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2005年11月17日20時25分
自分が入っている生命保険を東京都内の生保買い取り業者に売却しようとした埼玉県の男性(51)がAIGスター生命を相手に、保険金の受取人と契約者の名義変更に同意するよう求めた訴訟で、東京地裁は17日、請求を棄却する判決を言い渡した。宇田川基(もとき)裁判長は「不当に安く買い取られる危険性も指摘され、保険会社の同意拒否は不当とは言えない」などと述べた。一方で「多くのがん患者が生活の困窮から救済される方法を切望している」とし、「生保の売買が有効な方法となり得ることもうかがわれ、今後、是非について議論を尽くすべきだ」と付け加えた。男性は控訴する方針。
男性が売却を望んだのは肝がんの治療に費用がかかるなかで、長男の大学進学費用を工面するため。重病にかかって生活費に困り、生前にまとまった資金を必要としている人から契約済みの生命保険を買い取るビジネスは米国で広まった。日本では原告男性と契約を結んだ「リスク・マネジメント研究所」(東京都江東区)が先駆けとされる。男性は顧客第1号で、判決はこのビジネスをめぐる「初の司法判断」(原告側)として、生保業界からも注目された。
判決はほかに(1)名義変更に同意するかどうかは保険会社の自由(2)保険金の支払いを請求する権利を担保にして融資を受けることも法律的に可能だ――などと棄却の理由を述べた。
判決によると、男性は02年にがんを宣告された。長引く治療で働くことができず、04年12月、リ社と契約した。
男性が売却を希望したのは、死亡時に長男に2830万円がおりる保険。リ社との契約は(1)男性が代金として849万円を受け取る(2)リ社は男性の代わりに保険料を払う(3)男性の死亡時に保険金全額を受け取り、遺族に弔慰金を支払う――との内容だった。しかし、AIG側は「内規に反する」として名義変更に同意せず、男性が2月に提訴した。
判決後に記者会見した原告側代理人の高橋孝志弁護士は「残念だ。判決は『融資を受けられる』と言うが、男性には返済能力がなく、担保を設定しても実際には受けられない。国会が困窮する重病患者に目を向け、立法で買い取りのルールをつくるべきだ」と話した。
http://www.asahi.com/national/update/1117/TKY200511170360.html