★阿修羅♪ > 社会問題2 > 319.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
11/15 朝刊
TOKYO発
帰ってきた大学
少子化で大学全入時代の到来も予測される中、首都圏の大学が志願者確保の切り札として都心キャンパスへの回帰を強めている。郊外型キャンパスに比べて通学などの利便性が格段に高まることを打ち出す作戦。生き残りをかけた各大学の「都心回帰」の動きを追った。
池袋駅の東口から徒歩十分。サンシャイン60の高層ビルを望む豊島区東池袋の超一等地に、約八千五百平方メートルの広大な空き地がある。一昨年に閉校した区立時習小学校の跡地で、所有者は帝京平成大(本部・千葉県市原市)。昨年夏、一般競争入札の末、豊島区では過去最高額の六十五億円で落札した。市原市内に二つのキャンパスを抱える同大は二〇〇八年四月、ここに三番目のキャンパスを開設する方針。広報担当者は「学生確保のためには願ってもない立地」と都心回帰を念頭に置いた投資であることを認める。
立正大も「都心で学ぶ充実の四年間」をうたい文句に都心回帰を急ピッチで進めている。一、二年は埼玉県の熊谷キャンパスだった経済、経営学部は〇二年度から本部のある大崎キャンパス(品川区)での一貫教育となり、来春から文学部、二年後には仏教学部もこれに続く。同大はずばり「生き残り作戦の一環」(高木明秘書室部長)と説明する。
本部のある神田一ツ橋キャンパス(千代田区)への集中化計画を打ち出したのは共立女子大。家政、文芸学部の一、二年生、国際文化学部は四年間を東京郊外の八王子キャンパスで学んでいる。これを来春の入学者からは全学部とも神田一ツ橋キャンパスで四年間学ばせる大胆な方向転換だ。
総合企画室の杉本哲郎担当室長は「カリキュラムを組む上でも教養と専門課程の分離は制約要因になるが、八王子の立地は志願の段階から制約要因になっていた。オープンキャンパスでも受験生の反応は上々で、志願者増が期待できる」と自信を示す。
昭和音大も〇七年春、キャンパスを神奈川県厚木市から川崎市に移す。小田急線新百合ケ丘駅前の好立地だ。
東洋大は「都心四年間」をキャッチフレーズに、今春の文系学部の新入生から、四年間、文京区白山の本部キャンパスで学べるようにした。二十六年ぶりの措置が功を奏し、志願者が増えた。従来は文系の一、二年生は埼玉県の朝霞キャンパスに通っていた。
志願者確保を狙った都心回帰の動きを後押ししているのは、都市部で一定規模の施設の新増設を禁じていた工場等制限法が三年前に廃止されたこと。地価の下落傾向も追い風となっている。
都心キャンパスの充実を図る動きも加速している。法政大は本部のある市ケ谷キャンパス(千代田区)に隣接する嘉悦女子中・高校の土地、建物をそっくり買収。来春、同校が共学化に伴い江東区に移転するのを待って、供用開始する。
芝浦工大は手狭となった田町キャンパス(港区)に代わって、来春、江東区の再開発地区に豊洲キャンパスを開設。来年創立百二十五周年を迎える東京理科大は神楽坂キャンパス(新宿区)の再構築事業を〇九年春の達成目指して推進。高層棟の建設などで建物の延べ床面積を現行の一・四倍に拡大させる。早稲田大、上智大なども整備事業を推進している。
少子化の進展で、〇七年度には大学・短大の進学志望者と定員総数が一致する「大学全入時代」が到来すると予測されている。
大手予備校、代々木ゼミナールの坂口幸世(ゆきとし)・入試情報センター本部長は「通学時間が長く、アルバイトやサークル活動にも支障のある郊外型キャンパスは敬遠される傾向が強まっている。資金面で余裕のある大学が今後も都心志向を強めるのは確実で、既に水面下で動きだした有名大学も複数ある」と話している。
文・安田信博
http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20051115/mng_____thatu___000.shtml