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社説
2005/12/10(土)付
牛肉輸入再開 監視強化と情報公開が必要だ
米国、カナダ産の牛肉の輸入がいよいよ再開される。米国で牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認され輸入禁止となって以来、二年ぶりの解禁だ。
国民の不安が極めて強いだけに再開は遺憾だが、安全確保のため日本政府は輸入条件順守の徹底を両国に求めるとともに、監視体制の強化や消費者への情報公開の徹底が必要だ。
内閣府の食品安全委員会は北米産牛肉の輸入について▽生後二十カ月以下▽BSEの病原体が蓄積しやすい脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位の除去―という条件を付けて再開を容認することを厚生労働省と農水省に答申した。これ受けて政府は十二日、輸入再開を正式に決める。
これに対し食品安全委が十一月に全国七都市で開いた意見交換会では「輸入条件が本当に守られるのか」などの不安の声が消費者や生産者から相次いだ。
共同通信社の今月初めの全国世論調査でも米国産牛肉を食べたくない人は75%に上り、「安全性に不安が残る」との理由が62%を占めた。根強い不安感が浮き彫りになったといえる。
食品安全委プリオン専門調査会の専門委員十二人の半数近くが米国側の安全対策などに疑問や不安を抱いたまま、十月末に輸入再開容認の答申案をまとめたことにも驚く。
中には「都合よく結論ありきの議論をさせられた」と批判する委員もいた。小泉純一郎首相が年内再開を表明した十一月中旬の日米首脳会談を前に、政府は結論を急いだとみることもできる。消費者だけでなく、政府諮問の専門家まで疑問を残しながらの見切り発車は、やはり問題が多いと言わざるを得ない。
生後二十カ月以下の牛では、輸入量は停止前の二割程度にしかならないと予測されている。このため米国は、国際基準に沿って三十カ月以下に条件を緩和するよう求める構えだ。しかし安全対策も未知数の段階で、これをのむわけにはいかない。
輸入条件の順守のため米国政府は食肉処理施設に検査官を常駐させる。日本政府は職員を派遣して食肉施設を抜き打ち査察するとともに、特定部位が確実に除去されているか確認のため来年三月まで検疫を強化する。
米国産牛肉は早ければ年内にも第一便が届くという性急さだが、十分な事前点検をして再開すべきだ。日本側も査察回数を増やすべきだし、検疫強化も長期間行わなければ、国民の不安をぬぐえないだろう。
信頼回復には情報公開も重要だ。日米・カナダ政府は輸入条件の検査状況を公開し、もし管理措置が不十分なときや重大なリスクが発生した場合は輸入停止して対策を検討すべきだ。
店頭の生肉は日本農林規格法で原産地表示が義務化されているため北米産か見分けがつく。しかし、外食産業の原産地表示は七月に農水省からガイドラインが示されたものの、導入はまだ一部にとどまっている。日本消費者連盟が求めているように義務化が必要だ。偽装表示や誤表示が起きないよう、点検体制を強化することも求められる。
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017200512103907.html
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