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(回答先: 上限関税は「消えてない」 今後も反対貫く/中川農相 (日本農業新聞) 投稿者 heart 日時 2005 年 12 月 21 日 20:14:13)
WTO閣僚宣言採択 関税削減率、先送り 「上限」盛らずコメ保護に道筋
【香港=上野嘉之】世界貿易機関(WTO)の香港閣僚会議は最終日の十八日、新たな貿易自由化の仕組みを定める閣僚宣言を採択し、六日間の日程を終えて閉幕した。宣言は、自由化の具体的な内容を決定付ける関税削減率などには踏み込まず、関税削減率などの数値を含めた包括合意の期限を来年四月末とする目標を明示した。
閣僚宣言では、農業分野で関税削減の例外ルールを適用する「重要品目」の扱いについて、「あらゆる要素を考慮する」との表現にとどめられ、コメを関税削減の例外扱いとするかどうかの議論は先送りされた。一方、関税に上限値を設けて高関税を禁止する「上限関税」は、日本などの反対で宣言の本文には盛り込まれず、付属文書で「賛否両論がある」と指摘された。
この結果、外国産のコメの大量流入につながる関税の大幅削減を回避し、日本のコメ市場に相応の保護措置を続ける道筋は残った。関税削減率や最低輸入量の具体的な数値を定める細目は、年明けに協議を再開する。
一方、途上国の競争力を阻害するとして問題化していた米国など先進国の農産物輸出補助金は、二〇一三年までの全廃が盛り込まれた。NAMA(鉱工業品など)分野でも、日本の主張通り、関税が高い品目ほど削減幅を大きくする「スイス方式」の採用が確定した。
新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の重要テーマである発展途上国支援については、先進国が〇八年までにLDC(後発途上国)産品の97%以上を「無税無枠」化するよう義務付けた。
会議に出席した中川昭一農水相は、農業交渉の合意について「(日本が)守るところはきちんと守れた」と評価。二階俊博経産相は今後の交渉日程をにらみ「極めてタイト。スピードアップを図らなければいけない」と述べた。
◇
約百五十に膨らんだ加盟国が交渉に参加したWTO香港閣僚会議は、関税削減率など核心部分の合意を来年四月末に先送りした。会議の成果は限定的と言わざるをえないが、それでも交渉が前進した意義は小さくない。
WTOの新ラウンドは当初、一九九九年にスタートする予定だったが、同年のシアトル(米国)閣僚会議が決裂。開始は〇一年のドーハ(カタール)閣僚会議に持ち越された。中間合意を目指した〇三年のカンクン(メキシコ)閣僚会議も、先進国と途上国の対立が先鋭化して再び決裂、目標だった〇五年一月の最終合意を断念した苦い過去がある。
今回の香港閣僚会議も、各国の対立から、事前にラミーWTO事務局長が「合意には関税削減率などの具体的数値を含まない」と明言するなど、会議の席に着く前から合意の目標水準を引き下げざるをえなかった。決裂回避を最優先して小さな合意を実現することが交渉の推進力を保ち、世界の自由貿易体制を前進させる唯一の方法だったからだ。それでも今回の閣僚宣言は、各国から百出する議論の幅を狭め、すべての参加国が現実的な着地点を探る機運を高める意義があった。
日本は開幕直前に、EUや米国に先駆けて途上国支援策を発表。開幕後は各国との非公式会合を相次いで主催し、存在感をアピールした。会期中盤の十五日には農業分野で譲歩の可能性を含む新提案を行って議論を加速。こうした交渉術が奏功し、閣僚宣言では「上限関税」など日本が受け入れ難い内容が盛り込まれることはなかった。
しかし、今回の合意は交渉の途中経過に過ぎない。関税削減率は今後の協議に委ねられ、農水産品市場の大幅開放を迫られる危機は依然として存在する。むしろ最も厳しい局面は、来年四月までの交渉に現れるかもしれない。日本にとってもWTOにとっても、気の抜けない交渉が続く。(香港 上野嘉之)
◇
【香港閣僚宣言の骨子】
一、来年四月末までに農産品と非農産品の関税引き下げ率などを盛り込んだ細目合意を達成
一、農産物の(日本のコメなどの)重要品目の扱いについては合意が必要
一、上限関税の導入には賛否両論がある
一、輸出補助金を二〇一三年までに全廃
一、〇八年までに後発発展途上国産品の無税無枠輸入を実施
(産経新聞) - 12月19日2時36分更新
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