★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK17 > 621.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
社説
2005.12.10
反戦ビラ判決 何と息苦しい世の中か
「反戦」のビラを配布しただけで、逮捕されてはかなわない。一審無罪の判決を逆転有罪とした東京高裁の判断は、あまりにも形式的すぎないか。何とも息苦しい世の中になってきた。
一年前、東京地裁八王子支部で三人の市民運動家に言い渡された判決は「無罪」だった。
東京都立川市にある防衛庁宿舎の郵便受けに「自衛隊のイラク派兵反対」などと書いたビラを配布したことで、住居侵入の罪に問われていたのである。
ビラの配布や投入は、広報や宣伝などの方法として、日常的に行われる行為である。仮に住居侵入にあたるとしても、罰するほどの行為ではないと、一審では判断していた。ビラ配布は「憲法二一条の保障する政治的表現活動であり、民主主義の根幹をなすもの」とも述べた。言論や出版など表現の自由を保障した条文である。市民感覚にも合致する判断だったといえるのではないか。
ところが、今回の高裁判決は、宿舎の入り口に「関係者以外立ち入り禁止」と掲示があったことなどを理由として、逆転有罪の罰金刑を言い渡した。「反戦」ビラの配布について、「宿舎の管理権者らの意思に反することが明らか」とも断じた。刑法を形式的に適用したのである。
しかし、考えてみたい。この三人は警察に身柄を拘束され、その拘置期間は七十五日にも及んだ。自衛隊のイラク派遣が社会的な問題として取り上げられていた時期だった。「宿舎立ち入り」は口実で、反戦ビラを問題にしたのではないかと受け止めた人もいる。そうでないとしても、微罪逮捕で結果的に自由な言論が封じ込められたといえないか。
実は微罪逮捕は、各地で相次いでいる。昨年末には東京都葛飾区で、政党ビラを配布した男性が逮捕された。今年三月には町田市で、九月には世田谷区で、十月には江戸川区でと次々と事件が続いた。
全国にも波及している。十月には神奈川県大和市の米軍厚木基地や沖縄県の米軍嘉手納基地付近で事件が起きた。建造物侵入や公務執行妨害などの容疑ばかりでなく、国家公務員法を適用するケースさえあった。公務員の政治活動を禁じた条文は、違憲論議が絶えないものである。
「警察国家」の方角に向かっているのかと指摘する人もいる。民主主義を支えるのは、自由で活発な言論であるはずだ。とりわけ政府を監視し、批判を加える言論は大切なものだ。こうした微罪逮捕を司法がチェックできなければ、自由であるべき政治活動や市民運動が委縮する。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20051210/col_____sha_____003.shtml
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK17掲示板