★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK17 > 717.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
WTO香港会議/農業守る意欲的交渉を
日本農業新聞 論説[2005年12月13日付]
世界貿易機関(WTO)の第6回閣僚会議が13日から香港で開かれる。当初予定していたモダリティー(保護削減の基準)の確立は断念しているが、ラミー事務局長は明確に前進した「中間合意」が必要であると強調、最大限の具体的な成果を目指すという。18日までの会議は激しい交渉が予想されるが、上限関税導入の阻止、重要品目の十分な確保を図るため、政府には積極的な交渉を期待したい。
WTO農業交渉はここ数カ月間に、香港会議に向けた各国やグループの、数値を入れた具体的な提案が出された。しかし、先進国と開発途上国、輸出国と輸入国の主張の溝は深く、歩み寄りができていない。このままでは閣僚会議が決裂した1999年のシアトル、2003年のカンクンの二の舞いになりかねない。このため今回の会議では、モダリティーの決定期限を新たに設定することにして、昨年7月の枠組み合意をさらに前進させた中間到達点を目指すことになった。
日本農業にとって最も警戒すべきは、市場アクセス(参入)の上限関税導入と重要品目の扱いだ。上限関税は昨年7月の枠組み合意では「その役割をさらに評価した上で、その是非を検討」となっていた。しかし、十分な評価の議論のないまま具体的な上限関税が協議されている。農業生産の条件は国によってそれぞれ異なり、一律的に上限関税を導入するのは生産の違いを無視するものだ。お互いに認め合い、共存できる貿易ルールでなければならない。
スイス農業者連盟のエリ・レイスタッド副会長は「WTOは国際市場に影響を与えない国の食料生産まで壊滅させる権利があるのか。上限関税で被害を受けるのは輸入国ばかりで、提案する輸出国に何の痛みもない」と発言しているが、その通りである。断固拒否しなければならない。
重要品目についても、本来は一般品目と「異なる扱い」をすることになっている。別なルールを適用するのは当然だ。米国は重要品目まで上限関税を導入するとしているが、明らかに枠組み合意を逸脱するもので許されない。品目数についても、食料主権から十分な確保は当然だ。
上限関税に反対しているのは日本など食料純輸入国グループ(G10)だけではない。55カ国で構成しているアフリカ・カリブ・太平洋諸国グループ(ACP)も反対を明確にしている。ACPの多くが一人当たり国民総生産(GNP)が750ドル未満などの後発発展途上国(LDC)である。わが国はLDCの貿易活性化に向け、100億ドル規模の政府開発援助を発表したが、交渉の好材料として十分に活用すべきである。
今回の交渉は「ドーハ開発ラウンド」と言われるように途上国問題が大きなテーマ。途上国問題に積極的に取り組み、わが国の主張を理解してもらうことが重要だ。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0512/13.html
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK17掲示板