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[原理主義の罠]「耐震強度偽造問題」を予見したトマス・アクイナスの警告(1)
【トマス・アクイナスの画像 】Thomas Aquinas(ca. 1225-1275)
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今年の流行語大賞 は「「“偉大なるイエスマン ”こと武部勤 ・自民党 幹事長 が、自らその演出家 を気取る「小泉劇場 」と、堀江貴文 ・ライブドア社長 の「想定内 (外)」」だそうですが、これは日本 の現状を見事に表したブラック ユーモア です。なぜなら、「小泉劇場 」の構造改革 にかかわる政策を悉く「想定内 」だと思い込まされた多くの日本国民 が、今度は例を見ぬほど深刻な「耐震強度偽造問題 」の場合でさえも、その想いが核心に至らず、只これは「大いに想定外 なことだ!」という表層的な空騒ぎで終わりそうな気配になっているからです。一方、この問題のあまりの深刻さに内心気づき驚愕した中枢権力と結びつく人々(与野党 の色分けを問わず、主要マスメディア ・宗教 界なども含めた凡ゆる意味 でキャべりスティックな利害関係 で繋がる人々)は、この問題を如何にして矮小化 できるかに腐心しているようです。そして、限定的な公的資金投入決定までの「異常に拙速過ぎる不自然 な動き」は、このことを象徴しているようです。(http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20051202/K2005120202010.html?C=S )。
あまりにも非人道的・非倫理 的なこの事件の直接的責任 が、現在の小泉政権 にあるとは言えないまでも( 建築基準法 の改正/建築 申請確認・検査 の民営化 (1998.6)は橋本龍太郎 内閣 のとき)、冷酷にも国民 の生命・財産 を片っ端からハゲタカが跋扈する市場へ叩き売るような遣り方で「官から民へ」を唄う「幻想 のコイズミ・カイカク政策」への傾斜を強引に押し進めた結果として問題の傷口を広げた責任 が小泉政権 にあるのは明らかです。この事件と並行して日本 の株価 が急上昇しつつあることも、見方によってはまこと に皮肉な展開です(この関連の詳細記述は後述)。ところで、ネットや週刊誌 等の情報 をブラウズして驚くのは、国土交通省 が発表 している「構造計算 書偽造震度5強 で倒壊する恐れのある建物一覧」(http://k1fighter.hp.infoseek.co.jp/TokaiList.htm )程度で今回の「耐震強度偽造問題 」の規模や範囲が収まるとは思えないことです。しかし、政府 自身と関連業界 等が火消しにやっきとなっている様子なので、ある程度は押さえ込まれるでしょうが、姉歯 関連以外にも広がった場合は、これらの未確認情報 を視野に入れると、少なく見ても現在発覚した件数(全調査対象で約200件)の3〜5倍程度はあるように思われます。
特に心配なことが二つあります。一つは、この事件の被害が老人介護 関連施設などへも波及する様子が窺えることです。散発的な報道 によると、既に数ヶ所で福祉関連施設の建築 物が問題になっているようです。やむを得ぬ事情で、このように社会 の片隅で最も弱者の立場でヒッソリ生きている人々までをも馬の目を抜くような錬金術 のネタ にしてカネ・カネ・カネを吸い尽くそうとする、くだんの建築 コンサルタント 会社 の社長 さんのリッチそうで紳士 然としたご面相が吸血鬼 ドラキュラ に見えてきました。もっとも、このような意味 で吸血鬼 に見えるのは、この社長 さんだけではありません。政権 与党 の中枢にある派閥 グループ M派が、当事件関連の企業H社から過去 に受けていた政治 献金 600万円を、早速、ソックリ返金した(これで全額かどうかは不詳、いったん貰ってしまった不浄なカネを返せば免罪となるのかも疑問・・・)というニュース を知ったとたん、まこと に失礼ながら、小泉首相 の格別ご立派なプロフィール も口元から鮮血を滴らせる吸血鬼 に見えてしまいました。尤も、くだんの「耐震強度偽造問題 」の背景には国際的な戦略物資である石油 と鉄鋼の急激な価格上昇が誘引になったというジャーナリスティックな見方があります。しかし、合理的に考える限り、それが「耐震強度偽造問題 」の大きな原因になったと理解することは到底できません。このような理解が可能なのは「新自由主義 思想 」を狂信的に信じることが可能な人々だけです。
もう一つは、「デュー・デリジェンス 」(Due-Diligence/不動産 の適正評価)を受けたマンション の中にも「耐震強度偽造問題 」があったという報道 (NHK )が見られることです。ちょうど小泉政権 が発足したころに当る2000年 に、「Jリート」(JREIT/JAPAN Real Estate Envestment Trust/不動産投資信託 )が解禁されて以来、投資 運用 を目的とした新築マンション のブーム(ミニ バブル )が続いており、「2005.12.6付、東京新聞 ・朝刊記事」によると、ちょうど株式が上昇傾向にあるのと同じように、今年はその投資 規模が急拡大しており、現時点の時価総額 が既に3兆円に達しているそうです。このペースで行くと前年度の年間7.5兆円を大きく上回り、それが10兆円規模に到達するだろうとの予想になっています。このようなリートの対象となるマンション は投資 信用が絶対条件であるため建築確認 以外に「デュー・デリジェンス 」のプロセスが課されています。ところが、この格別に厳しい審査 をパス したマンション にも「耐震強度偽造問題 」があったということは由々しきことであり、今後の展開次第では、更に別次元 で投資 信用の基盤がグラつく問題となりかねません。
