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文化という劇場:戦後の「天皇制」世論調査、目的は国体の護持だった
『「キング」の時代』『言論統制』などメディア史の分野で次々と注目作を出している佐藤卓己・京大助教授が、雑誌『思想』12月号に論文「戦後世論の成立」を発表した。戦前・戦後に実施された「世論調査」を綿密に調べ上げ、それが戦時宣伝=言論統制とも密接に結び付いていた意外な事実を明らかにしている。
一つだけ例を挙げると、1945年の敗戦後から翌年にかけて、本紙を含む新聞や民間機関により度々行われた「天皇制」に関する世論調査がある。このこと自体は知られているが、問題は調査に込められた意味合いである。
世論調査といえば、戦前・戦中の反省に立った「民主化」を象徴する動きと見なされるのが普通だ。しかし佐藤氏によると、新憲法公布前のこの時期、それらの調査結果で「天皇制支持」が多数を占めるのは事前に「十分に予測できたはず」で、目標はむしろデモクラシーを逆手にとって占領軍に対し「天皇の地位を新憲法で明確に保証させること」、すなわち事実上の「国民投票による国体護持」にあったという。しかも当時、日本側で世論調査を指導した人々は、戦時中に宣伝研究を担ったのと同じ顔ぶれだった。
占領終結後、このような世論調査のあり方を批判したマルクス主義者の言葉も紹介されている。いわく、「ともかく民主主義だから、世論を尊重する立(ママ)前にしておかなければならないのだが、……『世論調査によると』という口実が、議会の存在に代って重要となる」。
半世紀以上を経て、事実上の「国民投票」として解散・総選挙を仕掛けた首相と、結果的にその宣伝に踊らされる形となったメディア。……この構図にも、改めて自戒を込めた検証を試みる必要があると感じさせられた。【大井浩一】
毎日新聞 2005年12月11日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/bunka/
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