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□若手有能弁護士自殺、なぜ…環境の変化か? [夕刊フジ]
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/suicide.html?d=05fuji63265&cat=7&typ=t
若手有能弁護士自殺、なぜ…環境の変化か? (夕刊フジ)
東京・京王線笹塚駅構内で若手弁護士が電車に飛び込み、命を絶った。弁護士過疎の対策として北海道根室市に開設された公設事務所の初代所長で、今年春に任期を終えて都内の法律事務所で働き始めたばかり。仲間に「多くの人が法的サービスを享受できるようにしたい」と夢を語り、近く結婚も控えていたという。若手の有能弁護士はなぜ死を選んだのか。
亡くなったのは、東京都杉並区和泉の32歳の男性弁護士。
代々木署の調べでは、男性は10月24日午後4時35分ごろ、笹塚駅に入ってきた下り通過電車(10両編成)にはねられ、即死した。男性はホームで待つ客から少し離れた所に立ち、電車が通過する直前、線路内に飛び込んだ。遺書などは見つかっていない。
勤務先の「紀尾井町法律事務所」(千代田区)によると、この日、男性は午前から通常通り事務所で執務し、午後1時半ごろから外出。午後5時からの同僚らとの会合に出席するため、事務所に戻る予定だった。
男性は通勤に京王線を利用しており、笹塚駅隣の代田橋駅から徒歩10分足らずのマンションに暮らしていた。
外出先や目的は分からないが、男性に変わった様子はなかったという。事務所の先輩弁護士は「なぜ、笹塚駅にいたのか。いったん帰宅しようとしていたのか、それとも、やはり自殺しようと考えていたのか…」と釈然としない。
男性と離れて暮らす家族も、代々木署員に「自殺の原因として心当たることはない」と戸惑いを隠せない様子で話していたという。
関係者によると、愛知県生まれの男性は早大法学部卒業後の平成11年、5回目の挑戦で司法試験に合格し、13年4月に弁護士登録した。
東京フロンティア基金法律事務所(新宿区)で実務経験を積み、15年3月、北海道根室市の公設弁護士事務所「根室ひまわり基金法律事務所」の初代所長として、任期2年で派遣された。
公設弁護士事務所は、地方の弁護士過疎の解消のため、日本弁護士連合会(日弁連)が推進。12年6月の島根県浜田市を皮切りに、これまで全国に計53の事務所が開設され、司法修習を終えて数年の若手を中心に計62人の弁護士が派遣されている。このうち、少数だが、5人が志願して派遣先で独立している。
男性は修習生のころから、公設事務所のメリットに注目し、地方赴任を志願。北海道を赴任先に選んだ理由は「趣味のスキーができるから」という軽いものだったが、多数の案件の処理を着実にこなし、私生活でも御輿(みこし)担ぎや渓流釣りを楽しむなど地元にとけ込んでいた。
「若いのに落ち着き、依頼者からも信頼されていた」(釧路弁護士会の関係者)といい、本人も地元メディアの取材に「充実した忙しさで、事務所を経営しているという実感がある」と満足そうに話していた。
3月に任期を終え、親しい先輩弁護士が所属する紀尾井町法律事務所に移籍した惰性は、先輩や同僚に「なるべく多くの人が法的サービスを受けられるようにしたい」と夢を語っていた。
男性は幅広い事件を担当していたが、過度のストレスを受けるような案件はなかったという。独身だったが、近く交際中の女性と結婚する予定だったともいい、関係者は「自殺するなんて信じられない」と一様に首をかしげる。
だが、男性の死をめぐっては、法曹関係者の間で「根室と東京のギャップに悩んでいたのでは」との憶測も浮上している。
20歳代の若手弁護士の男性は「公設事務所の所長は地元から頼りにされるし、仕事にやりがいがある。東京の窮屈な環境に嫌気がさし、希望を失っていたのでは」と推測する。
50歳代のベテラン弁護士の男性は「公設事務所を希望する人には純粋なタイプが多いだけに、進路問題で思いつめたのかもしれない」と肩を落とした。すべて推測の域を出ないが、男性が亡くなった今、誰も動機にはたどり着けない。
[ 2005年11月5日13時0分 ]