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「非姉歯」拡大なら底なし 国交省、木村の169件重点調査
警視庁などが建築基準法違反の容疑で関係先の一斉捜索に着手した耐震偽装事件は、十一月十七日の国土交通省による公表以降、深刻さの度合いを深める一方だ。偽装確認された「姉歯物件」は七十八件。しかし国交省は偽装が姉歯元建築士が関与した物件以外に拡大する事態を恐れており、木村建設の物件を重点調査。「姉歯以外の木村物件」から偽装が確認されれば、問題は“底なし”の最悪事態に陥る。
コストダウンが売り物の総合経営研究所。その手法に習熟した木村建設が、総研と離反し、ホテルからマンションへと受注の軸足を移動させたことが、偽装の拡散を招いたのではないか−との見方を国交省などは強めているようだ。
総研譲りの格安施工を拡散させた木村建設は、一連の偽装問題の“キーマン”ともいえる存在。問題が姉歯氏の個人的な色彩が強いものか、それとも木村建設の主導が認められるかの見極めには、木村建設が関与した全物件の状況を調査することが不可欠だ。
国交省が木村建設を立ち入り検査したのは十四日。この中で、同社が昭和六十二年以降、建築工事を約三千件手がけていたことをつかんだ。だが、資料がそろっていないものが多く、物件種類や施工時期といった基礎情報が特定できているのは二百二十九件のホテルやマンションだった。
二百二十九件のうち、姉歯氏が構造計算にかかわった「姉歯物件」は六十件。「非姉歯物件」は百六十九件と分かった。
国交省は「非姉歯物件」百六十九件を重点調査対象に指定。偽装がないかどうか、再検査して二十六日までに報告するよう求めた。
一方、十四日の証人喚問後、木村建設は施工した三十一ホテルの「積算対比表(ホテル)」を提出した。対比表によると、姉歯氏を含め五設計事務所が構造計算をしていたが、「非姉歯」十三ホテルでも「姉歯並み」の鉄筋量しかないことが判明。木村建設が他の設計士にも鉄筋量削減などコストダウンを迫っていた疑いが浮かんだ。
このため国交省は、「非姉歯」十三ホテルの再調査を最優先調査対象とし、他の「非姉歯物件」に優先する形で、ホテルが所在する九都県に指示している。
このほかにも国交省は、(1)「木村」以外の「総研物件」(2)「姉歯」以外の「平成設計物件」「ヒューザー物件」−についても調査に着手、「姉歯以外」での偽装の有無確認を急いでいる。「姉歯以外」での偽装が確認されれば、問題は姉歯固有のものではなく一般的な構図に広がってしまうことになり、日本の建築の信用が完全に崩壊する事態となる。偽装をめぐる状況はまだ沈静化にはほど遠い。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/21iti002.htm
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