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神奈川新聞 2005/12/10
反戦ビラ逆転有罪
ピザ店のチラシなど商業ビラの投函(とうかん)は黙認されていたにもかかわらず、反戦ビラの投函は住居侵入罪に問われ逮捕、起訴。被告三人は七十五日間の拘置-。
政治的表現の自由の意義、警察検察の権力行使の在り方が問われた「立川反戦ビラ事件」の控訴審判決公判で、東京高裁の中川武隆裁判長は、一審の無罪判決を破棄し、被告三人に罰金刑の逆転有罪判決を言い渡した。理由については「表現の自由が尊重されるべきものとしても、そのために他人の権利を侵害してよいことにはならない」などと述べるにとどまっており、極めて不当な判決と言わざるを得ない。表現の自由、民主主義の危機と言ってもいい。
自衛隊がイラクに派遣された直後の昨年二月、東京都立川市の市民団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバー三人が、「自衛隊のイラク派兵反対」というビラを防衛庁宿舎の新聞受けに投函したことが住居侵入罪に問われ逮捕、起訴された事件。
一審の東京地裁八王子支部判決(昨年十二月)は、反戦ビラ配布は「憲法二一条の保障する政治的表現活動の一態様」と位置付け、詳細な事実認定と利益衡量を行った。三人の立ち入り行為は住居侵入罪の構成要件に該当するとしたが、動機、態様、被害を検討し、「刑事罰に処するほどの違法性があるものとは認められない」と無罪判決を下した。商業ビラの投函が黙認されていたこと、反戦ビラ配布は政治的表現として商業ビラ配布より優越的地位にあること、事前に正式な抗議や警告もなかったこと!)などを理由に挙げた。極めて常識的な判決だった。
しかし、今回の高裁判決は、政治的表現の自由の位置付けについては何も語らず、商業ビラ投函に刑事罰が加えられていないこととのバランスを全く検討していない。居住者の知る権利への言及もなく、民主主義社会への認識が欠如していると言わざるを得ない。
懸念されるのは、この高裁判決が警察、検察の恣意(しい)的な逮捕、起訴に「お墨付き」を与えかねないことである。実際、反戦ビラ事件以降も、政府の政策に反対する市民の表現活動に関連して微罪逮捕などが続いている。
厚生労働省職員が休日に政党機関紙を配って国家公務員法違反に問われ逮捕、起訴されたほか、先月には、沖縄でビラ配布中の僧侶が公務執行妨害容疑で逮捕されている。県内でも、厚木基地監視活動で基地近くの大和市内のマンション階段にいた爆音訴訟原告ら三人が住居侵入容疑で逮捕されている。権力の暴走ともいえる事態であり、今後が極めて憂慮される。
被告は最高裁に上告した。最高裁が自由と人権、憲法の擁護者の責任を果たすことを期待したい。また、警察、検察に対する国民の厳しい監視も必要である。
http://www.kanalog.jp/column/editorial/entry_16202.html
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