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http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051004k0000m020151000c.html
生命保険の契約後、一定期間内に契約者が自殺した場合、生保会社が保険金を支払わない「自殺免責」について、大手各社が相次いで2年から3年に延長していたことが3日、明らかになった。自殺して保険金を受け取り借金返済などに充てるケースが増えているとの指摘があるうえ、自殺者急増で保険金支払いが想定を大きく超える可能性が出てきたためだ。ただ、遺族に大きな不利益が生じるにもかかわらず期間延長は十分に周知されておらず、免責期間の根拠などを説明するよう求める声が強まっている。【坂井隆之】
◇「自殺抑止」が目的? 実際は支払い急増
大手生保各社の自殺免責期間は、99年ごろまで1年で共通していた。00年前後から、各社は相次いで免責期間を延長、国内各社は2年を免責期間に設定した。ところが、同時期にアメリカンファミリー生命保険など外資系は免責期間を3年に延長。自殺者が急増する中、外資系と国内勢の間で保険金の支払額に大きな差が生じる可能性が出始めていた。
このため、明治安田生命保険、住友生命保険、日本生命保険など国内勢も04年以降、免責期間を3年に再延長。第一生命保険も10月から3年に延長、各社の免責期間はほぼ横並びになった。ただ、各社とも免責期間延長前の契約者については、2年のまま据え置く。
免責期間延長について、各社は自殺者数が98年以降3万人を上回るなど社会問題化していることを背景に、「保険金が簡単に支払われることが、自殺を助長している可能性がある」(第一生命)と指摘。免責期間延長は、自殺抑止が目的との考えを強調する。
ただ、自殺急増で保険金支払いが増加していることも、免責期間延長の大きな理由とみられる。ある大手生保では、過去10年で自殺に対する死亡保険金支払額が1・5倍以上に急増。総支払額に占める自殺への保険金支払額の割合も10%を超えたという。
04年3月には、数億円規模の保険金自殺をめぐる訴訟で「明らかに保険金目的の自殺であっても免責期間経過後であれば支払いを拒否できない」との最高裁の判断が示された。このため、生保各社は「巨額の請求を防ぎ、保険金支払いを抑制するには免責期間を延長するしかない」(大手生保幹部)と判断している。
自殺免責など契約者にとっての「不利益条項」は、各社とも契約書とは別に書面で説明している。ただ、各社とも2年から3年への延長は特に発表しておらず、約款でも3年に延長したことは注意喚起していない。
生保に詳しい慶応大学商学部の深尾光洋教授は「契約者間の公平性確保や自殺抑止のための対策は必要」としながらも「契約者に不利益な条項だけに、募集時の十分な説明が不可欠。うつ病などが原因で自殺した場合には『病死扱い』として支払いに応じるなど、運用面での配慮も必要だ」と指摘している。
毎日新聞 2005年10月4日 3時00分