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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060115-00000000-san-soci
認識後引き渡し、喚問焦点に
耐震強度偽装事件で、ヒューザーの小嶋進社長(52)が問題発覚直前、指定確認検査機関のイーホームズの藤田東吾社長(44)に再三にわたり、一部マンションの偽装の公表を遅らせるよう要求していたことが十四日、イーホームズ側のメモなどで分かった。メモは、小嶋社長が「役人もその方がいいのではないか」などとも発言したと記録している。ヒューザーはこの時期、複数の偽装マンションの売買契約を結んだり、引き渡したりしており、十七日の衆院国土交通委員会の証人喚問では、「公表延期要求」と「引き渡し」の関係解明が焦点となりそうだ。
警視庁など合同捜査本部も、偽装公表をめぐる関係者の動きに注目しているもようで、こうした経緯の解明を図っていくものとみられる。
関係者によると、アトラス設計の渡辺朋幸代表(44)が昨年十月十八日、姉歯秀次元建築士(48)が担当した構造計算書の問題点をイー社に指摘。これを受けて同二十五、二十七の両日、ヒューザー、イー社の関係者や、姉歯元建築士らが会合を持った。
二十五日はイー社本社で開かれ、イー社幹部がいずれも未完成の「グランドステージ(GS)北千住」「GS町田」「GS竹ノ塚」「セントレジアス船橋」などの構造計算に偽装があることを報告。これに対しヒューザー幹部は「解体、再建築、分譲者への補償など会社が飛んでしまう」と発言したとされる。
この日と翌二十六日、ヒューザーは「GS藤沢」など二戸の売買契約を結び、「コンアルマーディオ横濱鶴見」の一戸を購入者に引き渡した。
二十七日にはヒューザー社長室で、同社の小嶋社長やイー社の藤田社長らが協議。ここでの出席者の発言内容はイー社によってメモが作成されており、それによると、小嶋社長は二十五日に偽装の報告があった「セントレジアス船橋」について、「曲げてでも検済(完了検査の確認済み証)を下ろしていただく。できない場合は告訴する」と藤田社長に要求した。
また小嶋社長は「その(検済)後に発覚したことにしてもらいたい。天災地震にて倒壊したときに、調査し発覚したことにしてもらいたい。役人もその方がいいのではないか」「三年間見過ごしてきたのだから公表を遅らせることができるはず」などと発言した、とメモに記載されている。この席で小嶋社長は、「船橋」への検済と公表の延期を何度も藤田社長側に迫ったとされる。
こうした動きの一方で、ヒューザーは、この日から二十九日にかけ、「GS藤沢」など十八戸を引き渡し、別の一戸の売買契約を結んでいた。
このため、ヒューザー側は少なくとも二十五日時点で偽装の重大性を認識していたにもかかわらず、姉歯氏が関与した複数の物件について偽装の有無や耐震強度を確認しないまま、引き渡しなどを行っていた疑いが強まった。
「船橋」をめぐっては小嶋社長が、偽装が公表される七日前の昨年十一月十日、伊藤公介元国土庁長官らとともに大成建設を訪問し、「免震化できないか」などと相談。同社の技術担当者が同十二日にマンションの外観を確認して「難しい」と返答し、その後は小嶋社長や伊藤元長官から連絡はなかったとされる。
(産経新聞) - 1月15日2時32分更新