の責任追及に加え、小泉改革のマイナスイメージを世論に印象付ける格好のテーマと位置付けており、論戦は続きそうだ。【松尾良】
「エンゲル係数なら習ったが、ジニ係数という言葉はほとんど聞かなかった」。26日の衆院予算委員会で、公明党の上田勇氏が「実感として格差が拡大している」と質問すると、首相はこう打ち明け、それをもとに格差拡大を否定した。
ジニ係数は、世帯間の所得格差をゼロ〜1の数値で表す。ゼロに近いほど格差が小さく、1に近いほど格差は大きい。総務省や厚生労働省の統計では90年代後半から緩やかな上昇傾向にある。
これが注目されたのは、内閣府が19日に公表した月例経済報告に登場したため。係数の上昇については、(1)もともと格差が大きい高齢者世帯(2)所得が少ない核家族や単身世帯−−が増えたためで、格差拡大は「見かけ上」の現象と説明。内閣府の試算では、むしろ小泉政権下で、01年の約0.28から04年の約0.27へ下降したとしている。
ただ、各省の統計は調査手法などによって結果が異なり、判明しているのは04年以前の数値まで。結局、資料は「格差拡大は確認できない」とだけ結論付けた。
しかし、毎日新聞の昨年12月の世論調査では「格差社会になりつつある」との回答が64%に達し、自分の生活程度を5段階に分けてもらったところ、「中の下」「下の上」「下の下」が合わせて3分の2に上った。
野党や公明党がよりどころにするのは、こうした意識調査や日ごろ接する有権者の生の声だ。ライブドア事件なども「勝ち組」の行き過ぎの象徴とみて、「小泉改革には影があり、不公平感が広がっている」(前原誠司民主党代表)と批判する。
これに、自民党の青木幹雄参院議員会長や公明党の神崎武法代表ら、与党からの指摘も加わっているため、論争は容易に静まりそうにはない。このため、政府は「もし痛みの感覚がある場合、どこに由来するのか注意深く見ないといけない」(谷垣禎一財務相)と答弁に気を使わざるを得なくなっている。
毎日新聞 2006年1月30日 21時02分
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20060131k0000m010112000c.html