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今回の欠陥建築問題では分譲マンションに関しては国(地方自治体も含む税金
投入の意)が費用を出す方向付けがなされた。本来、「民(マンション購入者)と民
(マンション販売者)」の問題であるはずのところへ税金が投入されるのは、建築
確認を民間に開放したことに國の責任があるということと、地震時の倒壊の危険
からであろう。しかし倒壊の危険という点では、建築基準法改正の1981(昭和56)年
以前の建築物のほうが、耐震基準も緩やかであり、年月の劣化と共に、今の欠陥
マンションよりも危険な物件は至るところにある。いくら阪神大震災の後、「地震」
に対して過敏すぎる反応をするようになっているとしても、今回の偽造物件に関し
ての手厚さは不公平だと思う。
そもそも國の責任というのであれば、シベリア抑留の根本の原因は国権の発動
たる「戦争」であり、抑留された兵士たちは國により召集された人達である。直接
的な責任は国際条約を破ったソ連(スターリン)の不法であるが、それをいうなら
原爆は米国の責任であり不法である。それなのに原爆に関しては被爆者援護法
も旧原爆医療法も、「米国の責任だから米国に金を出させろ」と日本の税金投入
に対しての甚だしい妨害はなかった。翻って同じ戦争の犠牲者でありながら、
米ソでこの違いは何か。ソ連の責任は日本が國として別に問えばいい。シベリア
抑留者の寿命は限られているのに、戦後六十年間継子扱いのように、日本國
はシベリア抑留者に対してのみ、税金の投入を惜しんでいる。
これまでシベリア抑留者は不憫続きであった。庶民である兵は終戦間際の根
こそぎ動員で召集された人が多く、シベリア抑留期間の戦時加算を併せても
軍人恩給の支給資格を満たさない、いわゆる「軍恩欠」の人も多い。それに反し
てソ連の侵攻時期を見誤って、兵たちどころか庶民の開拓団民に辛酸を舐め
させた将校は、シベリアから帰っても多くが軍人恩給を貰っている。そして「捕虜」
という汚名を忌避したいという小児病的な面子から、「シベリア抑留は捕虜では
ない」と、自分たちはのうのうと軍人恩給を受け取りながら、兵たちの補償要求
の邪魔・妨害をするか、不作為の人も多かった。悪質な妨害の筆頭が草地元
大佐であった。彼は戦後五十年たってもなお「兵は消耗品である」と平然と書い
ている(ワイフへの自筆の書簡)。
シベリア抑留者の中では、瀬島氏の悪評が高いが、瀬島氏はシベリア抑留だ
けでなく戦後のもろもろを含めての悪評が入り混じっている面も強い。そして瀬島
氏に関しての戦争指導者責任といえば、シベリア抑留中に東京裁判に出て連合
国サイドの発言をしたことよりも、昭和十九年の台湾沖航空戦に関する情報操作
の方がはるかに大きい。東京裁判の証言など裁判自体がそもそもが茶番劇の復
讐劇、公平でない裁判であったからさほど問題ではない。これを必要以上に問題
視すれば、それは東京裁判の茶番劇そのものを認めることとなり、我々の論理が
矛盾することに早く気が付かなければならない。そして彼はシベリア抑留者の補償
問題に関しては表面的には抑留者の補償要求を妨害していないし、現在に至って
は助力もしている。
草地氏は抑留時代ソ連の拷問圧迫を受けても転向しなかったことは評価できる
が、それが終生評価されるのは「兵」という身分の者のみであり、彼らのような高
級将校は、自分達の下らない面子よりも「敗戦」という事態を招いた以上は、戦後
は部下である兵に対しての責任を取ること(兵の補償要求に尽力する)こそが、上に
立つものの身の処し方であるはず。それを尽力どころか妨害し続けたまま生涯を
閉じたのであるから、後半生を自らの手で汚してしまった。この悪質さでは、戦後、
真実に口を閉ざして兵たちから逃げ回っていた、中国山西省残留の第一軍の澄田
司令官(元日銀総裁澄田氏の父)と双璧である。
日本の愛国運動が、戦後復活して五十年過ぎても尚、大した実を結ばない現実
には、運動に携わっている者たちの多くが、このような基本的なことを知らないまま
に運動していることにある。皇室を含めて無智からくる盲信からすべてを見直さなけ
れば日本の未来はない。戦後の見直しは何もサヨクの側からの歴史史観だけをい
うのではない。右翼の側にも英雄視してはいけない多くの人物を、戦後持ち上げて
きたことが、結果的に大東亜戦争の真実の姿を隠し、日本のあるべき姿への道を
誤ったという自覚がなくては、到底日本の建て直しは出来ない。
参照
瀬島氏の問題
http://www7a.biglobe.ne.jp/~gwife/yamashita.htm
山西残留の日本兵
http://www7a.biglobe.ne.jp/~gwife/daiichigun.htm
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