ところで、我われ一般国民 は、日本政府 が去る2003年1月〜2004年 3月までの15ヶ月間に総額35兆2564億円に及ぶ「円高」阻止名目での史上空前の為替介入(円売ドル買)を行ったことを忘れるべきでありません。政府 は、このために必要な円資金をFB(財務省 短期証券/13週で償還する超短期国債 )を発行し、それを銀行 等の市中金融機関 へ売却して調達しました。無論、FBの発行は国会 の承認を得ることになっていますが、為替タイミング の困難性等の理由から、日銀 が市中金融機関 へ必要額の立替を指示し、後日に国会 承認を取り清算するという便法が編み出されました。が、これが仇となり、更にスピードを求める財務省 から日銀 へ立替を迫るという形へエスカレート して介入資金が無制限になる道が出来上がってしまったのです。このプロセスで、市中金融機関 がFBを購入する資金の裏づけとなるのは、我われ一般国民 の預金です。
日本政府 は、この為替介入で入手したドル資金をそのままの形で保有せず「米国 財務省 証券」(米国 債)へ換えています。それは、年4%以上の利子が付く米国 債(ドル建)へ投資 すると手持ちのドルが自然 に増えるという理屈 からです。しかし、実際にはこれがNY連銀の金庫に保管されるルールとなっているため為替市場ではドルの量が一向に増えないのです。この結果、アメリカ が使えるドルの量は日本政府 の為替介入後でも総量が変わらないのでドル高(円安)を意図した為替介入(円売ドル買)の効果は一時的、瞬間風速的な意味 しか持ち得ないことになります。ここから明らかになるのは、結局、日本政府 の為替介入(円売ドル買)の意図はアメリカ の財政 赤字の補填にあるのだということです。更に驚くべきことは、この2003年 1月〜2004年 3月で日本政府 が為替介入した総額35兆2564億円は米ドル 換算(時価概算)で約3200億ドルにもなり、これは同年度(期間)にアメリカ が使った「イラク戦争 の経費」(約3300億円)に匹敵するのです。従って、我われ一般国民 は、殆んど自覚せぬままにアメリカ のイラク戦争 に身銭を切って加担していることになります。
また、日本政府 はこの米国 財務省 証券の預かり証と引き換えに市中金融機関 (銀行 )から円を受け取り、それを為替市場でドルと交換します。この時、我われ日本国民 の銀行 預金は主に米国 などの外国 投資 機関の手に渡ることになります。この辺りのプロセスは、見方によっては何となくオレオレ詐欺 の手法に似ているように思われてきます。これは杞憂 でしょうか? ともかくも、このようにして日本政府 がFBを担保に増刷 した円資金が外国 投資 機関の手に渡り、最終的にはその一部が外資 から日本 の株式市場 へ向かう大量の投資 資金として還流してくるのです。従って、今や日本 の株式市場 は外資系 の投機 筋の手に操られることになっています。これが、現在、日本 の株式相場 を上昇させているブースター の大きな部分を占めていると考えられ、更に、その誘い水に魅かれた日本 の個人投資家 やネット株投資家 が株式市場 へ大挙して靡き、積極的に参入した構図が生まれているような気がします。
考えてみれば、これはある意味 で日本政府 の巧妙な金融政策であり、強かな景気刺激策であると言えないこともありません。しかし、よく考えて見れば、これは甚だしく日本 の国益 を損なっており、しかも日本国民 を騙して大きな犠牲と不要不急のリスク を強いていることでもあります。その一方で、日本 はアメリカ 経済 の尻拭いのために貢ぐ形になっている訳です。今や、このようにして日本 ・中国 などの海外資 金がアメリカ の赤字国債 の約54%を賄う形にまでなっています。そして、「2005.12.8、朝日新聞 ・夕刊「経済 気象台」」によると、これらの国々の金利 が上昇するとアメリカ への資金流入が減少してブッシュ 政権 がますます苦境に嵌るので、特に日本 は今のまま『心地よい円安』を続けるべきだというのが日本政府 の考え方なのだそうです。何故、多くのマスメディア は、このように驚くべき背任的な政策への疑問を日本政府 へぶつけることをしないのでしょうか? 『心地よい円安』とは見事なキャッチ・コピー だと思いますが、相変わらずのオジャラケ政府 ぶりで、トコトン我われ一般国民 も舐められたものだと思います。ともかくも、このようにして“おセレブ な小泉チルドレン ”の喝采を浴びながら『小泉 詐欺 劇場 』の公演はロングラン ・ヒットを続けています。
ところで、「グローバル市場原理主義 」と現在の「わが国の構造改革 」路線を支える「新自由主義 」(Neo-Liberalism)のルーツ は、徹底的な「合理主義」の立場を自負するシカゴ 学派(Manetalism)の祖と看做されている反ケインズ 論の祖・F. A. ハイエク (F. A. von Hayek/1899-1992)及び、それを引き継ぐミルトン・フリードマン (Milton Friedman / 1912- )らの経済学者 たちであり、彼らの際立つ特徴は“物価 や名目所得の変動をもたらす最大の要因が貨幣供給量(Money Supply)の変動”だと主張することです。また、彼らは政府 の財政 的な介入の役割を認める「ケインズ 主義」や“付加価値 の公正・公平な分配”を重視する「福祉国家 論」などは、社会科学 的な「無知 、不勉強 、愚かさ」に基づくものだと厳しく批判します。 結局、このように人間として傲慢・不遜な考え方の延長に必然的にやって来るのが、現在の「耐震強度偽造問題 」のような国家 のインフラ ・システム そのものにヒビが入る、ひどく面妖で「非合理的」な社会 構造破綻 の問題です。しかも、このことは既に13世紀イタリア の大神 学者 (哲学者 、聖人)であり、スコラ 学の黄金時代を築いた思想家 の一人と目されているトマス・アクイナス(Thomas Aquinas/ca. 1225-1275)が予見していたことでもあるのです。 <<To be continued in the next number.>>
(参考URL)http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20051121
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