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http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060112k0000m040171000c.html
耐震データ偽造事件で、姉歯秀次・元1級建築士の改ざんを見抜けなかった国指定確認検査機関「日本ERI」(東京都港区)と同「イーホームズ」(新宿区)の検査補助員2人が、05年度の国土交通省検定「建築基準適合判定資格者」に合格していたことが分かった。建築確認の権限を持つ特定行政庁の建築主事と同等の資格で、「みなし公務員」とされる。国交省は「合否判定に問題はない」としているが、実務での致命的なミスが反映されない検定のあり方は、建築確認制度の信頼性をいっそう揺るがしそうだ。
この検定は、検査補助員として実務2年以上の経験がある1級建築士が受験できる。択一、図面を見ての記述、小論文に分かれ、05年度は昨年8月26日に794人が受験した。合否判定は偽造発覚後の12月16日、学識経験者ら10人による検定委員会で行われ、348人が合格した。
この合格者の中に、偽造発覚の端緒にもなった東京都港区のマンションのデータ偽造を見逃したERIの検査補助員と、「グランドステージ北千住」(足立区)の審査を担当したイー社の検査補助員も含まれていた。民間の検査機関では、最終的な建築確認は有資格者が行うが、構造計算書など事実上の審査はほとんど補助員に委ねられているという。
港区のマンションは、国会でも証言したアトラス設計社長の指摘を受け、姉歯氏とは別の設計士に変更して構造計算を差し替えたため耐震性に問題はない。「北千住」も構造計算書の改ざんが見つかったため工事途中で確認が取り下げられた。
国交省によると、受験資格の「2年の実務経験」は、申し込み時に自己申告で職歴を記載するだけで、同省は勤務先の検査機関に実務中のミスの報告などは求めていない。検定もペーパーテストのみで面接はなく、同省建築指導課は「偽造見逃しを理由に合格を取り消すことはない」としている。
ERIは「8月時点では偽造見逃しを把握しておらず、受験が不適当だったとは一概には言えない」とし、イー社は「個々の物件を誰が担当したか、資料を警察に押収されているので分からない」としている。【種市房子】
<建築基準適合判定資格者>
設計中の建物が建築基準法に適合するか検査して、建築確認を与える国家資格。確認検査業務を民間に開放するのを機に、公務員向けの「建築主事検定」を衣替えする形で99年から年に1回検定が実施されている。資格を取ると、公務員は建築主事として、民間人は検査員として確認検査する。1級建築士で、確認検査の実務経験2年以上が必要。
毎日新聞 2006年1月12日 3時00分